最終更新日:2007年10月16日
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2007年10月

2007.10.16 No.495
■東アジア全域でUPOV体制構築を目指す農水省

 農水省は10月10日、日中韓のほか東南アジア各国(カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)、オーストラリアなどに加え植物新品種保護国際同盟(UPOV)事務局、EUからの参加による「アジア地域の植物品種保護制度に係る協力と協調に関するシンポジウム」と併せて開催された国際会議の概要を公表した。このシンポジウムは10月4,5日の2日にわたって開かれたもので、参加各国の植物品種保護制度の整備状況や品種保護制度強化への今後の地域協力・協調のあり方について報告があったとしている。このシンポジウムの後開かれた国際会議において日本から設置を提唱した「東アジア植物品種保護フォーラム」に強い支持が得られ、今後の協力などを共同ステートメントとして取りまとめたとしている。

 今回提唱された「東アジア植物品種保護フォーラム」構想は、日中韓とASEAN諸国による植物新品種保護体制を整備し、将来的には、域内諸国のUPOVへの加盟と、知財共通システムの構築を目指すとしている。農水省は11月2日にバンコクで行われるASEAN+3(日中韓)農林大臣会合で、意見交換や協力推進の場として常設の「東アジア植物品種保護フォーラム」の設置を正式提唱するとしてる。

 ・農水省, 2007-10-10

 UPOVには2006年12月末で63ヵ国が加盟し、アジアからは日本、中国、韓国、シンガポール、ベトナムの5ヵ国だけである。農水省は10月5日、ベトナム農業農村開発省と植物新品種に関する審査協力協定を締結し、審査結果の相互利用の推進や情報交換を進めようとしている。当面はキクとバラの審査報告書の相互利用を進めるという。

 ・農水省, 2007-10-3

 新品種保護を名目に自家増殖を全面的に制限しようというUPOV体制は、何千年と行われてきた自家採種の権利が侵害される危険性が大きいといえよう。日本では、UPOVに基づく登録品種制度と特許権、地域団体商標制度という3つの「知的財産保護制度」により自家採種、自家増殖が全面的に制限されようとしている。現在は新規に開発された品種という限定がある。しかし、特定の遺伝子に対する特許権が認められた場合、この限定はもろくも崩れ去る可能性が大きいと考えざるを得ない。在来種といえども安心はできない。「東アジア植物品種保護フォーラム」は、こうした自家採種、自家増殖の制限を東アジア全域に拡大しようというものである。

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