米国農務省動植物衛生検査部(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)は1月4日、カナダを「BSEリスク最小国」と認定し30ヶ月齢以上の牛の輸入に道を開く輸入条件の緩和(案)を発表した。この条件緩和(案)は3月12日まで意見募集を行い、その後正式に実施されることになる。
この発表によれば、米国は国際的なガイドラインに沿った科学的な分析 によりカナダをBSEリスク最小国と認めたとしている。その上で、30ヶ 月齢以下という国際的な規制レベルにかかわらず1999年3月1日以降に生ま れた生きている牛、あるいはそうした牛の肉製品、牛由来の血液と血液製 剤、牛の小腸とケーシングの輸入を認めるように提案している。
・USDA, 2007-1-4カナダでは合計8頭、昨年1年で5頭のBSE感染牛が見つかっている。 またブタやニワトリのエサとして牛由来の肉骨粉の使用が認められており、 日本やEU並みの完全禁止は2007年7月12日からである。こうした状況に もかかわらず、カナダからの生体を含む30ヶ月齢以上の牛の輸入を認める、 というのが今回の条件緩和である。今のところこの件に関し、食品安全セ ンターなどによる声明などは出ていない。
昨年12月、ジョハンズ農務長官は2007年2月に日本と輸入条件(20ヶ月 齢以下)の緩和に向けた協議を開始すると表明している。1月4日のプレス リリースでは「科学的」が強調されている。OIE(国際獣疫事務局)の 基準は30ヶ月齢であり、韓国などは軒並み30ヶ月齢以下である。日本の輸 入条件を“世界基準”の30ヶ月齢までへの“引き上げ”ようという圧力は 強まるだろう。すでに外食産業からは、引き上げの声が上がっている。