Times(電子版)は6月1日、EUが豚とニワトリを原料とする肉骨粉の飼料化に向けた研究を行っていると報じた。これは、豚由来の肉骨粉をニワトリに、ニワトリ由来のものを豚の飼料として“再利用”することを目的としているもので、170万ユーロ(約2億8千万円)の資金を投じているという。バイオ燃料ブームによる大豆などの価格高騰による飼料価格の上昇が、畜産農家の経営を圧迫しているという実情を受けたものであり、欧州経済社会委員会(EESC:European Economic and Social Committee、EU委員会の諮問機関)の提案によるものとしている。
・Times, 2007-6-1この報道を受けて欧州経済社会委員会は6月1日、この提案が2006年9月14日のセッションで可決、提案された発表した。EUでは2001年から、肉骨粉の全面的な使用禁止を実施している。BSEやTSEに対して豚やニワトリなどの非反芻動物の肉骨粉が原因とならない以上、利用されるべきだとしている。そして、肉骨粉のタンパク質がどの動物由来のものであるかを確定する技術を開発すべきであるとしている。それにより、豚とニワトリに対して、共食いにならないように、豚には家禽由来の、ニワトリなどの家禽には豚由来の肉骨粉を飼料として使えるようにすべきだという。
こうした非反芻動物由来の肉骨粉の飼料化が、BSEやTSEの原因とされるウシや羊などの反芻動物の肉骨粉使用の抜け穴にならないのか。米国では2006年6月、ウシ由来の肉骨粉で汚染された乳牛用飼料が流通し問題となっている。この汚染飼料は10ヶ月間にわたり見逃され流通していた。米国ではウシなどの反芻動物由来の肉骨粉の生産と非反芻動物への使用が許されているが故の問題とはいえ、こうした汚染が起こりえないように、確実に抜け穴となりえない保障措置が取りうるのだろうか。