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■全般

2015-02-16

 中国 GM推進に「用心深いアプローチ」 背景には市民のGM懸念

 遺伝子組み換え食品に慎重姿勢の中国。2月3日に公表された中国共産党中央1号文書(日本語版はまだ)では、中国は遺伝子組み換えの研究を強化し、GM食品の安全を管理するとし、厳しい規制を維持しつつ、市民に対しGMの認知度を高める「教育」を行うという。ロイターは「用心深いアプローチ」と報じている。ロシアがGMフリーへ動こうとしてるのに対して、1号文書に関する記者会見でほのめかしているように、食糧安全保障の観点から、徐々に「進めて」いくのではないか。

 中国が商業栽培を認めている遺伝子組み換え作物はワタとパパイヤなどに限られている。2009年には害虫抵抗性GM米2品種の試験栽培を認めた。昨年11月に失効したが、さらに4年間の試験栽培が認められている。当局者は安全性が確認できなかったので更新したとしている。

 この遺伝子組み換えイネが商業栽培への許可を得られなかったことについて、中国農業部幹部は、GM食品に関する中国政府の慎重姿勢の表れだとコメントした。

 中国は遺伝子組み換え大豆、ナタネ、トウモロコシなどの輸入も承認している。世界最大の大豆輸入国の中国は昨年、7100万トンの大豆を輸入し、そのほとんどはGM大豆だったとしている。また、一昨年9月には、中国では未承認のシンジェンタ社のGMトウモロコシMIR162の混入を理由に100万トン以上の米国産トウモロコシの輸入を認めず、積み戻し処分とした。

 こうした中、2月8日には、この遺伝子組み換えイネBt63の試食会が中国国内23都市で開かれた、と中国日報が報じた。主催は中国の科学情報サイトで、このサイトの編集長は「GM米は安全」であり「GM食品を疑っている人々へのメッセージ」だとしている。

 こうした中国の遺伝子組み換え食品に対する慎重姿勢の背景には、市民の間に広がるGM食品に対する懸念があるとされる。詳細は明らかではないが、昨年12月、GM食品を含む食品の義務的表示の強化の検討が始まったとされる。

 中国の遺伝子組み換え食品表示の混入規制レベルは1%とEUの0.9%に並んでいる。現在5%の台湾は16年1月から3%に強化される。3%の韓国は、市民団体などの「GMO完全表示制」要求を一部受け入れ、規制強化の方針だという。こうした規制強化の流れがある一方、日本の表示規制レベルは5%と高く、食用油などは表示義務がない。さらに規制当局の消費者庁は業界の意向に合わせ表示制度の強化、改善動く気配すらない。日本は大きく遅れているのが現状だ。