最終更新日:2007年5月31日
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2007.5.3 No.449
2007.5.2 No.448
最新の農と食
2007年5月の農と食

2007.5.31 No.466
■米国農務省 全頭検査阻止に控訴
 5月29日のAPなどによれば、米国農務省は食肉加工業者のCreekstone社による全頭BSE検査を封ずるべく控訴したという。連邦地裁は3月29日、Creekstone社に全頭検査を認める判決をだしていたが、米国農務省は控訴期限(6月1日)の寸前の5月29日になって控訴した。これにより、同社の全頭検査に対する結論は先延ばしとなった。APによれば、中堅の同社が全頭検査を導入しその安全を宣伝することにより、それが波及することを大手食肉加工業者が恐れているとしている。
 ・AP, 2007-5-29

 この控訴で明らかになったのは、米国農務省のBSE隠しの姿勢であるといえるだろう。


■BSE全頭検査費用補助 08年7月末で打ち切りへ
 5月25日の北海道新聞などによれば、厚労省は2005年8月より3年間を期限として実施している20ヶ月齢以下の牛に対するBSE検査費用の補助金の打ち切りを決めたという。この補助金は、2005年8月に食品安全委員会が20ヶ月齢以下の牛は安全との「お墨付き」を出したことで、それまで実施していた全頭検査を21ヶ月齢以上に限定したが、消費者の反発により補助金を出していたもの。毎日新聞によれば、全国で20ヶ月齢以下は約15万頭。その検査費用の補助額は年間3億〜4億円であるという。全頭検査継続の方針を明らかにしているのは、京都、山形、宮崎の3府県のみであるとしている。
 ・北海道新聞  ・毎日新聞, 2007-5-28

 すでに、日本で2003年に発見された21ヶ月齢と23ヶ月齢のBSE感染牛の脳に感染性がないとの試験結果が報じられている。また、5月22日の国際獣疫事務局(OIE)総会において、米国のBSEステータスは「管理されたリスクの国」と評価が決まり、米奥による開放圧力が強まっている。補助金打ち切り方針も、米国産牛肉の全面開放へ向けた動きでもあるといえるだろう。  若齢感染牛の試験結果は、明日31日開催される食品安全委員会プリオン専門調査会で明らかにされるかも知れない。

 韓国でも米国は強い姿勢を示している。韓国政府は5月28日、OIEの決定を受けて米国が牛肉輸入条件の見直しを求めてきたことを明らかにし、正式に検討すると明言している。これにより、韓国では現在の「骨なし」で「30ヶ月齢以下」という輸入条件を見直し、「骨付き」を容認することになるだろうと聨合ニュースは報じている。先ごろ妥結した韓米FTAの批准に米国議会の一部は、韓国の米国産牛肉輸入の条件緩和を求めている。
 ・聨合ニュース, 2007-5-28

■遺伝子組み換え作物6品種を承認
 環境省はこのほど、遺伝子組み換え作物6品種のカルタヘナ法に基づく第一種使用規程の承認を行った。これにより承認を受けた作物は90品種(バラを含む)となる。
 ●今回承認を受けた作物
  ・チョウ目害虫抵抗性及び除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ
(シンジェンタ シード、Event176)
  ・除草剤グルホシネート耐性セイヨウナタネ
(バイエルクロップサイエンス、Topas19/2)
   http://www.bch.biodic.go.jp/bch_3_1_4.html
  ・除草剤グリホサート及びアセト乳酸合成酵素阻害剤耐性トウモロコシ
(デュポン、DP-098140-6)
  ・高オレイン酸含有及び除草剤アセト乳酸合成酵素阻害剤耐性ダイズ
(デュポン、DP-305423-1)
  ・チョウ目害虫抵抗性ワタ
(シンジェンタ シード、COT67B)
  ・チョウ目害虫抵抗性ワタ
(シンジェンタ シード、COT102)
   http://www.bch.biodic.go.jp/bch_3_1_5.html

2007.5.28 No.465
■GMトウモロコシ分別は26%だけ 新たなGM汚染の可能性も
 米国コーン生産者財団(ACGF:American Corn Growers Foundation)は5月18日、米国の多くの大型穀物エレベータ(集荷施設)でGM種と非GM種の分別が行われておらず、このことが米国のトウモロコシ輸出の減衰の原因で、将来的に輸出市場を失うことになると警告する調査結果を公表した。
 これによれば、全米18州の1057の大型エレベータのうち、GM種の分別を行っているのは26%にすぎないという。これは2005年より約2%減少している。米国コーン生産者財団(ACGF)と全国コーン生産者協会(ACGA)は、農民とエタノール業界に対して、このことが、GM品種、特に2007年4月にオランダ・ロッテルダムで見つかった欧州未承認のGMトウモロコシのようなBtコーンにより、トウモロコシ輸出市場を失うことになると警告している。
 米国農務省のデータによれば、最も重要な輸出先であるEU27ヵ国へのトウモロコシ・グルテンの輸出は、2006年9月から3月までの間に前年に比べ38.1%減である。外国による要求は、コーン・エタノール業界にとって非常に重要である。2000年にEUは、米国から約580万トンのコーングルテンを輸入していた。2006年には米国の輸出は360万トンにまで落ち、EUへは265万トンであったという。
 ラリーミッチェル(AGCA理事長)は、「何を買うかを決めるに際して「消費者は常に正しい」ということを思い知る時で」あり、「農民は、国内エタノール業界の成長により歓迎すべき変化として強気のコーン価格を実感している。そして、蒸留酒業界と同様に輸出市場を必要としている。バイテク企業は、米国は、それが望む品種を栽培できなければならないと説くが、それは、過去10年にわたる米国の「輸出志向」農業政策の失敗と傲慢をもたらした。輸入業者は米国穂信頼を失っている。輸出セクターとバイテク企業の両者がその傲慢な方針を再考するときだ」としている。
 ・American Corn Growers Foundation, 2007-5-18
 こうした中、シンジェンタ社のBtコーンMIR604(商品名 Agrisure RW)について、「スターリンクの影」が忍び寄ってきているという論調も出てきている。日欧における承認のないままシンジェンタ社は、今年度の栽培用にMIR604の種子の供給を開始をアナウンスし、生産者団体から反発が起きている。シンジェンタ社は、MIR604の栽培面積は0.5%の約45万エーカー(約20万ヘクタール)であるとしている。日欧、特に日本での承認が降りていないMIR604の栽培開始について、生産者団体や輸出業者団体のみならず輸送業者までが、その花粉による汚染、流通段階での混入を危惧している。MIR604について問題なしとしているのは、米国内のエタノール産業のみであるという。
 ・Agriculture Online, 2007-5-22
 2005年度に米国の輸出したトウモロコシは21億4700万ブッシェルで、その約30%(約1600万トン)が日本向けであった。日本での承認が、新品種栽培の大きな要因となっていて、モンサントなどは、日本での承認を待って遺伝子組み換えトウモロコシの新品種の販売開始を行っているという。輸出業者は、未承認品種の混入による輸入停止や廃棄・積戻しを懸念している。2005年に発覚したシンジェンタ社の未承認GMトウモロコシBt10の混入では、同年5月の検出以来合計16回検出され、合計約4万1千トンが廃棄又は積戻しとなっている。
 ・(独)肥飼料検査所, 2006-10-5
  「米国産飼料用トウモロコシBt10に係る検査実績」

 2006年度の貿易統計によれば、米国から輸入されたトウモロコシは約1634万トンであり、飼料用が約72%(約1180万トン)が、コーンスターチが約22%(約345万トン)である。

 米国の生産者団体の一つ全米コーン生産者協会(NCGA:National Corn Growers Association)は、米国での承認済みのGMトウモロコシ23品種について、日欧の承認状況のリストを公開し注意を喚起している。
 ・National Corn Growers Association
 MIR604は2006年10月、日本の生物多様性影響評価について承認済みである。現在、食品安全委員会遺伝子組換え食品等専門調査会で食品としての安全性の審査中である。2007年4月16日に開催された第47回専門調査会では、アレルゲンに関する解析の不足などを理由に追加資料の提出を求められている。同専門調査会は、このMIR604について、食品としての安全性審査が終了してから飼料について審査するとしている。審査の見通しについては明らかにしていない。
 ・遺伝子組換え食品等専門調査会  ・生物多様性影響評価検討会総合検討会, 2006-10-5
  資料2−1 農作物分科会における検討の結果

 穀物エレベータでの分別割合の低下傾向は、「遺伝子組み換えでない」として輸入される米国産トウモロコシの信頼にもかかわってくる。さらには、非GMトウモロコシの入手がより困難になることを示している。また、シンジェンタ社はMIR604が確実に分別が出来るとしているが、生産者団体などの危惧するように、未承認の状態で新たな混入・汚染が起きる可能性は否定できないだろう。


2007.5.23 No.464
■米国産牛肉は安全なのか OIE「管理されたリスクの国」と評価
 国際獣疫事務局(OIE)は総会は5月22日、BSEに関する米国の位置づけを「管理されたリスクの国」とするOIE科学委員会の答申通り、全会一致で決定した。今回の決定は米国など各国の申請に基づくもので、米国を含めて11カ国のBSEステータスが決定された。

  無視できるリスクの国:
    アルゼンチン、ウルグアイ、オーストラリア、シンガポール、
    ニュージーランド
  管理されたリスクの国:
    アメリカ、カナダ、スイス、台湾、チリ、ブラジル

 米国は2006年10月、OIEに対してステータスの申請を行っていた。今年始めごろまでは米国内ですら「管理されたリスクの国」との決定が得られるとは思われないという報道があったほどであり、米国にとって今回のOIEの決定は、「棚から牡丹餅」ものといえよう。しかしこの決定が、牛の個体管理すら実施できず、検査レベルやその内容のずさんさが指摘される米国産牛肉の安全性を保障するものではないことはいうまでもない。
 ・農水省, 2007-3-22  ・農業情報研究所(WAPIC), 2007-3-24
 今回の決定に米国のジョハンズ農務省長官は歓迎の声明を出し、日本などの牛肉輸出相手国に対して「この国際的な確認により、全ての米国産牛肉と肉製品の市場再開を要求する」としている。そのために、この決定にあうように輸入条件を改善し、速やかに市場を開放するように要求し、そのためにあらゆる手段を使う、と言明している。また、米国議員の中からは、日本などに対して即時開放を求める要求も出されている。
 ・米国農務省, 2007-5-22  ・時事通信, 2007-5-23  ・cattlenetwork, 2007-5-22

 この決定を受けた米国からの「無条件開放」要求は、食品安全委員会での「審議」に委ねられることになる。下駄を預けられる食品安全委員会やプリオン専門調査会はどう動くのか。すでに、米国の状況に懐疑的な専門調査会の委員のほとんどが入れ替えられていることから、同委員会が無条件開放を認める方向に動くことは確実といえるだろう。消費者はどのように“対応”すべきなのか、そこが一番の問題となる。


■韓国:牛肉に厳格な原産地表示を求める法案 日本ではずっと棚上げ
 韓国・聨合通信は5月17日、韓国国会に提案されている厳格な原産国表示義務を課す法案を報じている。法案は、コメと牛肉を使用するあらゆるレストランと学校給食における原産国表示と、学校給食での遺伝子組み換え食品の使用禁止などを求めている。
 提案者の一人カン議員は、「BSEの危険のある牛肉輸入が禁止できないなら、少なくとも、知る権利を消費者に保証しなければならない」という。韓国では現在、300平方メートル以上のレストランでのみ、原産国表示が要求されるに過ぎない。これは、わずか7.2%に過ぎないという。学校給食ではこうした表示義務は無い。
 ・聨合ニュース, 2007-5-17
 日本でも2005年10月、山田正彦議員(民主党)などにより「特定輸入牛肉」に表示義務を課す「輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案」が提出されている。しかしこの法案は、実質的に審議されることもなく、継続扱いのまま棚上げにされている。米国産牛肉の解禁を許すとしても、少なくとも、こうした厳格な原産国表示が不可欠だ。
 ・衆議院

2007.5.22 No.463
■耐病性GMイネは失敗?
  ひっそりと発表 北陸研究センター
 北陸研究センターは5月18日、新潟県上越市の同センター内隔離圃場で実施した複合病害抵抗性イネ2系統の試験結果の概要を公表した。これによると遺伝子組み換えの親に使った「どんとこい」と比較した結果を、次のように述べている。
平成18年隔離圃場での調査結果の概要
1.生育状況
組換えイネは2系統とも、原品種「どんとこい」とほぼ同様の生育を示した。
2.穂いもち接種検定
組換えイネは2系統とも、「どんとこい(やや弱)」を上まわる抵抗性を確認した。
AD48系統では「トドロキワセ(強)」を超える抵抗性を示した。
3.白葉枯病抵抗性
AD41は「どんとこい(やや強)」を上まわる抵抗性を示したが、AD48は同様の抵抗性であった。

 このように発表は「上回る抵抗性」を確認したというにとどまり、数値では公表していない。また、交雑に関するモニタリングの結果、交雑は無かったとしている。

 ・北陸研究センター, 2007-5-18

 今回の公表はひっそりと行われた。表題からして、どこにも「組み換えイネ」も「複合病害抵抗性」も出てこない。昨年は「平成18年度遺伝子組み換えイネ栽培実験における...」というように、きちんと正面から公表していた。今回は、いやいやながら最低限の発表だけはしたということだろう。明記してはいないないが、どうもこの耐病性遺伝子組み換えイネは失敗したようだ。常識的に、この開発が成功していたとすれば、このような暗〜い発表はしないだろう。

 2005年、06年と続けられたこの耐病性GMイネの実験について、今年度以降の隔離圃場での栽培実験の申請はなく、これで開発が終了したようである。すでに同センターで実験に従事していた研究者は、つくば市に引き上げたという情報もある。この説明責任が当たり前の時代にあって新潟地裁は一昨年、この北陸研究センターにおけるこの遺伝子組み換えイネの栽培中止を求めた仮処分判決において、同センターの情報を隠そうとする姿勢を強く非難していた。国費から多額の研究開発費を投じている以上、きちんとした結果を公表すべきである。姑息に失敗を隠そうとする姿勢は、原発の事故隠しに通ずるものがある。失敗に学べない研究者が、画期的な成果を挙げるとは思えない。


2007.5.20 No.462
■「生命」に真正面から向き合い、一石を投ずる

  福岡 伸一著 『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)

『生物と無生物のあいだ』 福岡 伸一著

 一気に読んでしまった。そして読み終わった後、すとんと腑に落ちる本でもあった。この福岡さんの新著『生物と無生物のあいだ』は、生物学者としての自身の歩んできた道を振り返りつつ、「生命」と向き合った本だが、DNAと生命をめぐる科学史の読み物にもなっている。そして、専門的な事柄を、どのように噛み砕いて書くかという著者の“苦闘”が感じられる本でもある。

 1953年、今では中学生でも知っているDNAの構造が二重ラセンであることが、若き研究者のワトソンとクリックによって“発見”される。著者は、このDNAがなぜ「生命」を規定しているかを説く。「生命」とは自らの複製を作り出す能力(自己複製)を持つシステムだとする。著者の若いころのニューヨークとボストンでの研究生活を重ね合わせ、行きつ戻りつ、このDNAの二重ラセン構造の発見の光と影をたどり、なぜそれが自己複製を可能にしているかを俯瞰し、整然とした秩序体系としてのDNAシステムをみせる。しかし、この本の本当の価値はこの後にある。

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■新潟・魚沼で学ぶ有機コメつくり 「田んぼのイロハ」を開催
 NPO法人ECOPLUSは5月19日から、新潟県南魚沼市(旧塩沢町)栃窪でコメつくりを学ぶ「田舎暮らしの基礎を学ぼう」休日農業講座2007を始めた。毎回1泊2日で、11月まで全5回のコースで田植えから稲刈り、はざ掛けによる乾燥までを学ぶ。田んぼの実習以外にも、米作りの基礎講座や稲にまつわる地域文化体験も用意されている。単発の参加可能。詳しくは下記まで。

(以下、転載)

  「田舎暮らしの基礎を学ぼう」休日農業講座2007
       「田んぼのイロハ」

    コシヒカリの本場で学ぶ伝統農法

 都市を離れて自然の中で過ごしたい。そう思い始めた若者や熟年世代を対象に、田舎暮らしを、一から学ぶ休日農業講座を始めます。
 その第一弾が「田んぼのイロハ」。舞台は、魚沼コシヒカリの主産地である新潟県南魚沼市の旧塩沢町地区。八海山や巻機山を眺める雄大な光景の中に広がる棚田が舞台です。しかも有期完全無農薬、手で刈り取り、天日乾燥させる伝統農法です。市場にはほとんど出ない特別な米です。地元の人が一番うまいという「天日乾燥米」の最後の仕上げまでの秘伝を、地元のみなさんから学びます。
 自分だけの田を持ちたいという方には、棚田オーナー制度もあります。不在時には地元のみなさんが手厚く管理してくれます。
 「田んぼのイロハ」で、最初の一歩を踏み出しませんか?

  日時と内容:
   第1回 5月19,20日 開講式。座学「稲作の流れ」。田植え
   第2回 6月23,24日 座学「田んぼの構造、イネの生態」。草取り
   第3回 9月 8, 9日 座学「水とコメとどぶろく」。あぜの管理
   第4回 10月13,14日 座学「現代農業の現状と課題」。
             稲刈りとはさがけ
   第5回 11月 3, 4日 座学「稲作の変遷と自然に沿った
                農のあり方」。
             収穫祭。ワラ叩きとワラ細工

  主催:エコプラス 共催:有限会社パノラマ農産

  主たる講師:笛木晶(パノラマ農産社長)

  定員:15人

  参加者全員に、手刈り・天日乾燥の極上コシヒカリ(パノラマ米)5キロを進呈。全回出席者には修了証をお渡しします

  開催場所:新潟県南魚沼市栃窪地区
  最寄り駅:JR上越新幹線越後湯沢駅、上越線塩沢駅。

  受講料各回1万円(昼食込み、エコプラス会員は9千円)
  子ども同伴可

  宿泊:民宿1泊6,000円(1泊2食)駅からの送迎あり

  申し込み、問い合わせ
   特定非営利活動法人ECOPLUS
   メールinfo@ecoplus.jp  電話03-5294-1441
   〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-5-16本門ビル4階


2007.5.19 No.461
■混入牛タンは月齢違反 今回も原因は作業ミス
 農水省は5月18日、4月に公表したカーギル社ドッジシティー工場より出荷された牛肉に月齢不明の牛タン4箱が混入していた件について、混入した牛タンは20ヶ月齢以下という条件を満たしていないとする米国農務省の報告書を公開した。これによると、原因は、日本向けでない4箱に、あらかじめ日本向けのラベルを貼ってあった蓋を使用した作業ミスにより混入したとしている。
 ・農水省, 2007-5-18  ・米国農務省, 2007-5-18  ・農水省, 2007-4-6

 この報告書では、この混入の原因となった蓋の扱いについて次のように書いている。

  マニュアルでは、特にこれらの蓋の撤去を具体的に記述しておらず、また、箱の蓋の置き場所についての正しい手順は具体的に規定されていない。従業員は、日本向けでないタンの箱に対日輸出用ラベルを貼付けた蓋を使用した際、対日輸出用ラベルが貼付けてあったことに気付かなかった。

 マニュアルに関して言うならば、過去、農水省と厚労省の「査察チーム」が念入りに調べて問題なしとしていた。しかし、このような単純な「作業ミス」を誘発するマニュアルであったということは、過去の「査察」の中身が知れようというもの。すでに公表されている査察報告書からは、日本向け作業に立ち会っての“査察”が実施されたとは読み取れず、単なるドキュメント検査に過ぎない“査察”であったとしか理解できない。いうならば「ザル」だったということだ。これまでの米国産牛肉の条件違反事例は、みな“作業ミス”で片付けられてきた。これを認めたうえで言うならば、こうした単純なことも遵守できないとなれば、どのような条件違反があっても不思議は無いといわざるを得ない。もし証明書や月齢の改ざんがあったとしても、事が単純でない以上、今までの違反事例と異なり明らかにならないまま流通することになるだろう。少なくとも、単純な作業ミスを原因とする違反事例は今後も起きるだろう。

 5月22日から開かれる国際獣疫事務局総会において、米国が「管理されたリスクの国」という評価を得たとしても、完全な飼料規制の実施を含めて、疑念を払拭することができる明確なシステムを米国側が提示できない限り、日本の消費者の米国産牛肉への疑念と不信が止むことはない。


■種苗法で初の摘発 登録品種と知りつつ無断栽培
 5月18日の毎日新聞によれば、愛知県警は5月17日、愛知県の菊栽培農家を種苗法の育成者権侵害の疑いで名古屋地検半田支部へ書類送検したという。これは2006年3月、問題の菊を品種登録していた会社の告発を受けて押収された菊を、1年がかりで栽培し登録品種であることを確認しての送検という。送検された農家は、登録品種と知りつつ無断で栽培し販売していたとしている。育成者権の侵害は、現行の種苗法では懲役3年または300万円の罰金。
 ・毎日新聞, 2007-5-18

 先ごろ成立した種苗法では、今回のような育成者権の侵害の罰則が大きく引き上げられた。この初の育成者権侵害に裁判所がどのような判断を下すか、注目したい。


2007.5.19 No.460
■2007年「たねとりくらぶ」は福井で 焼き畑火入れ(予定)の見学も
 9回目となる今年の「たねとりくらぶ」(全国種苗研修会)は8月4,5日の両日、福井県池田町で開催される。今年は「タネ・農の原点に回帰、そして交流」をテーマに、たねとり実践技術研修、種苗交換会のほか、北陸・近畿の伝統野菜の展示・試食も予定されている。2日目には、県福井市味見河内(あじみこうち)町(旧足羽郡美山町)の河内赤かぶらの焼き畑火入れ(予定)の見学などが用意されている。
 参加費は全日程で1万8千円。宿泊は60名までだが、まだ余裕はあるとのこと。参加を考えていられる方はお早めに。
 ・(参考)福井の伝統野菜

 以下、転載

●2007年「たねとりくらぶ」の集い in 福井県池田町

『第9回全国種苗研修会』−タネ・農の原点に回帰、そして交流

 ■日 程:
  8月4日(土)13:00〜20:30 池田町
    能楽の里文化交流会館(TEL 0778-44-7000)
    ホール たねとり実践技術研修会
    ロビー 北陸・近畿の伝統野菜の展示・試食
    大会議室 種苗交換会
    渓流温泉『冠荘』全館貸切(TEL 0778-44-7755)
    懇親会、交流会(2次会)、宿泊
  8月5日(日)8:30〜12:00 福井市&池田町
    現地見学コース1 福井市
     味見河内  河内赤かぶ生産組合
       焼畑(火入れの時期)の実践
       中手 萌叡塾 種子の保存と自給生活
     現地見学コース2 池田町
       町内 町のアンテナショップ
          「こっぽい屋」の取り組み
       魚見 あぐりパワーアップセンター
          生ゴミ堆肥『土魂壌』製造施設など

 ■参加費:18,000円
 ■主 催:日本有機農業研究会種苗部会
      2007年「たねとりくらぶ」の集い実行委員会
 ■共 催:ふくいの伝統野菜・るるぶ、
      味見河内赤かぶ生産組合、萌叡塾
 ■後 援:池田町、福井新聞社
 ■お申込・問い合わせ先
   2007年「たねとりくらぶ」の集い実行委員会事務局
                 (担当者:玉井道敏)
   〒918-8204 福井市南四ツ居9-1-3 
      ふくいの伝統野菜・るるぶ事務局内
      TEL&FAX 0776-54-8100
      E-mail : yorozu61@agate.plala.or.jp


■遺伝子組み換え製薬米の商業栽培を承認 大多数は反対
 Reutersは5月16日、米国農務省動植物衛生検査部(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)が、Ventria Bioscience社のヒトのタンパク質産生遺伝子を組み込んだ遺伝子組み換え米の商業生産を承認したと報じた。これによりVentria社は、カンサス州の3200エーカー(約1500ヘクタール)でGM米の商業生産が可能となる。Ventria社は、250エーカーで生産するとしている(別の報道では400エーカー)。

 このGM米にはヒトの遺伝子が組み込まれ、リゾチームとラクトフェリン、ヒト血清アルブミンを産生するという。これらは、母乳に普通に含まれている。同社によればリゾチームとラクトフェリンは抗菌タンパク質であるという。このGM米は、乳幼児の下痢用の薬としての利用を見込んでいるという。

 米国では昨年8月、バイエル者の未承認GM米(LLRice604)によるGM汚染が見つかっている。このGM汚染によりヨーロッパなどで米国産の長粒米の輸入禁止が相次ぎ、米国の米穀産業は大きな痛手を被っている。コメ生産者団体理事長は「この予想外の決定に驚いている。この決定はコメ生産者を不快にさせている」と語った。

 米国農務省によるこのGM米の商業栽培に関する意見募集には2万通余りの意見が寄せられたが、賛成はわずか29通で、ほとんどは承認に反対するものであった。しかし、農務省は、480キロ以内にコメの商業栽培が無いことやVentria社の措置を評価し承認を決めた。Ventria社も、この商業栽培がバイエル社のGM汚染の状況とは異なるとしている。
 ・Reuters, 2007-5-17
 このVentria社のGM米は、2006年、ペルーで140人の乳幼児に対する不な治験が明らかになっている。この治験により2人の幼児がアレルギーを起こしたという。
 ・GMWatch, 2006-6-15

 食品安全センター(Center for Food Safety)は5月17日、この承認が米国の食品供給の安全性に不要な危険をもたらすと警告している。この声明で同センターは、カンザス川の氾濫や竜巻によるこのGM米の拡散とGM汚染を危惧している。同時に、「発展途上国が最も必要とするものは、きれいな水と下痢を防ぐ基本的な公衆衛生施設であり、治療する既存の経口水分補給飲料へのアクセスの改善である。たとえVentria社のGM米が安全であったとしても、それは高価であり、十分に資金が投入されていない既存の費用効率のよい解決策からそらすものだ」と批判している。

 同センターは4月24日、このGM米について『穀物への警告:製薬米に関する批判的検討』と題するレポートを公表している。これによれば、Ventria社は2003年以来4回にわたり、米国食品医薬品局(FDA)に対して「一般に安全と認められる食品(GRAS)」としての承認を求めて真性を繰り返してきたが、FDAはこれを却下してきているという。
 ・Center for Food Safety, 2007-5-17  ・Center for Food Safety, 2007-4-24
 Natureによれば、農務省は2006年、14件の医薬品もしくは工業用のGM作物の栽培申請を受け、うち10件を承認しているという。
 ・Nature, 2007-5-18

2007.5.18 No.459
■また、証明書のない米国産牛肉の混入
 農水省は5月18日、大阪港に到着した米国産牛肉に証明書のない牛内臓肉(センマイ)が見つかった公表した。これは、カーギル社フォートモーガン工場より輸入された約2900箱の冷凍レバー(約18トン)に、センマイ1箱が混入していたというもの。農水省は、この加工施設からの輸入手続きを一時停止するとしている。
 ・農水省, 2007-5-18

 これもまた、今までの混入事故同様に作業者の不手際で終わることになるだろう。


2007.5.15 No.458
■GM作物2品種の承認へ意見募集 花粉症緩和GM米など
 農水省は5月15日、花粉症緩和GM米など2品種の遺伝子組み換え作物の第一種使用規程(何らの隔離などの防止措置もとらない栽培)について意見募集を始めた。締切りは6月13日。
 ・農水省, 2007-5-15
 今回、意見を募集する遺伝子組み換え作物は下記の2品種。花粉症緩和GM米は、つくば市の作物研究所と農業生物資源研究所の隔離圃場に限定されているが、高リシントウモロコシには限定は付けられていない。

2007.5.14 No.457
■有機農業技術会議公開セミナー:有機農業と育種
 有機農業技術会議はこのほど、6月16日に「有機農業の採種と育種技術を考える」と題して第1回研究会を公開セミナーとして開くと公表した。セミナーでは、多様性に富んだ植物の生命現象や有機農業の育種技術、および遺伝子組み換えの危険性について生井兵治さん(元筑波大学教授)が、自家採種技術とそれを支援する取り組みについて中川原敏雄さん(自然農法国際研究開発センター育種課長)が、また、育種・採種の実際を岩崎政利さん(種の自然農園・長崎県)が話をされるという。

 日 時:2007年6月16日 13:30〜17:00
 場 所:茨城大学農学部100番教室
      茨城県阿見町中央3-21-1
 日 程:13:30〜14:30 講演:生井 兵治さん
     14:30〜15:15 講演:中川原 敏雄さん
     15:30〜16:15 講演:岩崎政利さん
     16:15〜17:00 総合討論
 会 費:1,000円
 連絡先:有機農業技術会議 事務局
     (財)自然農法国際研究開発センター農業試験場内
      TEL: 0263-92-6800 FAX: 0263-92-6808
      Email: office@ofrc.net


■改正種苗法可決成立 懲役10年、罰金1千万円へ罰則強化
 野菜や花などの新品種を開発した人や法人(育成権者)の権利保護と権利侵害への罰則強化などを盛り込んだ改正種苗法は5月11日、衆議院本会議で全会一致で可決、成立した。これにより、登録品種の違法な増殖など育成権の侵害に対して、現行の懲役3年、罰金3百万円を、懲役10年、罰金1千万円と大幅に引き上げ(67条)、両罰規定として法人の罰金は3億円まで引き上げた。さらには、権利侵害による損害額を裁判所が認定できることや、裁判所が関係文書の公開を禁ずる秘密保持命令が出せるようになる。この改正種苗法は12月1日より施行される。
 この改正は、昨年12月の「植物新品種の保護の強化及び活用の促進に関する検討会」の最終報告を受けて、この2月に国会の提案されていたもの。罰則強化が図られる一方、種苗に対する登録品種の表示の義務化は見送られ「品種登録表示を付するように努めなければならない」(55条)とされ、育成権者に有利なように規定されている。これでは、自家増殖の前に登録品種であるか確認せざるを得ない。この表示のあいまいさは、自家増殖への牽制といえるだろう。
 農水省はこの3月、「農林水産省知的財産戦略」を公表した。その中で農林水産分野の「知的財産」として「植物新品種」「動物等の遺伝資源」「農産物、地域食品等の商標、ブランド」などを挙げている。具体的な施策には新品種開発に「遺伝子特許の取得」をあげている。また開発に対応する「知的財産の保護強化」も目標にあげ、権利侵害には「品種保護Gメンの増員」「DNA品種識別能力の向上」などを列挙している。
 ・農林水産省知的財産戦略本部, 2007-3-22
 現在のところ農家における種苗の自家増殖は容認され、農水省の省令で例外として増殖を禁止する品種81種類を決めている。しかし、将来的には、この農家の自家増殖は原則禁止とする方向転換が図られようとしているという。「知的財産戦略」では施策として遺伝子の特許取得が挙げられているが、この1月に開かれた「植物新品種の育成者権強化に向けた法改正」に関する農水省種苗課の説明会でも、こうした遺伝子特許に関する自家増殖の制限について、明確には否定されなかった。こうした点を見ると、将来、特許化された遺伝子を含んだ品種の自家増殖が実質的に禁止される事態も無いとはいえない。その場合、営々とタネ採りが続けれてきた在来種や固定種が除外されることはないだろう。この点については下記に詳しい。
 ・やすだせつこ.com, 2006-12-24

■花粉症緩和GM米などを審議 生物多様性影響評価検討会総合検討会
 農水省は5月14日、花粉症緩和GM米などの第一種使用規定に関する総合検討会を5月24日に開催すると発表した。傍聴可能。詳しくは下記へ。

  日 時:5月24日(木) 14:00〜
  場 所:農林水産省技術会議委員室(農林水産省本館6階)
  議 題:第一種使用規程の承認に係る申請書等の検討について
   検討予定案件
   (1)スギ花粉ペプチド含有イネ (7Crp #242-95-7)
   (2)チョウ目害虫抵抗性トウモロコシ (MIR162)
   その他


■日本モンサント GM3品種を隔離圃場で栽培実施
 日本モンサントは5月7日、同社河内研究農場(茨城県河内町)の隔離圃場で実施する遺伝子組み換え作物3品種の栽培計画を公表した。これによると、ラウンドアップ・レディー・大豆(隔離距離10m)とラウンドアップ・レディ耐性と害虫抵抗性を兼ね合わせたトウモロコシ(開花前に除雄)、ラウンドアップ・レディー・テンサイ(H7,開花がないので交雑防止措置なし)の3品種を栽培するという。大豆とトウモロコシは一般に公開するとしている。
2007.5.12 No.456
■「教育ファーム」って、どこまでやるの?
 農水省は5月11日、「教育ファーム推進研究会」の設置とその開催を公表した。農水省は「教育ファーム」を「自然の恩恵や食に関わる人々の様々な活動への理解を深めること等を目的として、市町村、学校、農林漁業者などが一連の農作業等の体験の機会を提供する」ものとしている。その上で、新たな研究会は、「推進するために必要な方策」や「関係者のネットワーク化」「教育ファームの効果測定」を検討するとしている。第1回の研究会は、5月18日に公開で開催され傍聴可能。詳しくは下記へ。
 ・農水省, 2007-5-11
 すでに福島県喜多方市では小学校に「農業科」が設置される特区がこの4月から始まっている。この農業科は、小学校3年から6年まで授業の一つとして実施される。来年度からは教科書(副読本)も用意されるという。単なる「一連の農作業等の体験の機会」にとどまらず、こうした息の長い取り組みが必要ではないのか。
 今回設置された研究会の委員の一人である澤登早苗氏(恵泉女学園大学人間社会学部准教授)は、大学での授業に有機での農業実習を取り入れて実践されている。この恵泉女学園大学の教育農場は2001年8月、教育機関として初の有機JAS認定(有機農業推進協会認定)を取得している。この農場での活動は、澤登氏のまとめた『教育農場の四季』(コモンズ刊, 2005年)に詳しい。
 ・恵泉女学園大学 「教育農場の四季・園芸」

■米国産牛肉:アリバイ作りの“査察”はいらない
 農水省は5月11日、米国の対日牛肉加工施設への“査察”を5月13日から28日にかけて行うと発表した。この発表によれば、すでに“査察”の終了している施設は対象外としている。この査察は、4月20日の日米農相合意を受けて行われるもの。
 ・農水省, 2007-5-11
 過去に行われた日本政府による“査察”は、実質的にはマニュアルや文書が完備しているかをチェックするだけの“査察”とは言えない内容ではなかったか。もし、抜き打ちの“査察”や現場の状況も精査した“査察”であれば、昨年の輸入再開以来の輸出条件違反の“混入”は防げたのではないか。駆け足でドキュメント検査だけのアリバイ“査察”はいらない。
 今回の“査察”は日米合同の茶番劇のようにも見える。“査察”を拒み続ける強硬姿勢の米国を説き伏せた日本が“査察”を行う。そして、その代償は、無防備な米国産牛肉の無条件開放であることははっきりしている。5月20日から国際獣疫事務局(OIE)の総会が開かれ、米国は「管理されたリスクの国」という国際的なお墨付きを得ることは確実視されている。この“査察”のあと、食品安全委員会が開かれ、米国産牛肉のリスク評価が行われることになる。この「管理されたリスクの国」というステータスを前に、プリオン専門調査会の専門家たちはどのような評価を下すのだろうか。米国産牛肉の無条件開放への理由の一つに、この「管理されたリスクの国」が大きな威力を発揮することになるだろう。
 ・農水省, 2007-5-11

 農水省のこの発表によれば、OIE加盟国のステータス評価は22日に行われるとしている。


■農民を自殺に追い込む遺伝子組み換え綿 脱却へ大豆栽培へ転換
 5月11日のReutersは、多くの農民の自殺原因となっている遺伝子組み換えBtコットンから大豆への転換を進めるインド西部マハラシュトラ州の動きを報じている。2006年、マハラシュトラ州では1400人余りの農民が自殺していて、そのほとんどが綿栽培農家だという。Btコットンは低い収量に加え、栽培には高価な種代や農薬、肥料代でヘクタールあたり約17000ルピーのコストがかかる。農民の多くは、高利貸しや銀行から高金利で借金することを強いられる。しかし、天候不順などで失敗した場合、負債に耐えかねて自殺に追い込まれるという。
 こうした状況に州政府は、低コストの大豆への転換を図っている。「これまで綿を栽培してきた多くの農民にとって、大豆は新しい作物であるが、栽培方法を教え、種を配布し、補助金を出している。多くの村で種子バンクを作られた」とBalasaheb Thorat同州農業大臣は語っている。大豆のコストはヘクタールあたり3500ルピーと綿に比べ少ないうえに収量が増加しており、農民はヘクタールあたり2万ルピー以上で売ることができたという。
 ・Reuters, 2007-5-11
 インドのBtコットン農家の悲惨な状況はインドのStatesmanも、娘とともに服毒自殺に追い込まれた農民 Akrura Sahuさんの例を報じている。
 ・Statesman, 2007-5-11

 資本力の無い農民にとって、毎年高価な種子を買い、多量の農薬と肥料を費やす遺伝子組み換え作物が、全く理に合わないものであることを示しているといえるだろう。儲かるのは、種子企業であり、銀行や高利貸しだけだ。農薬や肥料の多用も環境にとってよいことは何も無い。2006年2月、インド中部の村で、綿を採った後のBt綿の茎や葉を食べた羊の大量死が報告されている。


2007.5.10 No.455
■無農薬でも収量減らず 有機向きのジャガイモ「さやあかね」
 北見農業試験場の開発したジャガイモの新品種「さやあかね」は、無農薬で栽培しても収量減も少なく、味も「男爵」以上でコロッケ向きだという。「さやあかね」は1995年から、疫病抵抗性のあるインドの「I-853」を母、疫病圃場抵抗性でジャガイモシストセンチュウ抵抗性のある「花標津(はなしべつ)」を父として人工交配し、選抜された。疫病抵抗性が強いため、無農薬栽培が可能となったが、慣行栽培と比較して、無農薬栽培での収量低下は少ない。十勝農試での試験では、無農薬無肥料栽培での収量が「男爵」が46%(慣行比)に対して「さやあかね」は87%と有機農業向きのジャガイモのようである。多肥の場合、褐色心腐の発生することがあるとしている。中生で休眠が短いようだ。
 外観は赤みを帯び、男爵に比べ目は浅い。2006年8月に品種登録出願がなされている。本格的な栽培は3年後からという。
 ・作物研究所 平成17年度成果情報
 ・北海道新聞, 2007-5-9

■ロシア:GM大豆は健康に悪影響を与える新たな研究
 REGNUM News Agency(ロシア)は4月16日、ラットを使ったGM大豆の健康への悪影響を示す新たな研究を報じた。これは Vavilov農業大学(サラトフ州)で実施された研究で、実験を行った生物工学研究者のマリア・コノヴァローヴァ氏は、GM大豆を与えたラットは 内部器官(肝臓、腎臓、睾丸)などに深刻な損傷を引き起こし、加えて、妊娠する胎児の数、子どもの死亡率の差、攻撃性と母性喪失の増加に影響する、と記者会見で語った。
 この研究に全国遺伝安全性協会理事長のAlexander Baranov氏は、「生物に対して無害であることに疑いが生ずる」と語った。また、同氏は、ロシアの公衆衛生当局に対して、GMOの人に対する影響が、完全に検討されるまでの間、すでに認可されたGMOの使用禁止と、新たなGMOの認可の停止の必要性を強く強調する公開状を送ったとしている。「今も恐ろしい状況は続いている。われわれは、誰も安全だと保障しない食品を子どもたちに与えている。われわれは誰の責任かを追及するものではない。公開状でわれわれは、早急な問題解決への確実な方法を示した」と、Baranov理事長は語った。
 ・REGNUM News Agency, 2007-4-16
 REGNUMは2005年10月、ロシアのイリーナ・エルマコヴァ博士による、ラットに対するGM大豆の健康影響についての研究を報じている。博士は、自身の研究について予備的なものであり、きちんとした研究が必要であることを強調している。今回の研究は、詳細が明らかになっていないが、エルマコヴァ博士の結果を補完するもののようである。
 ・REGNUM News Agency, 2005-10-12
 エルマコヴァ博士は2006年7月に来日し、博士の研究に関する講演を全国で行った。遺伝子組み換えいらない!キャンペーンは、この講演会の会場から出された疑問や質問に対する見解をまとめ、同キャンペーンのサイトで公開している。
 ・遺伝子組み換えいらないキャンペーン

■「感染性確認できず」と朝日新聞 米国産牛肉無条件解禁へ先走り
 朝日新聞は5月9日、2003年に発見された21ヶ月齢と23ヶ月齢のBSE感染牛の脳を使ったマウスでの感染試験で感染性が確認できなかった、と報じた。これは、厚労省の研究班の行った試験について報じたもの。詳細は明らかにされていない。
 朝日新聞は、この感染性が確認できなかったことをもって「条件緩和を求める米国との交渉に大きな影響を与えそうだ」と早々と露払いを始めた。しかし、20ヶ月齢で感染性がないということと、「米国産牛肉が安全」であることはイコールではない。米国産牛肉に関しては、飼料規制は不完全であり、特定危険部位を含んだ肉骨粉が豚やニワトリ、ペットのえさとして流通している。交差汚染の可能性を残したままである。2009年から導入するとされた牛の個体識別は、業界の反対により義務化が見送られた。さらには、米国のBSE検査体制自体が縮小され、先ごろは受託業者の検体取替えが明らかになっている。そもそも、危ない牛は検査もされず牧場に埋められているといわれているぐらいである。こうした状況が、果たして米国産牛肉が安全であるということになるのか、はなはだ疑問である。
 ・朝日新聞, 2007-5-9
 ・農業情報研究所(WAPIC), 2007-5-9

2007.5.9 No.454
■米国:2007年改正特許法はモンサントから農民を守るか
 米国コーン生産者協会(ACGA:American Corn Growers Association)は4月25日、超党派による2007年改正特許法に支持を表明した。家族農家は、長い間、遺伝子組み換え特許を侵害したとするモンサント社の攻撃と闘ってきた。風などによってGM品種の花粉が拡散し、非GM品種を汚染してきた。このほど議会に提案された改正法は、農民が「故意に」特許品種を使用したと主張する企業から農民を守るという。ACGAは、現行の米国特許法は、巨大なアグリビジネスの攻撃から農民を放置しているとして、過酷な特許の乱用に服従されるべきではない、と主張している。

 食品安全センター(Center for Food Safety)の調査では、2005年1月現在、モンサント社は、25州で147人の農民と39の小企業を相手に、90件の訴訟を起こし、判決では、農民はモンサント社に平均して約42万ドルを支払っているという。多くの場合、彼らの畑が隣接する圃場から自然に流れ出た花粉に汚染された後に訴えられる。花粉は、状況によっては5マイル(約8Km)流されることが証明されている、そうした花粉を個々の農民がさえぎったり管理することは不可能である。

 ACGAのLarry Mitchell理事長は「現行法では、これらの訴訟に農民が対抗することは難しい。農民は時間を取られ、遠くまで出かけることを余儀なくされる。モンサント社は、彼らに有利な裁判所を選ぶ。そのうえ、裁判所が汚染を「故意」であるか否か判断する基準がいい加減である。「故意」と判断された場合、賠償は3倍になる。」と言う。ACGA は、35州で14,000人からなり、アグリビジネスから資金提供の受け入れを禁じている。

 改正特許法の詳細は不明であるが、このACGAの声明などによれば、これまで特許を盾にして、農民から不当な「賠償金」を取り立ててきたモンサントの行為自体が不法となる可能性があるようだ。モンサント社による農民攻撃については下記に詳しい。
 ・やすだせつこ.com

2007.5.8 No.453
■遺伝子組み換えイネなどの説明会を開催 農業生物資源研究所など
 農業生物資源研究所は連休直前の4月27日、同研究所の隔離圃場で今年度に実施される遺伝子組み換えのイネとダイズの栽培試験についての一般説明会の開催を公表した。これによると、5月9日から12日にかけて午前と午後の計8回、各回10人程度の少人数で意見交換を行うとしている。事前申込みが必要。詳しくは同研究所のページへ。
  日時:5月9日(水)〜5月12日(土)
     午前の部:午前10:00〜12:00
     午後の部:午後 2:00〜 4:00
  会場:農業生物資源研究所(本部地区)

 また、畜産草地研究所は4月27日、同研究所で実施予定の遺伝子組み換えトウモロコシの栽培試験に関する説明会の開催を公表した。同研究所は、昨年度実施した遺伝子組み換えトウモロコシ2品種の栽培試験の結果の報告も行うとしている。この説明会も事前申込みが必要。詳しくは同研究所のページまで。
  日 時:5月21日(月)13:30〜16:00
  場 所:畜産草地研究所那須研究拠点第2会議室
       栃木県那須塩原市千本松768

 ・畜産草地研究所, 2007-4-27

 2つの研究所が申し合わせたように、それも連休前日に“ひっそり”と説明会の開催を公表した。農業生物資源研究所の説明会は、実質的に時間的な余裕のない公表であり、本当にきちんと説明しようとしているのか、多いに疑問である。本当は説明会などやりたくない、というのが本音ではないのか。きちんと説明責任を果たそうとするのであれば、十分な告知期間を取るのが当然であろう。


2007.5.7 No.452
■資料:気候変動に関する政府間パネル・第3作業部会報告(速報版)
 環境省は5月4日、4月30日から5月4日までタイ・バンコクで開かれていた気候変動に関する政府間パネル・第3作業部会報告で採択された「気候変動の緩和策」に関する報告書の政策決定者向け要約の概要を速報版として公表した。
 ・環境省, 2007-5-4
  「第3作業部会報告書(速報版)」(※2ページ目以降)

2007.5.6 No.451
■モンサントのGM基本特許無効を決定 欧州特許局
 欧州特許庁(EPO:European Patent Office)は5月3日、遺伝子組み換え大豆に関するモンサント社の基本特許(EP 0301749) の無効を決定した。決定は、この基本特許の一部に新規性がなく、その発明が再現できる方法で記載されていなかったことによるものという。今回の審判は、この特許が認められた1994年、ETCグループとシンジェンタ社などの申し立てにより行われていた。この特許については、当初モンサント社も無効を申し立てていたが、元々この特許を所有していたAgracetus社を1996年に買収し、この申し立てを取り下げていた。

 この基本特許は、あらゆる遺伝子組み換え品種と特に大豆に及び、植物と種子に対して認められた最も広範囲な特許の一つであると見られていた。この技術は、「パーティクル・ガン」と呼ばれる方法で、小さな金属の粒に導入したい遺伝子を付着させ、目的の植物細胞に打ち込むというもの。

 ETCグループは、この特許無効の決定を歓迎する一方、この決定までに13年を要したことを「恥ずべき」ことと批判している。

 モンサントのGM大豆シェアは世界の90%に達し、GM大豆は世界の大豆生産の60%を越えたと見られている。こうした状況に、ETCグループのHope Shand は、「モンサントの特許は、農業における経済的な安全保障を蝕み、種子に対する権利を蝕んでいる。種子をコンとロースするものが、食料の供給をコントロールする」という。ETCグループが発表した“世界の種子会社トップ10”によれば、モンサントは、種苗市場の20%以上を押える世界最大の種苗会社である。モンサントが欧州市場へのアルゼンチン大豆の参入を否定するためにその排他的な独占を使うため、アルゼンチンの大豆農民は、モンサントの広範囲に及ぶ特許に直接的な影響を受けている。モンサントは、アルゼンチンが同社のGM大豆種子に対する特許料を支払っていないと主張している。

 Hope Shand は、「欧州特許庁が13年かかってもモンサントの特許を取り消すことが出来なければ、企業が市場を独占するために不当な特許を使い、競争を破壊し、食料主権に対する世界的な闘いを破壊することができることを、ただ、確認するだけだ。」と語り、「生命特許 No!」("No patents on Life!")の Ruth Tippe は、「モラルに反する不当な特許に対する個別的な法廷闘争は、実行可能な戦略ではない。欧州は、明確に生命特許を禁止する特許法を必要としている」という。
 ・ETC, 2007-5-3

■進む種苗の独占化 モンサントは20%を越える
 ETCグループは4月30日、2006年度の“世界の種子会社トップ10”を発表した。これは売上高ベースによるもので、モンサント1社で世界のシェアの20%を越えた。続くデュポン、シンジェンタなどのトップ4社で49%を占めるなど、寡占化が進行していると分析している。

 2006年度の種苗の市場規模は196億ドルで、トップ10社で64%を占めている。10年前の1996年、トップ10社の売上は37%に過ぎなかった。このとき、モンサントの名はトップ10社には無かった。同社は現在、第8位のDelta & Pine Land社を買収しようとしている。このトップ3社はいずれも遺伝子組み換え品種のメーカーでもある。

     種苗会社      売上(百万ドル) シェア(%)
 -------------------------------------------------------------
  1.モンサント(米)        4,028    20.6%
  2.デュポン(米)         2,781    14.2%
  3.Syngenta(スイス)       1,743    8.9% 43.6%(*1)
  4.Groupe Limagrain(フランス)  1,035    5.3% 48.9%(*2)
  5.Land O' Lakes (米)       756    3.9%
  6.KWS AG (独)          615    3.1%
  7.Bayer Crop Science (独)     430    2.2%
  8.Delta & Pine Land (米)     418    2.1%
  9.サカタのタネ(日本)       401    2.0%
  10.DLF-Trifolium (デンマーク)   352    1.8%
 -------------------------------------------------------------
                  12,559   64.1%

   *1:上位3社のシェア合計 *2:上位4社のシェア合計 

 ・ETC, 2007-4-30
 モンサントの日本での拠点である日本モンサントは、茨城県河内町に研究農場をもち日本向けの品種開発も行っている。2006年3月、1997年から開発してきた「とねのめぐみ」が品種登録されている。この品種は、食味がよいとされる「コシヒカリ」と多収の「どんとこい」を掛け合わせたもので、食味がよく、多収(コシヒカリ比10%)、コシヒカリより草丈が短く倒れにくいという。2006年4月には茨城県の産地銘柄指定米に指定されている。またこの「とねのめぐみ」は、乾田直播用を目標として開発されが、2007年から移植用として種子販売を始めている。販売会社の(株)ふるさとかわちは、河内町の第3セクター。
 ・日本モンサント, 2007-1-25

2007.5.5 No.450
■米国:GMアルファルファに栽培禁止判決 環境汚染を懸念
 米国サンフランシスコ連邦地裁は5月3日、モンサント社の遺伝子組み換えアルファルファの商業栽培について、その認可に当たって米国農務省(USDA)の環境影響評価が不徹底であったとして新たな栽培禁止の判決を下した。この判決では、農務省は認可の前に、このGMアルファルファによる環境と従来のアルファルファ品種に対する影響を科学的に調査しなければならないとしている。また判決は、すでに野生や有機栽培のアルファルファに対するGMの汚染が起こった点に留意し、「こうした汚染は、回復できない環境被害であり、汚染は回復できない」としているという。

 栽培禁止の範囲は米国全土に及び、農務省が環境影響評価の調査を終えるまでとしている。この判決に農務省動植物衛生検査部(APHIS:Animal and Plant Health Inspection Service)のスポークスマンは、「GMアルファルファの完全な環境影響評価の計画を立てる」と語ったという。当局はこの調査に2年間かかるとしているという。判決はまた、すでに作付けされたGMアルファルファの収穫禁止や、このGMアルファルファの種子を目的とする栽培について禁止はしていない。

 判決はまた、Forage Genetics社(種子販売会社)に対して、30日以内に米国全国の全てのGMアルファルファの栽培地を明らかにするように命じ、農務省にこのデータがすぐに利用できるようにするよう命じた。これは、非GMアルファルファを栽培している生産者が、GM汚染の有無を検査できるようにするためであるという。

 同地裁では3月に栽培禁止の予備的判決が出されていた。これに対して農務省は3月31日までは播種を認めるとする通達を出していた。これにより米国全体で、すでに約22万エーカー(約9万ヘクタール)で植え付けが終わっているという。アルファルファは、主に飼料用として米国全体で約2100万エーカー(約850万ヘクタール)で栽培されている。
 ・Reuters, 2007-5-3
 ・AP, 2007-5-3
 ・Center for Food Safety, 2007-5-3
 この裁判は2006年2月、農務省の販売許可の差し止めを求めて、シエラクラブなどの環境団体や消費者グループも加わり提訴されていた。その理由として、この遺伝子組み換えアルファルファの認可に関して、環境調査が不完全であること。許可された場合、農家の望まないGMのアルファルファと容易に交雑しGM汚染が起きること、不当な特許料の支払いを強制されること、さらには、主要な輸出相手国の日本と韓国が、汚染の可能性のある米国産アルファルファの輸入を減らすことにより、年4億8千万ドルを失うことなどをを挙げていた。
 ・REUTERS, 2006-2-16
 今回の判決で注目されるのは、カルタヘナ議定書を批准していない米国が、その議定書で規定する栽培品種をも含む「生物」へのGM汚染の影響を考慮している点である。カルタヘナ議定書を批准した日本では、2003年に国内法としてのカルタヘナ法(「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」)が制定されているが、この法律の対象は「野生生物」に限る、というすり替えが行われている。したがって、栽培品種への交雑の可能性は一切考慮されない、ということになっている。モンサント社のGMアルファルファについて行われた生物多様性影響評価の資料は、下記で部分的に公開されている。
 ・農林水産技術会議
 飼料として開発されたモンサント社のGMアルファルファは、日本ではすでに飼料としてはもちろん、05年10月14日に食品としても承認されている。食品としての表示義務も課せられている。

2007.5.3 No.449
■カナダ10頭目のBSE感染牛を確認 66ヶ月齢の乳牛
 カナダ食品検査庁(CFIA)は5月2日、ブリティッシュコロンビア州においてカナダ国内で10頭目となるBSE感染牛を確認したと発表した。問題の牛は、66ヶ月齢の乳牛で、カナダで発見されたBSE感染牛の月齢範囲内にあり、この牛が極微量の感染源に曝されたことを示しているとしている。
 カナダでは2007年7月12日に完全な飼料規制が実施される予定となっているが、カナダ食品検査庁は、この実施により99%以上の感染源の排除が可能であり、今後10年間に、少数の感染牛を確認すると見込んでいるとしている。また、カナダは2003年以来約16万頭を検査してきたが、このサーベイランスの結果は、カナダにおけるきわめて低いBSEの発生率を反映しているとしている。
 ・Canadian Food Inspection Agency (CFIA), 2007-5-2

 カナダでは今年2月に9頭目となるBSE感染牛が見つかっている。カナダは、この5月に予定されている国際獣疫事務局(OIE)総会において、米国と並んで「管理されたリスクの国」として認定されようとしている。飼料規制は不完全であり、米国にいたっては、検体取替えなどずさんな検査が明らかになっているにもかかわらず、にである。OIEがWTO体制の内にあることから、この認定が米国産牛肉の無条件解禁への外堀を完全に埋めることになるだろう。日本政府は、5月のOIE総会にどのような態度をとるのか明らかにしていない。日本政府は昨年は、30ヶ月齢の制限撤廃に対して反対の姿勢を明確にしていたことを考えると、今回の米国などに対する「管理されたリスクの国」への認定に異を唱えることはないだろう。事実上、米国産牛肉の無条件解禁に踏み切ったと見てよいだろう。


■クローン食品に13万人以上が反対 米・FDAに意見書
 米国の食品安全センター(Center for Food Safety)は5月3日、米国食品医薬品局(FDA)によるクローン動物由来の食品解禁についての意見募集に13万人以上が反対の意見書を提出したと発表した。昨年末、FDAはクローン動物由来の肉や乳製品などは安全であり、表示なしで流通を認めると発表し、この1月以来、意見募集を行っていた。当初4月3日で締め切られる予定であった意見募集は、5月3日まで、1ヶ月間延長されていた。
 FDAは広く精査された研究を調査した結果、クローン動物は安全であると判断したとしていたが、食品安全センターの調査によれば、その論文はたった3本であり、クローン動物の企業が部分的に資金援助したクローン牛の牛乳に関するものであったという。「FDAのクローン解禁の意欲は、業界からの圧力による安全無視の見本である。意見の分かれる製品解禁のために貧弱な証拠を使うことは許されない」とWenonah Hauter氏(Food & Water Watch)は語った。
 クローン推進論者は、クローン動物がより良質で安価な肉製品と乳製品を供給できると主張している。こうした見解に米国の消費者同盟の食政策研究所のChris Waldrop氏は、これは事実ではないとし「消費者はクローン動物由来の食品を望んでもいないし必要ともしていない。クローンが、より安全でより安価な肉や牛乳を生産することはない。クローン牛により多くの牛乳を生産させることは、牛乳を安くすることはない。米国では需要より多くの牛乳が生産され、政府は余剰の買い上げを余儀なくされ、1999年以来、酪農支援に50億ドル以上かかっている」という。
 FDAは、提出された意見を検討し、年末までにクローン動物由来の食品について決定するだろうとしている。
 ・Center for Food Safety, 2007-5-3
 米国では、昨年12月に公表された世論調査によれば、クローン動物由来の食品対して64%が懸念を示している。
 ・Pew Initiative on Food and Biotechnology, 2006-12
  Public Sentiment About Geneticaly Modified Food
 このクローン動物の解禁に関してEUも動き出している。欧州食品安全機関( EFSA:Europian Food Safty Authority)は4月27日、クローン動物に関する全般的な科学的データを5月29日までに提出するよう要請する声明を出した。同機関は、この問題に取り組むために科学委員会に作業部会を設けている。要求されているデータは、クローン技術そのものから、クローン動物とその子の健康と福祉、食物としての安全性などが列挙されている。
 ・EFSA:Europian Food Safty Authority, 2007-4-27
 このEFSAの要請についてDecision News Media SAS は5月2日、EFSAは提出されるデータを検討し5ヵ月以内に、食品として流通を許可するかどうかの結論を出すとしている。現在、EUにはクローンを規制する規則はない。しかし、今年に入って英国で輸入されたクローン牛とその子牛が見つかり、EU当局は、クローン規制に関して判断を迫られている。
 ・Decision News Media SAS, 20070502

2007.5.2 No.448
■「温暖化防止に貢献」と報じられたイネは遺伝子組み換えイネ
 産経新聞は4月23日、東大大学院の西澤直子教授らのグループがアルカリ土壌でも生育可能なイネを開発したと報じている。この記事では、アルカリ土壌に含まれる不溶性の三価鉄を水溶性の二価鉄に効率よく還元する遺伝子を食用酵母から作り「イネに導入」したという。これにより、導入しないものと比べ7.9倍の収量増だったとしている。これにより、地球上の土壌の約3分の1を占めるとされる「不良土壌でイネなどが栽培できれば、途上国の食糧不足解消や緑化による地球温暖化防止にもつながることも期待される」としている。
 ・産経新聞, 2007-4-23
 この研究は4月20日、米国科学アカデミーの電子版に掲載された。これによれば、突然変異のイーストから作成した還元酵素遺伝子を、プロモーターとともにアグロバクテリウム法により導入したと明記してある。先の産経新聞の記事では、なぜかぼかされていた遺伝子組み換えイネであることを明らかにしている。また、共同研究者として日本原子力研究所高崎研究所の研究者が名を連ねており、放射線照射により酵母に突然変異を起こさせたようである。
 ・National Academy of Sciences, 2007-4-20
 この西澤教授らによる鉄欠乏耐性遺伝子組み換えイネは、東北大学の隔離圃場で昨年度まで試験栽培されていたものと同じ系列のもののようである。東北大学の試験栽培は、今年度から試験栽培の申請はなく、開発を中止したかに見える。また、その結果は公表されていないようで、技術的に成功したのか失敗したのかも不明である。公費による開発である以上、その成果は、失敗も含めて明らかにすべきだろう。
 ・BCH, 第一種使用規程承認申請書

■中国産未承認GM米 EU向け飼料として流通
 英国・食品規格庁(Food Standards Agency)は4月26日、オランダを経由して輸入された中国産の未承認の遺伝子組み換え米(Bt63)が、英国にも輸入されていたと発表した。4月23日までに業者の在庫は処分されたが、多くはすでに、飼料として販売され使用されていたという。このGM米は、英国のほかベルギー、ギリシャ、オランダ、ポーランド、スペインにも流通していた。EU委員会は中国当局に対して懸念を表明したとしている。
 ・Food Standards Agency, 2007-4-26
 国内では(独)肥飼料検査所が飼料関係の検査を行っていたが、4月1日より(独)農林水産消費安全技術センターに統合された。5月2日現在、Bt63に関する発表はないが、同センターがBt63の検査を行っているという発表もない。
  ・(独)農林水産消費安全技術センター「肥飼料安全検査の仕事」

 貿易統計によれば、2006年度の中国から米を含む飼料として輸入された穀類(トウモロコシ、小麦を除く)は352トンであり、他にカナダから約3万トンが輸入されている。