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有機農業ニュースクリップ 遺伝子組み換え関連情報|GM汚染



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■GM汚染

2014-12-25

 市販のワタ種子にGM種が混入 汚染の広がりは不明 農水省は回収を指示

 農水省は12月25日、中国から輸入された市販のワタの種子にモンサントの遺伝子組み換えワタの種子が混入していたとして、販売していたカネコ種苗などに回収を指示したと発表した。GMワタは国内での栽培は認められていないが、仮に栽培されたとしても、日本の「生物多様性への影響が生ずるおそれはないと考えられる」としている。しかし、個人や小さなグループによる栽培種子が汚染されているかもしれないという懸念が残る。

 今回混入が判明したのは、モンサントの害虫抵抗性遺伝子組み換えワタMON−531と除草剤耐性MON−1445の2品種で、いずれも2004年にカルタヘナ法で承認されている。GMナタネなどのこぼれ落ちによる自生を除けば、広範囲のGM汚染は沖縄を中心としたGMパパイヤに次いで2例目となる。

 このGM種子が混入していたワタの種子は、札幌採種園(札幌市)が、2010年4月から12年7月にかけて中国から輸入したもので、「トールコットン」(カネコ種苗、日光種苗)と「自然の繊維 コットン」(第一園芸)の商品名でホームセンターなどで一般に販売されたとしている。輸入元、販売元の4社のHPには、回収の呼びかけなどはまだない。(12月25日21時現在)

 このGMワタの種子の混入に関し農水省は、問題の2つの商品を栽培しないように呼びかけている。また、今後、一般からワタ種子について、希望があれば遺伝子組換えか否かの検査を行う予定としている。また種苗会社による自主検査に情報提供を行うと している。

 今回のGMワタの種子混入の影響は、どの程度の広がりがあるかは明らかではない。GMワタの生物多様性にかかる申請書の記載によれば、ワタは基本的に自家受粉するものの、訪花昆虫による他家受粉が6〜25%あるとの報告もあり、また、ワタの花粉は重く粘性があるため、風で花粉が運ばれることは殆どないともされる。しかし、GM種と知らず、隣接地域でGMワタ栽培されていた場合、自家採種の種子がGM種の花粉で汚染される可能性は否定できない。このワタのGM汚染の拡散を防ぐには、自家採種したり譲渡されたワタの種子は、GM種でないことを確認してから播種することが必要だ。

 過去には日本でも盛んであったワタ栽培も、今では自給率ゼロとなっている。しかし、個人や小さなグループによる地域おこしや、東日本大震災の津波被災地の復興事業として、アパレル企業などが発起人となった「東北コットンプロジェクト」よるものなど、全国各地で栽培されている。とくに「オーガニック・コットン」を売り物にしたこうしたワタが、GM種で汚染されたとしたら、ぞっとする事態だ。

 なお、ワタは国内での栽培が認められておらず、ナタネやトウモロコシのような隔離距離は設定されていない。