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米国のクレイグ・ベンター研究所は6月28日のScience(電子版)に「別種の裸のDNAを移植することにより、細菌の細胞のゲノムを完全に入れ替えた」と、細菌のゲノムの完全な入れ替え成功を発表した。
28日のScientific Americanによれば、細菌(マイコプラズマ)に対して、抗生物質耐性で細胞を青くするマイコプラズマの近縁種のゲノムを短時間一緒にし培養した後、抗生物質のテトラサイクリンに曝した。この処理された細菌は3日後、青く見えるゲノムの入れ替わった細菌に入れ替わり増殖していたという。この結果について研究者は、細菌のゲノムが完全に入れ替わったが、どのようにしてそれが起きたのか分かっていないという。ベンター氏は、次のステップがマイコプラズマの染色体の合成であると語ったという。また、この研究では人工生命を作り出すことはできなかった、とも語った。この研究は最終的に、人工ゲノムによりバイオ燃料の生成や二酸化炭素吸収を目的とする人工生命を作り出すことにあるとしている。同研究所は、10年以内に合成有機体によるバイオ燃料の生成を目標にしているという。
・Science, 2007-6-28 ・Scientific American, 2007-6-28 ・朝日新聞, 2007-6-29ベンター研究所は2006年10月、人工生命体に関する特許を申請している。これに対してETCグループは6月28日、「この研究が人工生命への最後のハードルの一つを越えたかもしれない」が、「合成生物学は、この地球に生きる全てのものにとても密接な関連のある行き過ぎた遺伝子工学姿である」との批判する声明を発表した。
・ETC Group, 2007-6-28また、6月28日のロイターによれば、このベンターの特許についてETCグループは、「この特許とその独占的な権利の幅と意味するところについて深く憂慮している。世界中の特許当局が、この特許を拒絶することを求める」としている。
・Reuters, 2007-6-28この研究を発表したクレイグ・ベンター研究所の代表のクレイグ・ベンター氏は、ヒトゲノムの解読競争の先頭を切っていた研究者でもある。同研究所の人工生命特許は、従来の遺伝子組み換え技術をさらに進めたものであり、単なる種の壁を越えるというようなものから、ヒトを含む生態系にとってさらに危険なものをもたらす技術といえるだろう。例えば、解読された病原性ウイルスや細菌の遺伝子配列から、新たな病原性ウイルス・細菌を作り出すことをも可能とする技術であり、新たな細菌兵器への技術でもある。
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