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日消連がDVD『香害110番』を制作

化学物質過敏症という言葉とともに、ここ数年でよく聞くようになった言葉に「香害(こうがい)」がある。人工的な化学物質で作られた香り、洗剤などの加えられた香料による健康被害である。2017年3月、岡田幹治さんの『香害』(金曜日刊)で一気に広まった言葉だ。日本消費者連盟が昨年、電話相談「香害110番」を行ったところ、2日間で213件の電話、メール、ファックスがあり、電話をかけたがつながらなくて諦めたという被害者も多かったという。日本消費者連盟は、この香害の問題を広く知ってほしいと、被害者の声や、医師や専門家、地方議会議員に取材したDVD『香害110番』の制作を始めている。来年3月の完成を目指し、クラウドファンディングで制作費の支援を募っている。

アルゼンチンが遺伝子組み換え小麦の商業栽培直前の段階に来ているようだ。アルゼンチンのバイオセレスのフェデリコ・トゥルッコCEOはこのほど、除草剤グルホシネート耐性・干ばつ耐性の遺伝子組み換え小麦について、当局の商業栽培の許可を1年半前から待っていると正式に発表したという。ブエノスアイレス州の農業当局も、この干ばつ耐性小麦を支持しているという。

米国カリフォルニア州地裁は10月23日、ラウンドアップ散布で非ホジキンリンパ腫を発症したとして約3億ドルの賠償を命じた8月の判決に関し、モンサントが懲罰的賠償金の取消を求めた裁判で、モンサントの主張を棄却したものの7千8百万ドルに減額する判決を下した。判決では損害賠償額は維持したまま、懲罰的損害賠償額を損害賠償額3千9百万ドルと同額に減額した。ロイターによれば、モンサントを買収し裁判を引き継いだバイエルは声明を発表し控訴すると明言しているという。

日本は77万トンの米と530万トンの小麦を輸入しているが、農水省は輸入米麦の残留農薬の検査し、そのうち食品衛生法に基づく残留農薬基準を超過していないが定量限界以上の濃度が検出された農薬について公表している。この公表データから、残留する除草剤グリホサートとネオニコチノイド系殺虫剤に着目してみた。

グリホサート禁止でEU諸国の先頭かに見えたフランスだったが、マクロン大統領の「3年以内の禁止」が議会で否決された。その一方、EUの登録延長に賛成したチェコは来年からの禁止の方針を明らかにした。

厚労省は10月3日、ノボザイムズ(デンマーク)の遺伝子組み換え微生物を使ったGM添加物2品種を承認した。これにより承認済みのGM添加物は37品種になる。2014年ごろから承認件数が増えている。

米国のゲノム編集作物開発企業カリクスト社は9月28日、同社のゲノム編集高オレイン酸大豆の搾油加工について、有機大豆油などの委託加工業者の一つアメリカン・ナチュラル・プロセッサーと契約したと発表した。同社はまた、KemX Globalとも契約したと10月4日に発表した。同社は今年後半から来年前半にかけて、同社のゲノム編集高オレイン酸大豆を使った大豆油の販売を始めるとしている。この発表通りとすれば、ゲノム編集加工食品がスーパーの棚に並ぶ可能性がでてきた。同社のゲノム編集大豆は、特定の遺伝子を働かないようにしたもの(ノックアウト)で、外来遺伝子の挿入を行っていないことから、米国農務省は遺伝子組み換えではないとしているという。

秋田県上小阿仁村議会は9月13日、生きもの共生農業を進める会など3団体が提出していた、農産物検査法の着色粒規定の廃止などを求める「農産物検査法の抜本的見直しを求める陳情」を採択した。この陳情は小坂町議会、八峰町議会でも採択された。同会は、同様の請願や陳情をを秋田県内25市町村議会に対して提出していた。コメ農家の声が反映された国への意見書は、大潟村、五城目町に続くもので、秋田県内の5議会が採択した。同会では、「各地の9月議会が終わり次第、今後も採択が増える」とみている。

フランスは9月1日より、世界で初めて5種類のネオニコチノイド系農薬を禁止する。16年に成立した生物多様性法に基くもので、EUが12月より屋外での使用を禁止するイミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムに加え、チアクロプリドとアセタミプリドの使用も禁止される。昨年9月には、同じ浸透移行性のフィプロニルのEUで登録が失効し使えなくなっている。

ロンドン大学の研究グループは8月15日、新しいネオニコチノイド系のスルホキサフロルがマルハナバチの繁殖に有害とする研究結果をネーチャー誌に発表した。この結果に研究グループは、マルハナバチや他の野生ミツバチに対する新しい殺虫剤の亜致死的影響をリスク評価プロセスに組み込む必要性があると指摘している。マルハナバチなど野生のハチは、作物の受粉の多くをになっている。農薬を使うことで、受粉の担い手を失っては農業そのものが成り立たなくなる。しかし、ネオニコチノイド系農薬の規制が進みつつある中、スルホキサフロルは、ネオニコチノイド系農薬に代わると「期待され」ているという。
ドイツの化学メーカーBASFは8月16日、モンサント買収に関してバイエルが売却する事業のうち残っていた野菜種子事業の買収を完了したと発表した。バイエルも同日、BASFに対する野菜種子事業の売却が完了したことで、モンサント統合を開始すると発表した。バイエルは即日、米国セントルイスにあるモンサントの看板をバイエル・クロップサイエンスにかけ替えているという。この買収は「社名ロンダリング」とでもいうべきで、モンサントの悪名は表からは消える。

北海道大学などの研究チームは、市販の日本産の緑茶の茶葉とボトル茶飲料の全てからネオニコチノイド系農薬を検出したと専門誌に発表した。一方、スリランカ産の茶葉からは全く検出されず、国内でネオニコチノイド系農薬が多く使われている可能性があると指摘している。研究チームは、推定摂取量は一日摂取許容量(ADI)より低いが、代謝物質の毒性はまだよく分かっていないという。有機栽培や無農薬の茶葉を選んだり、ペットボトルの茶を過度に飲まない方が無難なようだ。

カナダ保健省は8月15日、ネオニコチノイド系農薬のクロチアニジンとチアメトキサムについて、ハチではなく水生昆虫などへのリスクを考慮し3年から5年をかけて屋外使用を禁止する方針を示し意見公募を始めた。カナダ保健省は2016年11月から、これら2種類のネオニコ系農薬のリスク評価を行ってきた。また、同じネオニコ系のイミダクロプリドについて2019年からの段階的禁止方針を明らかにしていた。これら3種類のネオニコ系農薬は、EUが屋外使用の禁止を決めており、カナダ保健省の決定はEUに続くもの。

ニュージーランドのホームセンター大手の一つマイターテン(Mitre 10)は、11月からネオニコ製品の販売を段階的にやめると発表した。環境問題に取り組むという同社のコミットメントに沿って決定を下したという。ニュージーランドでも展開している豪州大手のバニングスは今年1月、18年中にネオニコ製品の販売を中止すると発表しており、ニュージーランドの大手ホームセンターがそろってネオニコ製品の取扱いをやめることになる。

環境省はゲノム編集作物の扱いについて「カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会」による検討を始めたが、外来遺伝子を組み込まず、目的とする遺伝子の機能を働かないようにするノックアウトで作出したゲノム編集作物に対する規制を外そうとしている。この環境省の方針に対して日本消費者連盟など3団体は8月10日、ゲノム編集作物を遺伝子組み換え作物と統合して規制するよう求める意見書を環境大臣や農水大臣、厚労大臣、消費者庁長官などへ提出した。3団体は、同様の意見書を「カルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会」の座長と委員にも提出した。

学校構内で除草剤ラウンドアップを使ったことで悪性リンパ腫を発症したとして、米国カリフォルニア州のドウェイン・ジョンソンさんが損害賠償を求めていた裁判でサンフランシスコ地裁は8月10日、懲罰的損害賠償を含め約3億ドルの賠償金を支払うようモンサントに命ずる判決を下した。モンサントは、判決を不服として上訴する方針だという。

ブラジルのカナビアリス研究所(CTC)はこのほど、米国食品医薬品局(FDA)が同社の害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換えサトウキビについて安全との結論を出したと発表した。

ブラジル連邦裁判所は8月6日、グリホサートを含む製品について、連邦政府がその毒性再評価を完了するまで、使用を禁止するとの決定を下したとロイターが報じた。30日以内に登録が停止されるという。

農業情報研究所によれば、フランス政府は8月1日、9月1日より5種類のネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム、チアクロプリド、アセタミプリド)の禁止を定めた政令を公布した。

モンサント買収に関して、バイエルが売却する種子や農薬事業の譲渡先のBASF(ドイツ)は8月1日、総額79億ユーロで買収を完了したと発表した。これにより新たに種子、非選択性除草剤、殺線虫剤の種子処理分野に参入するとしている。

米国ハワイ大学の研究チームはこのほど、ペットボトルの原料であるPET(ポリエチレンテレフタレート)やレジ袋の原料でもあるポりエチレンが環境中で劣化し、温室効果ガスのメタンやエチレンを放出するという「予期しない結果」を得たと、米科学誌プロスワンに発表した。

政府は7月27日付の答弁書で、21年度以降に行うとしている農薬再評価に当たり、ネオニコチノイド系では国内使用量の最も多いジノテフランも優先して再評価すると回答した。川田龍平議員(立憲)が質問主意書(「改正農薬取締法の運用に関する質問主意書」)で、ジノテフランの優先再評価を質問していた。

米国はオバマ政権時代にミツバチなど花粉媒介動物(ポリネーター)の保護に踏み出していた。米国魚類野生生物局(FWS)は2014年7月、野生保護区でのネオニコチノイド系農薬の使用と遺伝子組み換え作物の栽培を禁止した。しかし、トランプ政権は8月3日、この野生保護区内で許可された農業における、これらの禁止解除を決定したとロイターなどが伝えた。トランプ政権の後ろ向きな環境政策に新たな後退が加わった。

サセックス大学の研究チームはこのほど、2013年のEUのネオニコチノイド系3農薬の禁止にもかかわらず、依然として都市郊外のハチはネオニコチノイド系農薬の影響を受け、目的としたハチの保護に失敗しているとするの研究結果をEnvironmental Science Technologyに発表した。

韓国政府は使い捨てポリ袋の使用抑制について、スーパーのレジ袋を今年の年末から全面禁止する方針と韓国聯合ニュース(電子版)が8月1日伝えた。韓国では現在有料となっている大規模店舗やスーパーのレジ袋が、これにより全面禁止となるという。

厚労省は7月30日、ダコニス(米国)の遺伝子組み換え微生物を使ったGM添加物を承認した。承認されたαーアミラーゼは、耐熱性のあるデンプン分解酵素でビールやシロップの製造で効率向上を目的に使用されるという。今年に入って4回目となり、合計5品目が承認された。現在、さらに6品目の遺伝子組み換え添加物が審査中であり、今年中に10品目を超えるかも知れない。

NON−GMトウモロコシの分別生産流通管理(IPハンドリング)に取り組んできた生協ネットワーク21、グリーンコープ共同体、生活クラブ連合会は7月23日、連名で「すべての遺伝子組み換え食品を義務表示の対象に」するよう求める意見書を、内閣府担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会表示部会長にあてて提出した。意見書は、今年3月にまとめられた遺伝子組み換え食品表示検討会の報告書について、「遺伝子組み換え食品を避けたいと考える消費者にとって選択の機会が奪われる結果を招きかねない」と懸念を表明している。

欧州司法裁判所は7月25日、ゲノム編集技術を使い遺伝子操作した新品種はEUのGMO規則の適用を受けるとする司法判断を下した。従来の遺伝子組み換え作物と同様の環境アセスメントとトレーサビリティ、表示が必要となるという。2016年にフランスの農民団体は、ゲノム編集などの新育種技術で作出された品種が遺伝子組み換えに該当するかについてフランス政府の判断を求め、これを受けてフランス政府が欧州司法裁判所の判断を求めていた。ゲノム編集を遺伝子組み換えとして扱うよう求めてきた農業団体や環境NGOは「勝利」だとして歓迎している。
環境省は7月11日、中央環境審議会遺伝子組換え生物等専門委員会でゲノム編集に規制に関する議論を始めた。環境省の原案は、遺伝子を挿入するノックインは規制し、遺伝子の機能を失わせるノックアウトは規制しないというもの。環境省は7月30日、ゲノム編集技術等検討会を8月7日に開くと発表した。傍聴可能で8月3日までに申込み。

米国に拠点をおくネスレなどの多国籍食品企業4社は7月12日、Sustainable Food Policy Alliance(SFPA:持続可能な食品政策連携)を設立したとする共同声明を発表した。この新組織の設立には、ダノン(フランス)、ネスレ(スイス)、ユニリーバ(オランダ)の米国現地法人と米国のチョコレートメーカーのマースが参加した。4社は連携して、消費者の健康や食品、地域社会、地球に影響を与える公共政策の進展を促進に重点を置くとしている。

農水省は7月25日付で、バイエルのネオニコチノイド系イミダクロプリドとエチプロールの混合剤(商品名:アドマイヤープラスフロアブル)を農薬登録した。適用作物はかんきつ類のみ。今年1月には、ネオニコ系のクロチアニジンと浸透移行性のフィプロニル、いもち病抵抗性のイソチアニルの3種類の混合剤が新規に登録されている。

厚労省は7月20日、6月より一時輸入停止していたカナダ産小麦の輸入再開を発表した。さる6月、モンサントの未承認の除草剤ラウンドアップ耐性小麦(MON71200)の自生発見をカナダ食品検査庁が発表。日本政府は、6月15日からカナダ産小麦の輸入を一時停止していた。

7月20日の「土用の丑」に向けてスーパーのチラシにはウナギが並んでいる。ネット通販大手のアマゾンやヨドバシカメラまでもが販売している。そんなウナギは、ジャイアントパンダより絶滅が危惧されている程に生息数が激減しているという。

カナダで自生していたモンサントの除草剤耐性遺伝子組み換え小麦(MON71200) について、厚労省は7月9日に検査法を発表し、10日より国内の留め置きされている約10万トンの検査を始めた。これを受けて、農水省は混入が見つからなければ輸入を再開するという。日本農業新聞が報じた。

齋藤農水大臣は7月6日の会見で、EUが屋外使用禁止を決めたネオニコチノイド系3農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の再評価を優先的の行うことにしていると語った。優先的な再評価はEUが屋外使用を禁止する3種類に限定したものであり、優先再評価がEUのような規制につながるかは不明だ。
東洋紡は7月9日、遺伝子組み換え酵母を含む液体74リットルを、7日夜から8日未明にかけて同社敦賀事業所から海に流出させたと発表した。環境への影響はないとしている。製造工程の配管が外れたことが原因だとしている。

スターバックスは7月9日、同社の全世界2万8千店舗で、2020年までに使い捨てストローを廃止すると発表した。これにより年間10億本のストローを排除できるとしている。新たに開発したリサイクル可能なプラスチックを使ったストロー・レスの蓋は、すでに北米の8千店舗で導入され、日本や中国などでも一部の飲料で試験的に提供しているとしている。

厚労省は7月9日、バイエルの除草剤グリホサートとテフリルトリオンに耐性のある遺伝子組み換えワタ・GHB811を食品として承認し官報に掲載した。承認された遺伝子組み換え食品は319品種、ワタは46品種になる。

米国スーパー大手のクローガーは6月25日、ミツバチなど花粉媒介動物(ポリネーター)へのリスクを考慮し、2020年までに園芸植物のネオニコチノイド系農薬を段階的に排除するとの方針を発表した。納入業者と協力して積極的に代替策を検討しているという。すでに大半がネオニコチノイド系農薬不使用だとしている。

食品安全委員会は7月5日、シンプロット(米国)の疫病抵抗性遺伝子組み換えジャガイモ(SPS−OOOY9−7)について、10日の委員会において厚労省から説明を受けると予定を公表した。このGMジャガイモは疫病抵抗性のほか、高温での加熱処理の際に生成されるアクリルアミドの低減と収穫時の打撃によって生ずる黒斑も少なくできるというジャガイモだという。
厚労省は7月2日、ノボザイムズ(デンマーク)の遺伝子組み換え(GM)微生物を使った加工用添加物を承認した。デンプン糖製造において糖化効率の向上を目的として使用される添加物だという。これまでに承認されたGM添加物は34品種となる。こうした原料加工において使われたとしても、現状の表示制度では消費者には全く分からない。

数ミリから数十ミクロンのマイクロプラスチックが、プランクトンや魚介類を通して人の食にも入り込んできていることが明らかになってきて、使い捨てプラスチックへの対応が待ったなしになってきている。米国シアトル市は10年の経過期間を経て、この7月1日から使い捨てのストローや食器などの原則使用禁止の条例を施行した。対象は市内全域の5千軒の飲食店だという。原則として生分解性かリサイクル可能な製品以外は禁止されるという。

厚労省は6月28日、タイ産のパパイヤサラダから未承認の遺伝子組み換えパパイヤ(PRSV-SC)を自主検査で検出し、廃棄・積み戻し等を指示したと公表した。輸入食品から未承認の遺伝子組み換え成分が見つかったのは昨年8月以来で、今年初めてになる。

グリーンピース・ジャパンは6月19日、斑点米は主なクレームとはなっていないという生協へのアンケート調査結果を発表した。農水省はこれまで、斑点米へのクレームがあり、玄米の着色粒規定は必要だと説明してきたが、その主張の一端が崩れることになる。農産物検査法の着色粒規定があることで、斑点米カメムシ防除のためにネオニコチノイド系農薬が過剰に使用されているといわれている。

英国・エディンバラ大学ロスリン研究所などの研究チームは6月20日、ゲノム編集技術を使い豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS: porcine reproductive and respiratory syndrome)ウイルスに耐性のある豚を作出したとジャーナル・オブ・バイロロジー(電子版)に発表した。ロスリン研究所は、この遺伝子操作が豚の健康に何らかの影響を与えているという兆候は見られないとしている。ロスリン研究所は商業飼育に慎重な姿勢だが、英国のコーブ環境相は今年1月、EU離脱後に遺伝子組み換え動物が販売される可能性に言及している。ゲノム編集の豚肉が食卓に上る可能性がでてきた。

昨年夏、欧州でエッグ・スキャンダルとして大きな問題となった鶏卵のフィプロニル汚染が再燃した。オランダからドイツに輸出された7万個余りの鶏卵から、EUの残留基準値0.005ppmを超える0.007ppmから0.019ppmのフィプロニルが検出され、ドイツ・ニーダーザクセン州政府が回収しているという。生産したのはオランダの有機の養鶏場と報じられている。

カナダでモンサントの除草剤ラウンドアップ耐性遺伝子組み換え小麦(MON71200)の自生が見つかった問題で、日本政府は6月15日、カナダ産小麦の輸入を一時停止した。ロイターなどによれば、韓国も輸入を一時停止している。

カナダ食品食品検査庁(CFIA)は6月14日、カナダ・アルバータ州の道路わきでモンサントの除草剤耐性遺伝子組み換え(GM)小麦(MON71200)が見つかったと発表した。この遺伝子組み換え小麦は未承認品種で、今年1月に見つかり、4月8日にモンサントのGM小麦と同定したとしている。しかし、自生の原因は不明だとしている。日経などによれば、この発表を受けて農水省は15日、安全が確認されるまでカナダ産小麦の輸入と在庫分の売り渡しを一時停止したという。これまでにも米国で3回、モンサントの試験栽培のGM小麦の自生が見つかったが、当局はいずれのその原因を特定できていない。

農水省は6月8日、カルタヘナ法にもとづき、新たにモンサントなどの遺伝子組み換えのダイズとトウモロコシ3品種について栽培などを承認した。併せて、ミラクリン産生遺伝子組み換えトマトと遺伝子組み換え青紫色コチョウランの隔離圃場での試験栽培を承認した。

5月9日開催の厚労省の残留農薬基準値を審議する農薬・動物用医薬品部会で、除草剤2,4−Dの残留基準値の緩和案が審議された。公表された改定案によれば、一部で厳しくなる食品もあるが、小麦、大麦、じゃがいも、レモンなどが緩和される。そのほとんどが米国基準や国際基準に横並びにとなっているが、国際基準より米国基準がより緩い場合は米国基準に合わせている。この案で改訂が行われると思われる。

市民発議を国民投票に付すことができるスイスでは、農薬補助金のカットや合成農薬の全面禁止を求める2つの市民発議が必要な署名を集め、2年以内に国民投票にかけられる見通しだという。この2つの市民発議が国民投票で過半数の賛成を集めるのか、あるいは敗退するのか、その見通しは報じられていないが、農薬大手の一角シンジェンタの本拠のスイスでのこの市民発議の結果は注目だ。

モンサント買収に関し関係各国の規制当局の審査を受けていたバイエルは6月4日、必要な規制当局の承認が得られ、7日までに買収を完了させると発表した。バイエルはまた、買収したモンサントの製品名称は使うが、今後、モンサントの名称を使うことはないとも明言している。モンサントは1901年に創業したが、117年でその名を閉じる。

環境省は5月28日、「ゲノム編集技術のうち、カルタヘナ法で規定される遺伝子組換え生物等を作出する技術に該当する技術について整理する」ことを目的として、中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会のもとにカルタヘナ法におけるゲノム編集技術等検討会を設置して検討を始めることを明らかにした。
農研機構は5月28日、ゲノム編集技術を使って収量増を狙ったシンク能改変イネの田植えを実施すると発表した。農研機構によれば、5月25日に隔離圃場での屋外栽培に必要な第1種使用定の承認を受けたとしている。農研機構は昨年もシンク能改変イネの隔離圃場での試験栽培を実施しているが、今年度のものとは系統名が異なっている。

2003年より州全体で有機農業への転換を進めてきたインド・シッキム州は4月1日、原則的に非有機農産物の州外からの輸入を禁止した。州政府はこの輸入禁止措置について、化学農薬や肥料の使用によって悪化している人びとの健康的な生活の確保と環境保護が目的だとしていたという。
農水省は6月1日付で、シンジェンタの除草剤耐性などの遺伝子組み換えトウモロコシ2品種を飼料として承認し官報に掲載した。これにより承認済みのGM飼料用トウモロコシは29品種、大豆などを含むGM飼料としては90品種となる。どちらも食品安全委員会が「当該飼料を摂取した家畜に由来する畜産物について安全上の問題はない」とする健康影響評価を決めている。

米国パデュー大学と中国科学アカデミーの研究チームは、ゲノム編集を使ってイネの収量を大幅に増加させることに成功したと米国科学アカデミー紀要に発表した。CRISPR / Cas9技術より収量を25〜31%増加させたとしている。こうした大幅な収量増は従来育種では不可能だとしている。

厚労省は5月21日、遺伝子組み換え微生物を使って生産した、天野エンザイムのグルコースオキシダーゼと、ノボザイムズのアルカリ性プロテアーゼを承認した。これにより承認されたGM添加物は33品種となる。厚労省は今年1月にも遺伝子組み換え由来の添加物1品種を承認している。ここ数年、遺伝子組み換え微生物由来の添加物の承認件数が増えている。

カンボジア政府は5月25日、全ての農薬輸入を一時禁止した。カンボジア東部のクラチエ州で13人が「中毒」で死亡したことを受けた措置で期限は切られていない、とクメール・タイムズが伝えている。

米国司法省は5月29日、バイエルによるモンサント買収について約90億ドルの一部事業の売却を条件に承認したと発表した。これにより売上高200億ユーロ(2兆5千億円)の巨大な農薬・種子企業が誕生することになる。これまでの農薬・種子の大手6社が、BASFを含む4社に再編される。欧米の農民団体やNGOを中心に、寡占化の進行は農薬や種子価格の上昇を招き、食料主権が危うくなると批判されていた。

欧州司法裁判所は5月17日、2013年にEU委員会が施行した3種類のネオニコチノイド農薬の一時使用禁止を支持し、バイエルとシンジェンタの求めた差し止め請求を退けた。欧州司法裁判所の今日の決定が、予防原則による農薬規制強化を支持していることは注目すべき点だ。

EUが屋外使用禁止を決めた3種類のネオニコチノイド計農薬のうちクロチアニジン(商品名ダントツ)を生産する住友化学は5月11日、ようやくEUの決定は「非科学的」であり、クロチアニジンは使用法を守れば「安全」とする見解を発表した。
NGOなどは非難

米国の農務省は5月3日、米国の消費者が求めていた遺伝子組み換え表示制度案を提示し意見公募を始めた。米農務省案では、「Genetically Modified」や「GMO」といった米国で一般的に使われてきた言葉が「Bioengineered(BE)」に置き換えられた。また、小規模食品業者が除外されたりと全面的なものとはなっていないため、表示を求めてきたNGOからは非難の声が上がっている。

農民連食品分析センターは5月1日、東京都内で購入した漢方生薬から、ネオニコチノイド系殺虫剤や除草剤2,4−Dなどの残留農薬を検出したと発表した。農薬378成分について検査し、8種類の生薬のうち5種類から残留農薬を検出したという。検出された成分が最も多かったのはチンピの5成分で、痕跡まで含めればチンピからは9成分が見つかったという。

ケベック大学州立科学研究所(INRS) の研究チームは4月26日、ネオニコチノイド系農薬に内分泌かく乱物質の可能性があるとの研究結果を専門誌に発表した。乳がん細胞を使った研究で、ネオニコチノイド系農薬のチアクロプリドとイミダクロプリドがエストロゲンの産生を増加させたことを確認したという。

EU委員会の植物・動物・食品・飼料常設委員会(SCOPAFF)は4月27日、かねてより懸案となっていた3種類のネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の屋外使用禁止を賛成多数で決めた。この日に向けて欧州の環境NGOや養蜂家、消費者は、加盟各国政府へ賛成するように求めるキャンペーンを展開してきた。Avazzによる禁止を求めるウェブ署名には500万人の署名が集まる程に注目を集めていた。このEU委員会の決定は、3種類のネオニコ系農薬について屋外での使用を禁止するという限定的なものではあるが、欧米を中心に広がるネオニコ系農薬禁止の流れを一層強くするものといえるだろう。この対極には、新たな登録を続け、残留基準値を緩和している日本がある。

ブエノスアイレス大学の研究チームは、ネオニコチノイド系農薬の一つイミダクロプリドとグリホサートの現実的な濃度の慢性曝露の結果、巣の中で仕事をする若いセイヨウミツバチの働きバチの味覚知覚と嗅覚学習に悪影響を及ぼすとする研究結果を専門誌に発表した。グリホサートはまた、飼育中の食物摂取を減少させたという。著者らは、特に夏の終わりにコロニーの生存を脅かす可能性があると懸念しているという。

ブルツブルグ大学の研究チームは3月21日、ネオニコ系農薬のフルピラジフロンがミツバチの味覚、学習、記憶能力に悪影響を及ぼすとする研究結果をサイエンティフィック・リポート(電子版)に発表した。フルピラジフロンはバイエルが開発した殺虫剤で、昆虫の脳のニコチン性アセチルコリン受容体に影響を及ぼす物質とされ、シバントの商品名で販売している。EUは2015年8月に、日本は同年12月に承認している。

厚労省は4月6日、オリエンタル酵母が開発した遺伝子組み換え大腸菌を使ったサプリメント原料の製造用の酸性ホスファターゼについて、製造基準の適合確認に関する審議会調査会を非公開で開催すると発表した。適合確認を受け、オリエンタル酵母がこの遺伝子組み換え大腸菌を使って製造を始める可能性がありそうだ。

米国の非営利団体の米・知る権利(U.S. Right to Know)は、これまでに収集したモンサントなどの農薬業界の関連内部文書などをカリフォルニア大学産業文書ライブラリに寄贈した。これらの文書には、報告書、裁判関連文書、内部のやり取りのEメールなどを含んでいる。同ライブラリはこのほど、これらの文書1450件(37,149ページ)を「USRTK Agrichemical Collection」として公開した。

EU委員会は4月27日に3種類のネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の屋外使用の禁止について加盟国の投票を行う。EU委員会の規制は全面的な規制ではなく、限定的に受粉用のハチへのリスク、排出される水による生態系汚染への注意を前提に、温室内での使用に限定して、温室内で栽培される作物は温室外へ持ち出してはならないとしている。加盟国の投票にかけられるEU委員会の規制案は公開されている。

米国のゲノム編集作物開発企業カリクスト社は4月5日、ゲノム編集による高オレイン酸大豆の商業栽培を開始すると発表した。同社は75人の大豆農家と栽培契約を結び、1万6千エーカー(約6千5百ヘクタール)で栽培するとしている。同社は、米国農務省の規制要否の判断を求め、農務省の規制不要の判断のあるものだけを商業栽培に進めているとしていて、このゲノム編集大豆の規制は不要と判断を得ているという。

国立環境研究所はこのほど、2016年度のネオニコ 系などの浸透性農薬などの出荷量推計を公表。フィプロニルとエチプロールを含む累計は472トンで、前年より14トン減少し、対前年比2.9%減となっている。全体として2015年、16年と連続して減少傾向にあるもののまだ高止まりしている。果樹栽培の多い県ほど、面積当りのネオニコ系農薬使用量が多い。

世界最大のパスタメーカーであるイタリアのバリラはこのほど、消費者のグリホサートへの懸念を考慮し、原料のカナダ産デュラム小麦の輸入を35%削減し、新たな契約をストップしている、とiPoliticsが伝えている。バリラは、残留グリホサートが0.01ppm以上の小麦は使わないという。背景には、欧州消費者のグリホサートに対する健康への影響懸念がある。国際がん研究機関(IARC)は2015年、グリホサートについて「ヒトに対する発がん性がおそらくある」とするグループ2Aに位置づけた。
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