最終更新日:2007年4月24日
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2007.04.24 No.445
■花粉症緩和GM米、動物実験では安全と発表
 実用化への道は険しい

 農業生物資源研究所は4月3日、同研究所で開発中の花粉症緩和GM米の動物実験の結果について「異常は確認されなかった」と、その概要のみを公表した。このプレスリリースによれば、遺伝毒性試験、長期毒性試験(マウス:13週、サル:26週)、生殖・発生毒性試験(ラット)、抗体産生性確認試験(マウス、サル)を行ったがいずれも異常がなかったとしている。詳しい試験結果は公表していない。

 ・(独)農業生物資源研究所, 2007-4-3

 この花粉症緩和GM米については、2007年1月19日付けでつくば市にある農業・食品技術総合研究機構作物研究所と農業生物資源研究所の隔離圃場に限定した開放系での栽培から精米までを目的とする第一種使用規定の申請が出されていたが、4月19日開催された生物多様性影響評価検討会総合検討会(農水省・環境省)において、他の「野生生物」に対する影響はないとする環境影響評価書が承認された。以下のページに公開情報が掲載されている。

 ・農林水産技術会議, 2007-4-23

 この総合検討会の先立ち農作物分科会で審査が行われていたが、同日の検討会では分科会でまとめた「農作物分科会における検討の結果」を読み上げるのみで、実質的な審議は行われなかった。一部委員よりこのGM米の花粉症緩和機能が安全であることを強調するように求める意見が出されたが、他の野生生物への影響評価が同検討会の役割であるとして「結果」の修正は行われなかった。

 時を同じくしてスギ花粉を含む「健康食品」による健康被害が起き、厚労省は4月19日、スギ花粉を含む“製品”をスギ花粉症患者が摂取した場合、重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性があるとして「スギ花粉を含む製品の薬事法上の措置等について」と題する通知を出し、注意喚起を行っている。

 ・厚労省, 2007-4-19

 農水省などは、この花粉症緩和GM米について、直接にスギ花粉を用いる減感作療法とは異なり、新たに抗体を生ずることはないから安全であるとしている。先に報じられたように、厚労省の医薬品として扱うべきという最終判断により、ヒトでの薬としての治験が必要となり、「特定保険食品」として無制限に流通する道が閉ざされたことは評価できる。しかし今後、ヒトによる長期試験とともに、大量に栽培し生産するとなった場合に交雑を生じない栽培環境が確保できるのかが大きな壁となるだろう。農水省は30mの隔離距離を確保すれば交雑は置き得ないとして指針を決定しているが、先ごろ公表された北海道の交雑試験では少なくとも最低237mでの交雑を確認している。

 ・北海道, 2007-2-19

 専門家の中には、イネの花粉の寿命は極短いから到達距離は小さい、とは断定できないとの見解もある。実用化には、それこそ絶海の孤島か、宇宙スーテーションにでも“工場”をつくるしかないだろう。2004年ごろ、五島列島がその栽培地として想定されているとの一部の報道にあったようだが、実際の栽培に関して農水省などがどのようなビジョンを描いているのかは明らかになっていない。どのみち共存は不可能である。