2007.8.29 No.489
■GMてん菜にゴーサイン 米国砂糖業界
APは8月23日、米国のてん菜業界がモンサントの除草剤耐性の遺伝子組み換えてん菜の商業栽培に舵を切ったと報じている。これによれば、ミネソタ州のAmerican Crystal Sugar社は「バイテクが今の流れである」として、来年度より遺伝子組み換えてん菜の種子を供給するという。同社は3千人の組合員を擁するてん菜栽培農家による協同組合傘下にあり、栽培面積は50万エーカーに及ぶとしている。そして2008年、その50%に遺伝子組み換えてん菜の種子の供給が可能であるという。また、ワイオミング州のWyoming Sugar社では2007年、ラウンドアップ・レディ耐性のGMてん菜の栽培に踏み切ったという。
遺伝子組み換えの種子は、1エーカー(約0.4ヘクタール)あたり60ドルのコストアップになるが、除草剤の散布は少なくなると見込まれているという。モンサント社は、砂糖業界の容認が、大豆やコーンのように遺伝子組み換えてん菜が広く栽培される最後のステップであるとしている。
遺伝子組み換えてん菜は、すでに米国や日本では承認されている。それを原料とする砂糖は従来の砂糖と同等であり、組み換え遺伝子由来のDNAが破壊されるため遺伝子組み換え由来の表示は不要であるとしている。
2006年の貿易統計によれば、米国から糖類としては約7万7千トンが輸入されているが、てん菜糖単体の輸入はない。てん菜糖としては、フランスなどから数トンが輸入されているだけである。
日本ではすでに、次の3種類の除草剤耐性の遺伝子組み換えてん菜が、食品としての安全性審査を終え、承認されている。
1) T120-7
バイエルクロップサイエンス株式会社
2) ラウンドアップ・レディー・テンサイ 77系統
日本モンサント株式会社
3) ラウンドアップ・レディー・テンサイ H7-1系統
日本モンサント株式会社
日本における遺伝子組み換えてん菜を原料とする砂糖の表示義務は不要とされている。現在、次の5種類の遺伝子組み換え作物を原料とする加工品について遺伝子組み換え原料使用の表示が不要とされている。てん菜糖については、APの記事の通り表示は不要とされている。
農産物 表示が不要な加工食品
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・大豆 しょう油、大豆油
・とうもろこし コーンフレーク、水飴、水飴使用食品(ジャム類など)、液糖、液糖使用食品(シロップなど)、デキストリン、デキストリン使用食品(スープ類など)、コーン油
・菜種 菜種油
・綿実 綿実油
・てん菜 砂糖(てん菜を主な原材料とするもの)
-----------------------------------------------------------
2007.8.25 No.488
■したたかな小国キューバは“医療大国”
吉田 太郎著 『世界がキューバ医療を手本にするわけ』
マイケル・ムーアの新作『シッコ SiCKO』が8月25日、一般公開された。“医療先進国”であるはずの米国で、その先進医療を受けられなかった911の消防士らはキューバに向かい、無料で治療を受ける。なぜキューバなのか。キューバは“後進国”ではなかったのか。この疑問を解き明かした『世界がキューバ医療を手本にするわけ』がこのほど出版された。著者は、キューバの有機農業を日本に紹介してきた吉田太郎氏。キューバの情報に関する日本現状に、著者は「情報遮断」の状態にある。その点、英語やスペイン語のキューバ情報は豊富であり、キューバが自ら医療情報を発信しているという。なぜマイケル・ムーアはキューバを目指したのか。ひとつの回答がここにある。
2006年11月、キューバ有効円卓会議の招請で若い女医さんのアルレニス・バロッソさんが来日し、キューバの医療現場の声を直接聞くことができた。彼女は、パキスタン北部地震救援支援の体験とファミリー・ドクターとしての経験を伝えた。長野県農業大学校で教えている著者は専門外にもかかわらず、医療制度の崩壊したイギリスがモデルとする「この国の医療制度の内情を見てみたい」とキューバを訪れ、この本をまとめたという。
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2007.8.24 No.487
■米国を笑えない
BSE特定危険部位(SRM)が焼肉店へ流出という疑惑
8月24日の毎日新聞や中日新聞によれば、三重県四日市市の市食肉センターから特定危険部位(SRM)の牛のこめかみ肉が施設外に持ち出されているという疑惑が浮上したという。同食肉センターの買い付け業者が継続的にこめかみ肉を持ち出しているとの情報に、三重県などは8月3日より、立会い調査したが事実を確認できなかったとしている。この持ち出されたこめかみ肉一部が市内の焼肉店で提供されている、という情報も寄せられているという。
問題の頭部は、第3セクターの三重県四日市畜産公社が屠畜し、業者団体の四日市臓器組合に売却された後、業者が特定危険部位以外の舌やほほ肉などを処理している。残った頭部は公社が焼却処分しているが、業者の処理には立会い確認はしていないとしている。
買い付け業者でこめかみ肉を提供しているとされたのは四日市市議で、かつてはこめかみ肉を出していたが現在はしていない、と否定しているという。
・毎日新聞, 2007-8-24
・中日新聞, 2007-8-24
国内では33例のBSE感染牛が見つかっているが、三重県では見つかっていない。
日本のBSE対策は個体管理と全頭検査を軸にしたもので、個体管理すら満足にできていない米国のザルのようなドンブリ管理とは異なり、万全であって、特定危険部位が市場に出回ることはないとされてきた。しかし、今回の疑惑が事実とすれば、いくら「万全な」システムを構築したとしても、そこにかかわる屠場や食肉加工施設と業者次第でどのようにもなることを示している。米国を笑えない事態だ。
同センターにおいて、処理後の頭部の状態の確認がきちんと行われ、個体のIDと頭部の写真が記録に残されていたのであれば、このような疑惑が生ずることはない。業者との「信頼関係」により、特定危険部位の管理に手抜きが行われていたことでもある、と思わざるを得ない。
「立会い調査」の現場で特定危険部位が持ち出されるとしたら、それこそ問題だろう。形ばかりの「立会い」出ない限り、だれも特定危険部位を持ちだすことがないのは「当然」である。誰が危険を冒して「持ち出す」だろうか。この疑惑のような特定危険部位の流出が、他の屠場や食肉加工施設で起きていないのか、早急に確認が求められる。
2008年8月から全頭検査が廃止されることになれば、特定危険部位が「20ヶ月齢以下」として流通する可能性がありうることを示している、といえるだろう。
日本の屠畜の現場については、『世界屠畜紀行』(内澤旬子著、解放出版社)に詳しい。この本では、東京都品川区にある芝浦と場(東京都中央卸売市場食肉市場・芝浦と場)で屠畜され、部分肉や内臓肉に加工される様子がイラストつきで詳しくルポされている。
■GMとうもろこしMIR604の承認を急いだ厚労省
厚労省は8月17日、遺伝子組み換えとうもろこし2品種について、食品としての安全性審査の手続きを終えたと公表した。これは8月8日の食品安全委員会の決定を受けたもの。特にMIR604についてシンジェンタ社は、日欧の承認を得ないまま、今シーズンの米国内での栽培に踏み切っていた。米国内には新たな混入摩擦を危惧する声も上がっていた。今回のMIR604 の承認は、こうした摩擦への対応として急いで行われたようだ。8月9日のロイターによれば、食品安全委員会の決定の後、厚労省の承認手続きとしては通常は1ヶ月程度かかる、と厚労省の担当者が語ったという。
・チョウ目害虫抵抗性及び除草剤グルホシネート耐性トウモロコシ6275系統
(ダウ・ケミカル日本株式会社)
・コウチュウ目害虫抵抗性トウモロコシMIR604
(シンジェンタシード株式会社)
今回の追加により食品としての安全性を承認された作物は合計79品種となった。厚労省は8月24日、この2品種を追加したリストを更新、公開した。
・ジャガイモ 8 ・大豆 4
・てんさい 3 ・とうもろこし 28
・なたね 15 ・わた 18
・アルファルファ 3
2007.8.22 No.486
■実用化への課題を列挙
GM動物安全性評価に関する報告書
厚労省は8月22日、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)による遺伝子組み換え動物由来食品の安全性評価に関する合同専門家会議の報告書の仮訳を公開した。この合同会議は、2007年2月26日から3月2日にかけてジュネーブ(スイス)のWHO本部で開催されたもの。出席した18名の専門家には、メイワン・ホー氏(ISIS:Institute of Science in Society)も含まれている。日本からは中央水産研究所・利用加工部・食品バイオテクノロジー研究室の山下氏が参加しているとしている。
この報告書(仮訳)によれば、マーカー遺伝子などに抗生物質耐性遺伝子が使われているにもかかわらずその安全性の研究は行われていない現状に、非抗生物質耐性遺伝子の開発をあげている。また、ウイルス由来のベクターの使用による遺伝子の水平伝達の影響について更なる研究と、その使用に関するガイドライン作成の必要性に言及している。
FAOとWHOはこの報告書に関して、「本報告書に示す見解は合同専門家会議参加者の見解であり、WHOおよびFAOの意見を意味するものではない」としている。
・FAO/WHO
遺伝子の水平伝達とは、遺伝子が子孫に伝達される(垂直伝達)のとは異なり、種を超えて遺伝子が伝達されることをいう。
・遺伝子組み換え情報室
■まず認知の低さ克服
教育ファーム推進中間整理に意見募集
農水省は8月20日、5月から3回にわたって開催された「教育ファーム推進研究会」による「中間論点整理」を公表し、意見募集を始めた。締め切りは9月18日。
・農水省, 2007-8-20
・農水省:教育ファーム推進研究会, 2007-8-20
この中間報告では、「教育ファーム」に関する認知の低さの克服に、情報提供や教職員の理解を求めている。農水省の定義する「教育ファーム」は、「農林漁業者など実際に業を営んでいる者による指導を受けて、同一人物が同一作物について2つ以上の作業を年間2日以上の期間行うもの」(2006年4月、消費・安全局長通知)とされている。その上で「単なるイベントのような体験活動は含まれない」としているが、「食育」の場としての内容としては貧弱さは否めない。一方で先駆的な取り組みとしては、すでに2007年4月より福島県喜多方市で特区による小学校での「農業科」の導入が始まっている。この中間報告でも、約3割を割いてその概要を資料として掲載しているが、喜多方市では、小学校3年から6年にかけて授業の一環として取り組まれている。
米国での学校菜園の取り組みについては『食育菜園』(2005年、センター・フォー・エコリテラシー著、ペブル・スタジオ訳、家の光発行)に詳しい。
2007.8.19 No.485
■白米は突然変異の赤米から選抜された
8月16日のChronicle Onlineによれば、コーネル大学や国際稲研究所(フィリピン)などの研究グループはこのほど、現在の白米の97.9パーセントがジャポニカ種の一つの遺伝子の突然変異(DNAの欠損)に由来するとの研究結果をPLoS GENETICSに発表した。また、残る2.1%のインディカ米の白米からも同様の突然変異を見つけたという。この白米に関する2つの突然変異は野生の赤米からは見つからなかったとしている。
この研究によれば、約1万年前に赤米に生じた突然変異の結果、この白米種が少ない燃料でより早く調理でき、赤米と比較して精米がより容易であり、病害がより発見しやすいことから、まずヒマラヤ地域で、次いで残りの地域で、古代の農民がこの白米種を積極的に栽培し広げた、と研究者は推測しているという。
・Chronicle Online, 2007-8-16
・PLoS GENETICS、2007-8-10
■ザンビアはGMを拒否 AGRAも一線を画す
Science and Development Networkは8月3日、ザンビアの農業大臣はこのほど、「ザンビアは遺伝子組み換え作物のダンピングの場ではない、といつも言ってきた」と語ったと報じた。ISAAA(国際アグリバイオ事業団)など遺伝子組み換え作物推進の民間5団体は7月30日、ザンビアの新聞に遺伝子組み換え製品使用の共同声明を掲載していた。すでにザンビア国会は4月3日、ザンビア国内での遺伝子組み換え製品を未然に防止を目的とする生物安全議案を採択していた。
GM推進の立場の団体からは、、世界的にGM技術のような新しいツールを受け入れる間に、アフリカの農業生産性が下がるとし、アフリカの農民は従来の農業技術に限定されるべきではない、という批判も出ている。
前国連事務総長コフィ・アナンを会長とする「アフリカの緑の革命のために連合」(AGRA:Alliance for a Green Revolution in Africa)は7月16日、遺伝子組み換え作物が将来的にどんな可能性があるにせよ、非GM品種が食糧の安全保障に重要であるとの声明を発表した。
・Science and Development Network, 2007-8-3
AGRAは7月16日の声明で、将来にわたって遺伝子組み換え技術を否定しないが、現在アフリカの小規模農民にとって重要なことは、自立可能に必要な病害や旱魃などの環境に耐える新品種を開発し、急激な収量の増大を図ることだとしている。そして2つの理由から、遺伝子組み換え技術を選択しなかったとしている。
・従来の育種により、比較的低コストで短期間に大きなメリットを実現することができる。しかし現在までアフリカにおいて、アフリカの作物の固有な遺伝的潜在能力は未開発のまま、従来の品種改良は大きな注目や投資を得てこなかった。
・従来作物の品種改良は、多くのアフリカ諸国の規制の枠内にあり、比較的急速に普及が可能である。
AGRAは、アフリカの小規模農民にとって必要なツールであって、かつ政策と一致するならば、遺伝子組み換え技術に資金提供をしないわけではないととするものの、従来の品種改良が出発点であるとしている。
・AGRA, 2007-7-16
今年1月、ナイロビの世界社会フォーラムに参加したアフリカの70のNGOの代表は、ビル・ゲイツ財団とロックフェラー財団が、アフリカの農業を高価で有害な化学製品やハイブリッド種子によるモノカルチュア(単一作物栽培)へと、最後には遺伝子組み換えに依存するシステムにシフトさせようとして、AGRAに1億5千万ドルを受け入れさせようとしている、と警告していた。7月16日のAGRAの声明では、将来的にどのような対応をとるかは明らかにしないまでも、遺伝子組み換え作物と一線を画したことになる。
2007.8.16 No.484
■中国産有機大豆は有機なのか 疑う米国の農民
米国のDes Moines Registerは8月15日、米国の有機農家と加工業者が中国産有機大豆の信頼性について疑念を持っていると報じている。米国は約7千万トンの大豆を生産(2007年度見込み)しているが、その多くが遺伝子組み換え品種となっている。その一方で、2007年には167億ドルと見込まれる米国内の旺盛なオーガニック需要の増大(前年比約20%増)により、有機大豆の米国内での調達が難しくなっている。有機大豆の不足分は中国などからの輸入に依存せざるをえないという。
有機大豆は、豆乳や豆腐などに加工されるとともに、有機の鶏や豚のエサとして使用される。米国の大豆業者や加工業者、一部の農民は、中国の有機大豆が米国の有機認証基準を守っているか疑念を持っている。
米国の大豆業界団体(United Soybean Board)理事長のRoy Bardoleは、アジアの米国有機認証の圃場で、農業労働者が噴霧器を背負って歩いていたのを見たと証言する。「除草剤や殺虫剤を使った“有機栽培大豆”を輸入しているかもしれない。それは米国の規則に反していて、米国の生産者に対してフェアでない」という。
輸入業者と認証機関は、中国の農場も米国同様の検査を受けているという。米国農務省は、米国の認証を受けている中国の農場と加工工場を抜き打ち査察し認証期間の記録を調査するとしている。
有機生産協同組合のOrganic ValleyのDavid Bruceは、米国の有機認証された中国産の有機大豆を信用しないという。彼は、組合員に米国内で栽培された大豆だけを使い、輸入有機大豆は使わないように指示しているという。
・The Des Moines Register, 2007-8-15
有機のトリ肉や豚肉は、有機栽培の飼料を与えられることが条件となっている。そのため、有機農産物の需要増大に伴い、飼料用の有機大豆の需要も増大せざるを得ない。“ジャンク”ともいえる遺伝子組み換え大豆にシフトしている米国が、そうした“ジャンク”大豆を日本などに輸出する一方で、中国産とはいえ有機大豆を輸入せざるを得ないという矛盾が起きている。世界的な食料争奪戦争の中で米国は、“ジャンク”農産物を輸出しつつ、有機農産物を世界中からかき集めている、ということでもある。
日本でも2005年、有機畜産物と有機飼料に関する有機JAS規格が制定されている。その規格では、飼料は主に有機の飼料を与える、野外への放牧など、ストレスを与えずに飼育する、抗生物質等を病気の予防目的で使用しない、遺伝子組換え技術を使用しない、などが定められている。一応はコーデックスの基準に準拠しているというが、日本の畜産業界の現状を見すぎているという批判もある。日本における有機畜産の主要な問題は、有機飼料の確保にあるだろう。
■遺伝子組み換え動物に踏み込むコーデックス
厚労省は8月16日、第7回コーデックス・バイオテクノロジー応用食品特別部会の議題や関連文書を公表した。この特別部会では、昨年11月開催の第6回会合で米国より提案された「微量に存在する組換えDNA植物の安全性評価」とともに、「組換えDNA動物由来食品の安全性評価の実施に関するガイドライン原案」が提案され審議される予定。従来は植物や菌類にとどまっていた遺伝子組み換え技術が、さらに動物の領域にまで踏み込むことに国際的な“合意”がとられることになる。
・厚労省, 2007-8-16
第7回会合は、9月24日から9月28日にかけて幕張メッセ国際会議場で開催される。傍聴が可能で、現在希望を受け付けている。9月7日締め切り。
・厚労省, 2007-8-7
2007.8.14 No.483
■ダイオキシンに汚染されたグアーガム 原料はインド産
swissinfoは7月30日、スイス・Tages-Anzeiger紙の報道としてスイスの食品メーカーUnipektin社の製造したグアーガム(商品名「Vidocrem」)が、12〜156ピコグラムのダイオキシンとペンタクロロフェノール(PCP、殺菌剤、殺虫剤)で汚染されていたと報じた。この汚染は7月13日にドイツでの検査で見つかった。ダイオキシンのEUでの基準は、1グラムにつき1〜6ピコグラムである。
グアーガムは、グアー豆の胚乳部の粉末より得られる多糖類で、増粘剤やゲル化剤などの食品添加物として利用される。スイス・トゥールガウ(Thurgau)州は、消費者の健康に対する危険が無視できないとして、汚染された「Vidocrem」の回収を命じ、EU当局も7月25日に加盟国への警告を発したという。同州の保健当局者は「消費者の健康は、深刻な危険にさらされなかった」としている。
Unipektin社によれば、問題のグアーガムはIndia Glycols社(インド)より輸入された原料が汚染されていたとしている。同社は、2年前よりIndia Glycols社のグアーガムを使用してきたが、グアーガムのリスクが大きくはないとしてダイオキシンの検査はされてこなかったという。また、India Glycols社は同社の主要な原料供給元(サプライヤー)ではないとしている。汚染された製品は数トンに上ると見られている。この汚染されたグアーガム製品は、スイス国内のみならずドイツ、フランスなどの欧州各国やオーストラリア、日本などに輸出されたという。
・swissinfo, 2007-7-30
・UNIPEKTIN, 2007-8-3
Unipektin社は8月10日、2006年から2007年にかけてのIndia Glycols社のグアーガムのサンプルを検査した結果、高い濃度のダイオキシン、フラン、ペンタクロロフェノール(PCP)を検出したと発表している。検出濃度については公表していない。また、8月13日の追加情報では、これまでの検査結果から、汚染源は梱包材などではなく、工程中の汚染された水か処理助剤ではないかとの見方が強くなってきている、と発表している。
・UNIPEKTIN
India Glycols社は、そのグアーガム製品を商品名「IGGUAR」で世界中に輸出しているとしている。
Unipektin社のグアーガム製品は、日本ではユニテックフーズ社が輸入し販売しているようである。
ダイオキシンとともに検出されたペンタクロロフェノール(PCP)は、日本では1950年代半ばに農薬として登録され、水田用の除草剤やいもち病などの殺菌剤、防腐剤などに使われてきた。副生成物としてヘキサクロロジベンゾダイオキシンを含むことが問題となり、1990年に農薬登録が失効している。環境ホルモンの疑いがあるという。
今回インド産のグアーガムからPCPが検出されたということは、汚染源がUnpektin社の発表のように工程中の処理水であるとすれば、インドの水に高濃度の農薬汚染が起きているということになる。原料のグアー豆自体の汚染についてもまだその可能性は残っている。
■食品から摂取するダイオキシン類は1.04pg-TEQ 2006年度調査結果
厚労省は8月6日、2006年度のダイオキシン類の摂取量についての研究結果を公表した。これによれば、平均的な食生活の場合、食品から摂取するダイオキシン類の1日摂取量(推定)は、2006年度には体重1kgあたり平均約1.04pg-TEQであるとしている。この値は、耐容1日摂取量(TDI:人が一生涯にわたりその量を取り込んでも健康に対する有害な影響が現れないと判断される1日あたり、体重1kgあたりの量)の4pg-TEQより低く、ここ数年と同レベルであるとしている。
同時に公表された生鮮魚介類と鶏卵のダイオキシン類の濃度(1gあたり)は、0.001〜27.092pg-TEQで、最も高かったのは輸入のあんこうの肝だったとしている。
・厚労省, 2007-8-6
●TEQ(Toxic Equivalent Quantity、毒性等量):毒性の強さを加味したダイオキシン量の単位。ダイオキシン類は通常、毒性強度が異なる異性体の混合物として環境中に存在する。毒性の強さはそれぞれ異なるため、量を単純に合計しても、その合計量で毒性の影響を評価できない。そのため、ダイオキシンでは、各異性体の量にそれぞれの毒性の強さの係数(TEF)を乗じた値の総和である毒性等量(TEQ)として表わす。
■ダイオキシン被害は終わらない
9月に国際フォーラム開催
ダイオキシン国際NGOフォーラム実行委員会とダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議は9月1日から2日間、「枯葉剤(ベトナム)、油症(台湾・カネミ)、そしてダイオキシン(セベソ)の今は!」と題してダイオキシンについての世界各国の被害者、研究者、NGOを集めての国際フォーラムを東京で開催する。このフォーラムでは、被害の実情や研究の現状、対策など6つのセッションが予定されている。参加は事前予約制で先着200名。
●ダイオキシン国際NGOフォーラムin東京2007
〜環境ホルモン問題から見たダイオキシン被害の実態と研究対策の今〜
日 時:2007年9月1日(土)10:00〜17:35
9月2日(日)10:00〜17:50
会 場: JICA国際協力総合研修所国際会議場
東京都新宿区市谷本町10-5 TEL.03-3269-2911
参加費:1日1500円(2日連続 2500円)
主 催:ダイオキシン国際NGOフォーラム実行委員会
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
協 賛:ダイオキシンから環境問題にとりくむ豊能郡住民の会、止めよう!ダイオキシン汚染・関西ネットワーク、埼玉西部・土と水と空気を守る会、ベトナムの枯葉剤障害児を支援する会、残土・産廃問題ネットワーク・ちば、豊島・健康と環境を守る会、反農薬東京グループ、岐阜環境調査市民学術委員会、食の安全・監視市民委員会、たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会(7月24日現在)
申込・連絡先:ダイオキシン国際NGOフォーラム実行委員会事務局
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-21 戸田ビル4階
TEL 03-5368-2735 FAX 03-5368-2736
E-Mail: kokumin-kaigi@syd.odn.ne.jp
■“未承認GMトウモロコシの混入”を回避 MIR604承認へ
食品安全委員会遺伝子組換え食品等専門調査会は8月8日付で、シンジェンタ社の害虫抵抗性遺伝子組み換えトウモロコシMIR604(Agrisure RW)について、飼料として「食品健康影響評価は必要なく、当該飼料を家畜が摂取することに係る畜産物の安全性上の問題はないものと判断」という「遺伝子組み換え食品等評価書」を決定した。翌9日開催された第202回食品安全委員会において、その決定を承認し農水省へ通知することとなった。
米国では、日欧での承認を待たずしてMIR604(Agrisure RW)の2007度の作付けを始めていた。2005年におきた未承認GMトウモロコシBt10のような混入を恐れたシンジェンタ社は、MIR604(Agrisure RW)を作付する農家に対して輸出向けに出荷しないという誓約書を取っていた。これにより新たな“未承認GMトウモロコシの混入”は避けられることになるだろう。
2006年度の貿易統計によれば、米国から輸入されたトウモロコシは約1634万トンであり、飼料用が約72%(約1180万トン)を占めている。
・食品安全委員会遺伝子組換え食品等専門調査会, 2007-8-8
・Reuters, 2007-8-9
2007.8.12 No.482
■モンサントのGM特許に無効の決定 米国特許庁
米国の Public Patent Foundation(公共特許基金、PUBPAT) は7月24日、モンサントの主要な4つの遺伝子組み換え特許に対して米国特許庁が全ての請求項目を無効とする決定を下したと発表した。これはPUBPATが2006年9月、米国特許庁に異議申し立てていたもの。PUBPATは、これらの特許が米国の農民に対する不当な特許料請求の根拠となり、モンサントは嫌がらせや脅迫、訴訟を行い、時には農民の自己破産を招いているとしている。
PUBPATによれば、今回の4つのモンサントの特許のように、第三者による申し立てによる再審査された特許のうち3分の2は、変更や完全な無効の決定がなされてきた。今回の決定では、PUBPATが提示した先行技術のほか米国特許庁の審査官により見出された先行技術も無効決定の証拠として示されているとしている。
この決定にPUBPATのダン・ラビシャー事務局長は「モンサントが米国の農家いじめに使ってきたこれらが特許に値しない、と特許庁が決定したことに非常に満足している。今回の決定が、家族農家と多様なアメリカの食物供給を脅かすこれらの特許のモンサントの攻撃的な主張によって引き起こされている市民に対する危害の終わりの始まりであることを期待する」という。
・PublicPatentFoundation, 2007-7-24
今回の決定は、5月3日の欧州特許局によるモンサントの遺伝子組み換え特許無効の決定に続くものであり、モンサントの特許戦略に大きな影響を及ぼさざるを得ないだろう。
●モンサントの4つのGM特許
・United States Patent 5164316, November 17, 1992
・United States Patent 5196525, March 23, 1993
・United States Patent 5322938, June 21, 1994
・United States Patent 5352605, October 4, 1994
モンサントによる農民いじめについては、安田節子さんのサイトにその例がある。
・やすだせつこ.com
Public Patent Foundation は、Wikipediaなどによれば2003年に設立され、米国における特許の乱用を監視し、先行技術を見つけ出し、その特許が無効であると米国特許庁に申し立てを行っている非営利団体である。その設立者の一人ダン・ラビシャー事務局長は、Software Freedom Law Center(ソフトウェア自由法律センター)のメンバーであり、オープンソース運動を法的側面から担っているようである。PUBPATが過去に無効を申し立てた特許には、マイクロソフトのFAT(ハードディスクの記録管理方式)や、デジタル写真の方式であるjpeg特許や、HIVの薬に対するものなどがある。
■遺伝子組み換え樹木開発へ検討会
林野庁は8月9日、遺伝子組み換え樹木の技術展開についての検討会を開催すると公表した。この「森林・林業分野における遺伝子組換え技術の今後の展開方向に関する検討会」は8月21日に開かれ、傍聴が可能。同庁は、遺伝子組み換え樹木について「木質バイオマスの利用促進や地球温暖化防止対策、花粉発生源対策等において有効な手段」としている。
・林野庁, 2007-8-9
すでに2007年3月より、製紙用のパルプ原料を目的とする高セルロース含量遺伝子組み換えギンドロ(ポプラ)の試験栽培が林木育種センター(茨城県日立市)の隔離圃場で始まっている。このGMギンドロは、コウジカビ由来のキシログルカナーゼ遺伝子が組み込まれたもので、セルロース含量と比重が高いという特徴はパルプ原料として適しているとしている。
・林木育種センター, 2007-3
2007.8.6 No.481
■自家採種をテーマにたねとりくらぶの集い 福井県池田町
8月4日と5日の2日間、福井県池田町などを会場に「たねとりくらぶ」の集い(第9回全国種苗研修会)が、「タネ・農の原点に回帰、そして交流」をテーマに開催された。全国各地から130名が参加し、タネ採りの技術交流や自家採種のタネの交換会などが行われた。
ステージに並ぶ伝統野菜
ステージに並ぶ伝統野菜
初日の会場となったホールには、北陸と近畿の8都県の約50品種の伝統野菜のサンプルやパネルが展示され、特にナスやキュウリの多様な品種が注目された。また10種類ほどの地元福井の伝統野菜の試食も提供された。今回はこの集いの実行委員会の中心となった地元の「ふくいの伝統野菜・るるぶ」提供による福井の伝統野菜の種子5種類が参加者に配布された。
2日目は福井市味見河内地区で焼畑の見学が行われた。河内地区では、約8百年前から焼畑による「河内赤かぶら」が栽培されてきた。かつては雑穀とともに栽培されていたこの赤かぶらも、年末に峠を越えた大野市の朝市で売られるようになって、かぶらの栽培だけになったという。20度から30度の急傾斜地を伐採し火を入れて焼くことで、肥料も農薬も使わない赤かぶらが栽培されてきたが、後継者がないとのこと。当日に予定されていた焼畑の火入れは雨が続いていたため中止となったが、種まきと覆土のデモが行われた。こちらの見学会には、地元の福井農林高校からも参加があった。前日夜には、火入れの状況や歴史を描いた映画「焼畑」(福井県立博物館制作)が上映された。現在も焼畑が行われているところは、秋田県、山形県、宮崎県と福井県など極わずかとなっているという。
会場となった池田町は、岐阜県と接する福井県中部に位置する山間過疎の町。周辺市町村による広域合併に背を向け独立自治体を選択したが、これには杉山町長のリーダーシップが大きいようだ。「農村力」をキャッチフレーズに、農業で生きる道を「一株増苗」運動や、生ゴミの堆肥化などにより町民一人ひとりを巻き込んだダイナミックなまちづくりを行っている。
・池田町
■GM作物実用化へオールジャパンを提言
初めに結論ありき
農林水産省農林水産技術会議は8月1日、「遺伝子組換え農作物等の研究開発の進め方に関する検討会」の中間とりまとめを公表した。この検討会は5月22日より6回の会合を開き、研究機関、バイオ企業などからのヒヤリングを重ねて中間とりまとめを決定した。この検討会が、日本における遺伝子組み換え作物の商業栽培を目的としているため、最初から遺伝子組み換え作物の開発中止という選択肢は用意されていないし、消費者の側からのヒヤリングが全くない片手落ちの検討会といえるだろう。
今回の「中間取りまとめ」では、その多くを「オールジャパン」による研究開発体制の整備と研究者の育成に割いている。日本の遺伝子組み換え作物の開発には「戦略性がない」と分析し、「首尾一貫した総合戦略が必要不可欠」であるとしている。さらに現状の研究体制は、多くの企業が撤収する中、一部の農水系研究機関や大学に偏り「脆弱」であるとしている。その上で、国家戦略として「選択と集中」に沿って重点化を行うべきであるという。
しかし、この「中間取りまとめ」で遺伝子組み換え作物の食品としての安全性や交雑防止への言及はほとんどなされていない。この検討会のベースには、遺伝子組み換え作物に対する消費者の不安や安全性への疑念は、開発側の責任ではないと言いたげな内容となっている。消費者の不安感や不信感には「国民とのコミュニケーションの徹底と正しい情報提供が必要不可欠である」と提言しているものの、国民的合意の上で遺伝子組み換え作物の開発を進めるための道筋は、ほとんど何も示されてはいない。「コミュニケーションの徹底」をいうならば、まずは、食品安全委員会遺伝子組み換え食品等専門調査会と提出されたデータの公開、未だに発言者が伏字となっている議事録の是正や、パブリックコメントの回答に見られる木で鼻をくくった態度を改めることから始めてはいかがであろうか。説明責任が求められて久しいが、遺伝子組み換え作物に限らず、政策に関する国の説明責任は果たされているとは思えない。
今回の検討会のような「初めに結論ありき」のやり方で、果たして、国民的な合意形成が可能なのか、はなはだ疑問と言わざるを得ない。
・農林水産省 農林水産技術会議, 2007-8-1
※議事概要、配布資料