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厚労省は9月28日、9月24日から28日まで幕張で開催されていたコーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会の第7回会議は、議題となっていた3項目のガイドライン原案を承認したと発表した。これにより、低レベル汚染の問題や遺伝子組み換え動物などの安全性評価のガイドラインの実質的な審議は終了し、2008年7月のコーデックス委員会での採択に場を移すこととなった。
今回提起されていたガイドラインは次の3つ。
- 組換えDNA動物由来食品の安全性評価
- 栄養又は健康に資する組換えDNA植物由来食品の安全性評価(付属文書)
- 微量に存在する組換えDNA植物の安全性評価(付属文書)
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは9月29日、このコーデックス・バイテク部会の報告集会を東京で開催した。同部会に消費者団体としてオブザーバー参加した山浦康明氏(日本消費者連盟)やマイケル・ハンセン氏(世界消費者機構)などから、次のように報告された。
遺伝子組み換え動物の安全性ガイドラインについては、動物に対する環境、倫理、動物福祉については検討から外され、組み換え植物ガイドラインをベースに検討が行われた。大きな問題となっていたのは組み換え遺伝子に使われる抗生物質耐性マーカーの利用であった。2007年3月、この問題に関するFAOとWHOの合同専門家会合が開かれ、いくつかの代替手段が示されていた。推進側から、この代替案の安全性が確認されていないと強硬な主張があり、抗生物質耐性マーカーの利用禁止は入らなかった。
花粉症緩和米などの栄養強化GM作物・食品は、新たに生成される機能成分が組み換え遺伝子の働きによるため、コントロールできないなどの問題があり、「実質同等性」が成り立たないにもかかわらず、実質的な議論はなかった。
低レベル汚染の問題は、輸出国では承認されている一方、輸入国で未承認の遺伝子組み換え食品が「混入」していた場合の安全性評価をどうするかというガイドライン。これは、スターリンクやBt10のような未承認品種の混入に悩まされている米国が2005年に持ち出してきたもの。今回、「低レベル」の基準は、リスクマネジメント(政策)の問題であるとして、どのような数値になるのかという議論がまったくなされないまま、先進国のごり押しが通った。輸入国が輸入拒否の権限を持つとはいえ、極端な場合、50%の“混入”でも「低レベル」とすることが可能となるという代物であり、立場の弱い途上国が米国のような輸出国に押し切られる可能性が大きい。この問題では、原則公開されるデータベースを作ることが条件となった。GM企業がどの程度の情報公開を行うのか、はなはだ疑問だ。
一方、今回のバイテク部会の決定に関して、欧米の遺伝子組み換え推進団体は、ことに低レベル汚染について、低レベル汚染が現実の問題であるとしてこの決定を「歓迎」するとの声明を出している。
CropLife は9月28日、バイテク部会の決定が「国際的な進歩」であるとし、「農産物の低レベル汚染は、世界的な穀物生産や輸送にとっては現実である。この問題を取り扱う方法の一貫性の不足は、追加費用と不確実性を農業市場に課して、大きな取引の混乱につながる」と歓迎している。
・Croplife, 2007-9-28 ・EuropaBio:Press Release, 2007-9-28関連記事 No.486