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3月9日のReutersなどによれば、国際獣疫事務局(OIE)は、米国とカナダのBSEリスクを「管理されたリスクの国」とする勧告を行ったと報じている。このリスク評価は、5月のOIE総会で正式に決定されるという。
米国農務省動植物衛生検査部(APHIS)は3月9日、「米国の規制管理が有効であり、米国の牛とあらゆる年齢の牛の肉製品が国際的なガイドラインに従って安全に貿易しうる」と歓迎する声明を出した。米国は2006年10月、OIEに対してリスク評価を申請していた。
・APHIS, 2007-3-9 ・Reuters, 2007-3-9 ・Bloomberg2003年以来、米国では3例、カナダでは今年2月の1例を含め9例のBSE感染牛が発見されている。しかし両国とも、完全な飼料規制は実施されていない。カナダでは2007年7月に完全実施が予定されて入るものの、米国では業界の強い反対で目処すら立っていない。米国のBSE検査体制は、先ごろ明るみに出た検体隠しや、カナダからの輸入生体牛の不十分な管理といい、果たして十分な「管理」がなされているのか疑問である。
OIEのBSEコードでは輸出入される牛肉は、「管理されたリスクの国」からは「30ヶ月齢を超える牛由来の機械的除去肉を含まない」とされている(第2.3.13.10条)が、現在の米国のような「リスク不明の国」では「12ヶ月齢を超える牛由来の機械的除去肉を含まない」とされている(第2.3.13.11条)。したがって、米国が「管理されたリスクの国」と認定された場合、日本の米国産牛肉の輸入条件である「20ヶ月齢以下」は、この点ではOIE基準とは合致しないものとなる。5月のOIE総会で米国のリスク評価が変更された場合、米国からの輸入圧力はより強くなるだろう。
このリスク評価変更に関して、3月10日の朝日新聞などが「米国を牛の月齢を問わずに輸出できる国に認定する見通し」と報じている。確かに機械的に加工していなければ30ヶ月齢以上の牛に関しても輸出入が可能となるだろう。この場合、OIEのBSEコードの「機械的除去」の解釈が問題となるだろう。現在のところ、この「機械的除去」と「30ヶ月齢以下」に関して、明確にOIEのBSEコードから削除するとの確定的な報は無い。2006年の総会では、「30ヶ月齢以下」の削除が提案されたが、日欧などの反対で、復活してる。
米国のBSEリスク評価を「管理されたリスクの国」とすることの問題点については、農業情報研究所が、米国の牛肉産業の現状とともに詳しく分析している。この分析は、米国がOIEに申請する直前のものであるが、大きく状況は変わっていないといえるだろう。
・農業情報研究所(WAPIC), 2006-8-303月3日の朝日新などによれば、米国通商代表部(USTR)は3月1日、通商政策の課題をまとめた年次報告を発表し、その中で日本が米国産牛肉の月齢条件の撤廃の受け入れるよう求めたという。
・朝日新聞, 2007-3-3