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始めに結論ありき
農林水産省農林水産技術会議は8月1日、「遺伝子組換え農作物等の研究開発の進め方に関する検討会」の中間とりまとめを公表した。この検討会は5月22日より6回の会合を開き、研究機関、バイオ企業などからのヒヤリングを重ねて中間とりまとめを決定した。この検討会が、日本における遺伝子組み換え作物の商業栽培を目的としているため、最初から遺伝子組み換え作物の開発中止という選択肢は用意されていないし、消費者の側からのヒヤリングが全くない片手落ちの検討会である。
今回の「中間取りまとめ」では、その多くを「オールジャパン」による研究開発体制の整備と研究者の育成に割いている。日本の遺伝子組み換え作物の開発には「戦略性がない」と分析し、「首尾一貫した総合戦略が必要不可欠」であるとしている。さらに現状の研究体制は、多くの企業が撤収する中、一部の農水系研究機関や大学に偏り「脆弱」であるとしている。その上で、国家戦略として「選択と集中」に沿って重点化を行うべきであるという。
しかし、この「中間取りまとめ」で遺伝子組み換え作物の食品としての安全性や交雑防止への言及はほとんどなされていない。この検討会のベースには、遺伝子組み換え作物に対する消費者の不安や安全性への疑念は、開発側の責任ではないと言いたげな内容となっている。消費者の不安感や不信感には「国民とのコミュニケーションの徹底と正しい情報提供が必要不可欠である」と提言しているものの、国民的合意の上で遺伝子組み換え作物の開発を進めるための道筋は、ほとんど何も示されてはいない。「コミュニケーションの徹底」をいうならば、まずは、食品安全委員会遺伝子組み換え食品等専門調査会と提出されたデータの公開、未だに発言者が伏字となっている議事録の是正や、パブリックコメントの回答に見られる木で鼻をくくった態度を改めることから始めてはいかがであろうか。説明責任が求められて久しいが、遺伝子組み換え作物に限らず、政策に関する国の説明責任は果たされているとは思えない。
今回の検討会のような「始めに結論ありき」のやり方で、果たして、国民的な合意形成が可能なのか、はなはだ疑問と言わざるを得ない。
・農林水産省 農林水産技術会議, 2007-8-1
※議事概要、配布資料