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8月24日の毎日新聞や中日新聞によれば、三重県四日市市の市食肉センターから特定危険部位(SRM)の牛のこめかみ肉が施設外に持ち出されているという疑惑が浮上したという。同食肉センターの買い付け業者が継続的にこめかみ肉を持ち出しているとの情報に、三重県などは8月3日より、立会い調査したが事実を確認できなかったとしている。この持ち出されたこめかみ肉一部が市内の焼肉店で提供されている、という情報も寄せられているという。
問題の頭部は、第3セクターの三重県四日市畜産公社が屠畜し、業者団体の四日市臓器組合に売却された後、業者が特定危険部位以外の舌やほほ肉などを処理している。残った頭部は公社が焼却処分しているが、業者の処理には立会い確認はしていないとしている。
買い付け業者でこめかみ肉を提供しているとされたのは四日市市議で、かつてはこめかみ肉を出していたが現在はしていない、と否定しているという。
・毎日新聞, 2007-8-24 ・中日新聞, 2007-8-24国内では33例のBSE感染牛が見つかっているが、三重県では見つかっていない。
日本のBSE対策は個体管理と全頭検査を軸にしたもので、個体管理すら満足にできていない米国のザルのようなドンブリ管理とは異なり、万全であって、特定危険部位が市場に出回ることはないとされてきた。しかし、今回の疑惑が事実とすれば、いくら「万全な」システムを構築したとしても、そこにかかわる屠場や食肉加工施設と業者次第でどのようにもなることを示している。米国を笑えない事態だ。
同センターにおいて、処理後の頭部の状態の確認がきちんと行われ、個体IDと頭部の写真が記録に残されていたのであれば、このような疑惑が生ずることはない。業者との「信頼関係」により、特定危険部位の管理に手抜きが行われていたことでもある、と思わざるを得ない。
「立会い調査」の現場で特定危険部位が持ち出されるとしたら、それこそ問題だろう。形ばかりの「立会い」出ない限り、だれも特定危険部位を持ちだすことがないのは「当然」である。誰が危険を冒して「持ち出す」だろうか。この疑惑のような特定危険部位の流出が、他の屠場や食肉加工施設で起きていないのか、早急に確認が求められる。
2008年8月から全頭検査が廃止されることになれば、特定危険部位が「20ヶ月齢以下」として流通する可能性がありうることを示している、といえるだろう。
日本の屠畜の現場については、『世界屠畜紀行』(内澤旬子著、解放出版社)に詳しい。この本では、東京都品川区にある芝浦と場(東京都中央卸売市場食肉市場・芝浦と場)で屠畜され、部分肉や内臓肉に加工される様子がイラストつきで詳しくルポされている。