2007年
2007年3月
2007.3.28 No.441
2007.3.27 No.440
2007.3.22 No.439
2007.3.13 No.438
2007.3.10 No.437
2007.3.9 No.436
2007.3.28 No.441
■原告推薦の鑑定先に決定 新潟GMイネ裁判
新潟県上越市の北陸研究センターで試験栽培されている耐病性ディフェンシンGMイネをめぐり、試験の中止を求めた本訴が山場を越え第2ラウンドに入った。新潟地裁高田支部は3月15日、GMイネの細胞外へのディフェンシン流出についての鑑定を原告推薦の京都大学の佐藤文彦教授に決定した。佐藤教授はGMイネ仮処分裁判では、被告側から研究推進の意見書を提出していたが、遺伝子組み換え技術が国民の理解を得るには研究や実験にともなうリスクを徹底的に調査しなければならないという観点から、新潟GMイネの問題点について裁判所から鑑定の依頼に誠実に協力するとの意向を示していた。被告側はこの間、原告側の意見書を書いた京都学園大学バイオ環境学部の金川貴博教授と佐藤教授と関係を「頻繁に会っている」から信用が置けないなどと主張する一方、ディフェンシンGMイネ開発者に近い東大教授を推薦していた。
今回の決定により鑑定が実施されることで、被告の主張するように組み込まれたカラシナ遺伝子によって作られるディフェンシンが細胞の外部に流出することが無いのかが明らかになる。
こうした裁判の新たな展開に裁判を支援してきた新潟イネ裁判支援ネットは4月17日、東京で報告集会を開く。この集会では、裁判経過と争点を原告弁護団の柳原弁護士が、科学的な争点を専門家の生井氏が解説を予定している。
(以下、転載)
4・17禁断の科学裁判報告会
新潟県にある北陸研究センターが2年間にわたり、野外実験を強行した複合耐病性の遺伝子組み換え(GM)イネ。
GMイネでディフェンシン耐性菌は生まれるか
ディフェンシンはイネ体外に出るか
高田地裁が原告推薦の鑑定先に鑑定委嘱を決定!!
裁判は第2ラウンドへ入りました。
このGMイネが抗菌たんぱくディフェンシンを人工的に常時作り出すことから耐性菌の出現の危険性を専門家たちから強く指摘されてきました。
植物、昆虫、人が病原菌の侵入に対する最初の防御として作り出す抗菌たんぱくディフェンシンは最近知られるようになった物質です。これが効かない耐性菌の出現は院内感染の比ではない災禍をもたらすでしょう。
国の実験指針のお寒い内容、耐性菌の出現を想定しない管理体制のまま野外栽培が行われてきました。裁判では被告が安全と主張する論拠を論破してきた原告弁護団や支援の専門家からわかりやすく解説と報告を致します。
遺伝子組み換え生物の開発が市民の生命、環境保全を脅かす事例が世界各国で起こるようになりました。日本で最初のGM裁判にその問題点が凝縮しています。
ぜひ、ご参加ください!
そして多くの方に関心を向けていただき、次なる一歩へつなげていければと思います。
<禁断の科学裁判報告会>
日 時:4月17日 午後1:30から3:30
場 所:飯田橋セントラルプラザ 17階 学習室C
参加費:500円
プログラム
1.日本のGMイネ裁判の意味について
新潟イネ裁判支援ネット 安田節子
2.裁判経過と争点の解説、裁判の今後 柳原敏夫弁護士
3.質疑応答
4.専門家による争点の解説 生井兵治
・仮処分争点 交雑の可能性
・本裁判争点 ディフェンシンは出るか
ーイネ株元の水、被告実験、生物検定、免疫測定
5.質疑応答
6.科学裁判に求められること 柳原敏夫弁護士
7.意見交換
主 催:新潟イネ裁判支援ネット
TEL:045-962-4958(安田)
E-mail:vision21@ps.catv.ne.jp
■遺伝子組み換えギンドロを承認 初の遺伝子組み換え樹木
農水省は3月22日付けで遺伝子組み換えギンドロの隔離圃場での栽培を承認した。遺伝子組み換え樹木では初のケース。この遺伝子組み換えギンドロは(独)林木育種センターが申請していたもので、茨城県日立市の同センターの隔離圃場で栽培される。期間は、2012年12月31日まで。申請書によれば、この遺伝子組み換えギンドロは、コウジカビ由来の遺伝子が組み込まれたもので、セルロース含量と比重が高いという特徴は、将来、パルプ原料として利用することを想定しているという。
2007.3.27 No.440
■有機農業推進基本方針決まる 環境保全型と別ものとして推進と明言
有機農業推進法による国の基本方針は、3月27日に開かれた食料・農業・農村政策審議会第6回生産分科会で農水省の修正原案通り答申されることとなった。農水省案は、前回の審議と意見募集(3月1日から3月15日)を踏まえ、10数ヶ所の語句訂正や追記による修正がなされた。また、意見募集では219人・団体から575件の意見が提出されたという。前回の審議会で農水省案が示され、委員より補強意見が出されていた。ことに、有機農業の位置づけを環境保全型農業の一部とする農水省案に対して、金子委員(有機農業者)と石井委員(島根県農林水産部農畜産振興課有機農業グループリーダー)より別のものと位置づけるように求める意見が出されていた。
27日の審議では、出席した9名の委員の全会一致で農水省案を認めることとなった。その中で、横川委員(日本フードシステム協会理事)から「有機農業を国が30年放置していた」との厳しい意見が出された。これに農水省は、「30年放置」には「一挙に有機にいけないので環境保全型に注力してきたが今後は有機は有機としてきちんと取り組む」と答えた。審議会の最後に挨拶に立った吉田審議官はこの基本方針について「重い課題をもらったと思う。横川委員の言われた「30年放置してきた」との意見を重く受け止める」とし、また今後は有機農業団体などと協力して、環境保全型農業の一部という有機農業の位置付けは変えないものの、環境保全型とは別のものとして推進に努めると明言した。
有機農業者への直接支援はならなかったが、今後は、この基本方針に基づく都道府県や市町村レベルでの基本計画の策定と具体的な施策実施の段階へ向かうこととなる。
■花粉症緩和GM米 日本人のGM疑念の突破口となるか
インドのZeenews.comは3月23日、農業生物資源研究所で開発中の花粉症緩和GM米が、GM食品に対する日本人の疑念を説得するかもしれないという記事を掲載した。
この記事では、日本の消費者の多くがGM技術を疑い深く思っているため、世界的にGM農産物の商業生産が増加するにもかかわらず日本では商業的には大きなものになっていない。しかし、一部の当局者は、花粉症緩和という「健康増進機能」が、GM作物を受け入れさせる最良の機会の一つかもしれないと語ったという。
また、花粉症緩和GM米の効果は、マウスではうまくいったが、当局者の一人は、「ヒトによる試験の予定はない」とするものの、商業化を望んでおり、花粉症緩和GM米が「食品」なのか「薬」なのかを決める微妙な段階に達したと語ったという。
・Zeenews, 2007-3-23
この花粉症緩和GM米を農業生物資源研究所は、スギの花粉に対する減感作療法であるとしている。減感作療法は、「原因となっている抗原(ここでは花粉)を少しずつ増やしながら注射していく治療法で、簡単に言えば、徐々に抗原に慣れさせて、最終的にはアレルギーが起こりにくい体質に変えていこうというものです」と説明されている。
・農業生物資源研究所
「スギ花粉症緩和米とは?」
「スギ花粉症緩和米とは?」
この花粉症緩和GM米について、ISIS(英国:Institute of Science in Society)は2006年3月31日、スギ花粉症緩和GM米の花粉症を緩和させるメカニズムがヒトの免疫系へ影響し、その結果、ぜん息を増加させる危険性があるという警告記事を掲載している。
・ISIS(Institute of Science in Society), 2006-3-31
この2月には和歌山で、スギ花粉を原料とする健康食品を服用したことによるアレルギー症状で意識不明に陥った例が報告されている。厚労省は3月27日、このアレルギー症状について専門家の検討の結果、「スギ花粉を含む食品についても、スギ花粉症の方はこれらを摂食することにより重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性がある」として注意喚起を行った。
・厚労省, 2007-3-27
・和歌山県環境生活部食の安全局, 2007-2-26
先の記事でも言うように「マウスではうまくいった」かに見える花粉症の緩和が、ISIS の警告するような副作用なく実用化されるのか。農水省は2004年ごろ、花粉症緩和GM米を「薬」としてではなく特定保健食品として指定しようとしていたという。「薬」とした場合、ヒトでの治験の実施など費用と時間がかかることになり、こうした手間を省こうとしたものと見られる。この位置づけが実用化への大きな壁となるだろう。
2007.3.22 No.439
■有機農業推進法・基本方針案 最終審議会は27日に開催
農水省は3月20日、有機農業推進法による国の基本方針案審議の審議会を27日に開くと発表した。農水省は2月27日の審議会に基本方針案を提示し、3月15日まで意見募集を行っていたが、この審議会で取りまとめ正式決定しようとしている。この審議会の傍聴は可能で、23日まで応募を受け付けている。
■OIE 米国、カナダの飼料規制を不十分と認定
農水省は3月22日、2月のOIE(国際獣疫事務局)科学委員会による各国のBSEリスク評価報告の邦訳を公開した。これによれば、OIEに申請のあった12ヶ国のリスク評価を行い、次のように格付を行った。すでに米国とカナダについては両国当局が3月9日、この評価を「歓迎」する声明を出していた。
●無視できるリスク
ニュージーランド、シンガポール、ウルグアイ、アルゼンチン、オーストラリア
●管理されたリスクカナダ、台湾、米国、ブラジル、スイス、チリ
●申請却下
スウェーデン
この科学委員会の報告書は、米国とカナダを「管理されたリスク」と評価しているが、飼料規制が不十分性から交差汚染の可能性は今後も持続するとしている。さらに、評価はしたものの、提出されたデータをさらに追加するように求めている。
・農水省, 2007-3-22
「OIE科学委員会が示した各申請国のBSEステータス評価案の概要」
「OIEの動物疾病に関する科学委員会報告(仮約)」
■牛肉混入 米国農務省 タイソン社の人的ミスと報告
農水省は3月22日、2月に見つかったタイソン社レキシントン工場(ネブラスカ州)による証明書の無い米国産牛肉混入に関する米国農務省の報告書を公表した。この報告書によれば、この混入はタイソン社のスキャン担当者がスキャナーのエラーメッセージを無視して非適合品をパレットに積載し、さらに確認作業担当者がそのまま適合品として署名を行ったことによる「人的エラー」だとしている。さらに、混入した牛肉が日米取り決めの20ヶ月齢以下であったとは確認できなかったとしている。これを受け農水省などは、タイソン社レキシントン工場からの輸入手続を停止し、今後の対応は改善状況を踏まえて判断するとしている。
・農水省, 2007-3-22
昨年11月に発覚したスイフト社グリーリー工場からの胸腺肉の混入も、今回同様にスキャン担当者のミスであったとしている。このことは、いろいろなシステムは作るものの、人的エラーを回避できるほどの内容がないものであり、品質管理システムに信頼性の無いことを露呈している。今後もこのような問題が起きるだろう。
2007.3.13 No.438
■有機農業推進法・基本方針 審議会資料を公開 意見募集は15日まで
農水省の食料・農業・農村政策審議会生産分科会で審議中の有機農業推進法の基本方針(案)に関して、審議会に提出された方針案本文や関連資料、議事録が公開されている。基本方針(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)は15日までである。
●食料・農業・農村政策審議会 生産分科会
第4回(2007年1月29日)
議事録
第5回(2007年2月27日)配付資料
資料3有機農業の推進に関する基本的な方針(案)
資料4有機農業の推進に関する基本的な方針(案)の概要
参考資料1有機農業の現状と課題(改訂版)
■GMトウモロコシの安全性に疑いが グリーンピースが公表
グリーンピースは3月13日、日本でも食品として安全性が承認されているモンサント社の害虫抵抗性のGMトウモロコシ(MON863)の安全性に重大な問題があるという、新しい研究結果について発表した。この研究は、フランス・カン大学の研究チームによるもので、モンサント社が欧州での販売許可申請に際して、欧州委員会に提出した同社の害虫抵抗性GMトウモロコシMON863の安全性調査報告書を専門家らがあらためて審査したものという。3月13日付けの『環境汚染と毒物学の記録〔Archives of Environmental Contamination and Toxicology〕』に発表されるとしている。
この発表によれば、モンサント社のデータを検討したフランスのカン大学の遺伝子組み換え技術の専門家であるギリス・エリック・セラリーニ教授は、「モンサント社の分析結果は、厳格な精査ではなく非常に疑わしいものだ。動物の体重変化に十分な分析が行なわれていない。またモンサント社は重大な尿検査の結果を隠蔽していた」と語ったという。
この分析についてグリーンピースは、MON863が認可されべきではなかったものであり、緊急に世界市場から回収すること、遺伝子組み換え作物の再評価とともに評価方法の妥当性をも再評価するようによびかけている。
このMON863は日本では、2002年2月に食品として、2003年3月に飼料として安全とされ承認されている。しかし、米国ではこのトウモロコシ自体が「生物農薬」として米国環境保護庁(EPA)に登録されている。
2007.3.10 No.437
■米国とカナダ BSE「管理されたリスクの国」へ
国際獣疫事務局(OIE)は3月9日、米国とカナダのBSEリスクを「管理されたリスクの国」とする勧告を行ったという。正式には、5月のOIE総会で決定される。米国農務省動植物衛生検査部(APHIS)は3月9日、「米国の規制管理が有効であり、米国の牛とあらゆる年齢の牛の肉製品が国際的なガイドラインに従って安全に貿易しうる」と歓迎する声明を出した。米国は2006年10月、OIEに対してリスク評価を申請していた。OIEのBSEコードでは、「管理されたリスクの国」からの牛肉輸出は「30ヶ月齢を超える牛由来の機械的除去肉を含まない」とされている。2003年以来、米国では3例、カナダでは今年2月の1例を含め9例のBSE感染牛が発見されている。しかし両国とも、完全な飼料規制は実施されていない。カナダでは2007年7月に完全実施が予定されて入るものの、米国では業界の強い反対で目処すら立っていない。米国のBSE検査体制は、先ごろ明るみに出た検体取替えや、カナダからの輸入生体牛の不十分な管理といい、果たして十分な「管理」がなされているのか疑問である。
■遺伝子組み換え食品に「高リシンとうもろこし」を追加へ
農水省と厚労省は3月9日、「食品の表示に関する共同会議」を3月23日に開くと発表した。この会議の議題の一つに「遺伝子組換え表示対象品目の見直しについて」が予定され、現在32分類ある表示義務のある遺伝子組み換え食品に「高リシンとうもろこし」を追加しようとしている。この「高リシンとうもろこし」は、飼料用としてモンサント社の開発したトウモロコシで、アミノ酸のリシン含有量を高めたもの。ニュージーランドでは2006年6月、このGMトウモロコシの加熱により生ずる生成物が糖尿病を引き起こす可能性があると報道された。
2007.3.9 No.436
■有機農業推進法・基本方針案、意見募集は15日まで
有機農業推進法に基づく国の基本方針(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)が3月1日より始まった。締め切りは15日。意見は、メールやFAXなどで送ることができる。この基本方針(案)は、意見募集の後、3月下旬に開催される審議会での取りまとめを経て正式決定される予定という。・農水省, 2007-3-1
■米国で新たなGM米汚染 BASFの非GM米で見つかる
米国農務省動植物衛生検査部(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)は3月5日、BASF社の開発した非GM米にGM汚染の痕跡を発見したとする緊急行動通知を出したと発表した。この声明によれば、BASFの非GM米のClearfield CL131という長粒米にバイエル社のGM米(LLRice)による汚染の痕跡が発見され、APHISは、この長粒米の種子の流通と作付を行わないように緊急措置をとったという。この汚染の詳細は特定されていないとしている。