5月29日のAPなどによれば、米国農務省は食肉加工業者のCreekstone社による全頭BSE検査を封ずるべく控訴したという。連邦地裁は3月29日、Creekstone社に全頭検査を認める判決をだしていたが、米国農務省は控訴期限(6月1日)の寸前の5月29日になって控訴した。これにより、同社の全頭検査に対する結論は先延ばしとなった。
5月25日の北海道新聞などによれば、厚労省は2005年8月より3年間を期限として実施している20ヶ月齢以下の牛に対するBSE検査費用の補助金の打ち切りを決めたという。この補助金は、2005年8月に食品安全委員会が20ヶ月齢以下の牛は安全との「お墨付き」を出したことで、それまで実施していた全頭検査を21ヶ月齢以上に限定したが、消費者の反発により補助金を出していたもの。
新たなGM汚染の可能性も
米国コーン生産者財団(ACGF:American Corn Growers Foundation)は5月18日、米国の多くの大型穀物エレベータ(集荷施設)でGM種と非GM種の分別が行われておらず、このことが米国のトウモロコシ輸出の減衰の原因で、将来的に輸出市場を失うことになると警告する調査結果を公表した。
OIE「管理されたリスクの国」と評価
国際獣疫事務局(OIE)は総会は5月22日、BSEに関する米国の位置づけを「管理されたリスクの国」とするOIE科学委員会の答申通り、全会一致で決定した。今回の決定は米国など各国の申請に基づくもので、米国を含めて11カ国のBSEステータスが決定された。
日本ではずっと棚上げ
韓国・聨合通信は5月17日、韓国国会に提案されている厳格な原産国表示義務を課す法案を報じている。法案は、コメと牛肉を使用するあらゆるレストランと学校給食における原産国表示と、学校給食での遺伝子組み換え食品の使用禁止などを求めている。
北陸研究センターは5月18日、新潟県上越市の同センター内隔離圃場で実施した複合病害抵抗性イネ2系統の試験結果の概要を公表した。これによると遺伝子組み換えの親に使った「どんとこい」と比較し多結果を、次のように述べている。
農水省は5月18日、4月に公表したカーギル社ドッジシティー工場より出荷された牛肉に月齢不明の牛タン4箱が混入していた件について、混入した牛タンは20ヶ月齢以下という条件を満たしていないとする米国農務省の報告書を公開した。これによると、原因は、日本向けでない4箱に、あらかじめ日本向けのラベルを貼ってあった蓋を使用した作業ミスにより混入したとしている。
5月18日の毎日新聞によれば、愛知県警は5月17日、愛知県の菊栽培農家を種苗法の育成者権侵害の疑いで名古屋地検半田支部へ書類送検したという。これは2006年3月、問題の菊を品種登録していた会社の告発を受けて押収された菊を、1年がかりで栽培し登録品種であることを確認しての送検という。
焼き畑火入れ(予定)の見学も
9回目となる今年の「たねとりくらぶ」(全国種苗研修会)は8月4,5日の両日、福井県池田町で開催される。今年は「タネ・農の原点に回帰、そして交流」をテーマに、たねとり実践技術研修、種苗交換会のほか、北陸・近畿の伝統野菜の展示・試食も予定されている。2日目には、県福井市味見河内(あじみこうち)町(旧足羽郡美山町)の河内赤かぶらの焼き畑火入れ(予定)の見学などが用意されている。
Reutersは5月16日、米国農務省動植物衛生検査部(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)が、Ventria Bioscience社のヒトのタンパク質産生遺伝子を組み込んだ遺伝子組み換え米の商業生産を承認したと報じた。これによりVentria社は、カンサス州の3200エーカー(約1500ヘクタール)でGM米の商業生産が可能となる。Ventria社は、250エーカーで生産するとしている(別の報道では400エーカー)。
農水省は5月18日、大阪港に到着した米国産牛肉に証明書のない牛内臓肉(センマイ)が見つかった公表した。これは、カーギル社フォートモーガン工場より輸入された約2900箱の冷凍レバー(約18トン)に、センマイ1箱が混入していたというもの。農水省は、この加工施設からの輸入手続きを一時停止するとしている。
農水省は5月15日、花粉症緩和GM米など2品種の遺伝子組み換え作物の第一種使用規程(何らの隔離などの防止措置もとらない栽培)について意見募集を始めた。締切りは6月13日。
野菜や花などの新品種を開発した人や法人(育成権者)の権利保護と権利侵害への罰則強化などを盛り込んだ改正種苗法は5月11日、衆議院本会議で全会一致で可決、成立した。これにより、登録品種の違法な増殖など育成権の侵害に対して、現行の懲役3年、罰金3百万円を、懲役10年、罰金1千万円と大幅に引き上げ(67条)、両罰規定として法人の罰金は3億円まで引き上げた。さらには、権利侵害による損害額を裁判所が認定できることや、裁判所が関係文書の公開を禁ずる秘密保持命令が出せるようになる。この改正種苗法は12月1日より施行される。
農水省は5月14日、花粉症緩和GM米などの第一種使用規定に関する総合検討会を5月24日に開催すると発表した。傍聴可能。詳しくは下記へ。
日本モンサントは5月7日、同社河内研究農場(茨城県河内町)の隔離圃場で実施する遺伝子組み換え作物3品種の栽培計画を公表した。これによると、ラウンドアップ・レディー・大豆(隔離距離10m)とラウンドアップ・レディ耐性と害虫抵抗性を兼ね合わせたトウモロコシ(開花前に除雄)、ラウンドアップ・レディー・テンサイ(H7,開花がないので交雑防止措置なし)の3品種を栽培するという。大豆とトウモロコシは一般に公開するとしている。
農水省は5月11日、「教育ファーム推進研究会」の設置とその開催を公表した。農水省は「教育ファーム」を「自然の恩恵や食に関わる人々の様々な活動への理解を深めること等を目的として、市町村、学校、農林漁業者などが一連の農作業等の体験の機会を提供する」ものとしている。その上で、新たな研究会は、「推進するために必要な方策」や「関係者のネットワーク化」「教育ファームの効果測定」を検討するとしている。
農水省は5月11日、米国の対日牛肉加工施設への“査察”を5月13日から28日にかけて行うと発表した。この発表によれば、すでに“査察”の終了している施設は対象外としている。この査察は、4月20日の日米農相合意を受けて行われるもの。
5月11日のReutersは、多くの農民の自殺原因となっている遺伝子組み換えBtコットンから大豆への転換を進めるインド西部マハラシュトラ州の動きを報じている。2006年、マハラシュトラ州では1400人余りの農民が自殺していて、そのほとんどが綿栽培農家だという。Btコットンは低い収量に加え、栽培には高価な種代や農薬、肥料代でヘクタールあたり約17000ルピーのコストがかかる。農民の多くは、高利貸しや銀行から高金利で借金することを強いられる。しかし、天候不順などで失敗した場合、負債に耐えかねて自殺に追い込まれるという。
北見農業試験場の開発したジャガイモの新品種「さやあかね」は、無農薬で栽培しても収量減も少なく、味も「男爵」以上でコロッケ向きだという。
REGNUM News Agency(ロシア)は4月16日、ラットを使ったGM大豆の健康への悪影響を示す新たな研究を報じた。これは Vavilov農業大学(サラトフ州)で実施された研究で、実験を行った生物工学研究者のマリア・コノヴァローヴァ氏は、GM大豆を与えたラットは 内部器官(肝臓、腎臓、睾丸)などに深刻な損傷を引き起こし、加えて、妊娠する胎児の数、子どもの死亡率の差、攻撃性と母性喪失の増加に影響する、と記者会見で語った。
朝日新聞は5月9日、2003年U発見された21ヶ月齢と23ヶ月齢のBSE感染牛の脳を使ったマウスでの感染試験で感染性が確認できなかった、と報じた。これは、厚労省の研究班の行った試験について報じたもの。詳細は明らかにされていない。
米国コーン生産者協会(ACGA:American Corn Growers Association)は4月25日、超党派による2007年改正特許法に支持を表明した。家族農家は、長い間、遺伝子組み換え特許を侵害したとするモンサント社の攻撃と闘ってきた。風などによってGM品種の花粉が拡散し、非GM品種を汚染してきた。このほど議会に提案された改正法は、農民が「故意に」特許品種を使用したと主張する企業から農民を守るという。ACGAは、現行の米国特許法は、巨大なアグリビジネスの攻撃から農民を放置しているとして、過酷な特許の乱用に服従されるべきではない、と主張している。
農業生物資源研究所は連休直前の4月27日、同研究所の隔離圃場で今年度に実施される遺伝子組み換えのイネとダイズの栽培試験についての一般説明会の開催を公表した。これによると、5月9日から12日にかけて午前と午後の計8回、各回10人程度の少人数で意見交換を行うとしている。事前申込みが必要。詳しくは同研究所のページへ。
環境省は5月4日、4月30日から5月4日までタイ・バンコクで開かれていた気候変動に関する政府間パネル・第3作業部会報告で採択された「気候変動の緩和策」に関する報告書の政策決定者向け要約の概要を速報版として公表した。
欧州特許庁(EPO:European Patent Office)は5月3日、遺伝子組み換え大豆に関するモンサント社の基本特許(EP 0301749) の無効を決定した。決定は、この基本特許の一部に新規性がなく、その発明が再現できる方法で記載されていなかったことによるものという。今回の審判は、この特許が認められた1994年、ETCグループとシンジェンタ社などが申し立てにより行われていた。この特許については、当初モンサント社は無効を申し立てていたが、元々この特許を所有していたAgracetus社を1996年に買収し、この申し立てを取り下げていた。
ETCグループは4月30日、2006年度の“世界の種子会社トップ10”を発表した。これは売上高ベースによるもので、モンサント1社で世界のシェアの20%を越えた。続くデュポン、シンジェンタなどのトップ4社で49%を占めるなど、寡占化が信仰していると分析している。
米国サンフランシスコ連邦地裁は5月3日、モンサント社の遺伝子組み換えアルファルファの商業栽培について、その認可に当たって米国農務省(USDA)の環境影響評価が不徹底であったとして新たな栽培禁止の判決を下した。この判決では、農務省は認可の前に、このGMアルファルファによる環境と従来のアルファルファ品種に対する影響を科学的に調査しなければならないとしている。また判決は、すでに野生や有機栽培のアルファルファに対するGMの汚染が起こった点に留意し、「こうした汚染は、回復できない環境被害であり、汚染は回復できない」としているという。
カナダ食品検査庁(CFIA)は5月2日、ブリティッシュコロンビア州においてカナダ国内で10頭目となるBSE感染牛を確認したと発表した。問題の牛は、66ヶ月齢の乳牛で、カナダで発見されたBSE感染牛の月齢範囲内にあり、この牛が極微量の感染源に曝されたことを示しているとしている。
米国の食品安全センター(Center for Food Safety)は5月3日、米国食品医薬品局(FDA)によるクローン動物由来の食品解禁についての意見募集に13万人以上が反対の意見書を提出したと発表した。昨年末、FDAはクローン動物由来の肉や乳製品などは安全であり、表示なしで流通を認めると発表し、この1月以来、意見募集を行っていた。当初4月3日で締め切られる予定であった意見募集は、5月3日まで、1ヶ月間延長されていた。
産経新聞は4月23日、東大大学院の西澤直子教授らのグループがアルカリ土壌でも生育可能なイネを開発したと報じている。この記事では、アルカリ土壌に含まれる不溶性の三価鉄を水溶性の二価鉄に効率よく還元する遺伝子を食用酵母から作り「イネに導入」したという。導入しないものと比べ7.9倍の収量増だったとしている。
英国・食品規格庁(Food Standards Agency)は4月26日、オランダを経由して輸入された中国産の未承認の遺伝子組み換え米(Bt63)が、英国にも輸入されていたと発表した。4月23日までに業者の在庫は処分されたが、多くはすでに、飼料として販売され使用されていたという。