最終更新日:2011年2月25日
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2011年2月の農と食

2011.2.25 No.512
■沖縄でGMパパイア汚染 台湾で開発中の品種

 農水省は2月22日、沖縄の農産物直売所やホームセンターで販売のパパイアの生果実及び種苗を検査したところ、台湾で開発中のGMパパイアと同じ塩基配列を持つ種子が混入していたと発表した。同省の報道発表によれば実質的な対策は、種苗会社の種子の検査と輸入種子の水際でのモニタリング検査の2点のみである。

 ・農水省, 2011-2-22

 朝日新聞(2月22日電子版)では、「国内の種苗会社が持つ種子を全て検査し、遺伝子組み換えと判明すれば流通を止める」と報じている。この「種子を全て検査」の意味が不明。全ての遺伝子検査ということであれば全量廃棄と同じであり、常識的にはサンプリング検査だが、汚染の程度と抜き取り水準によっては検出できない可能性もある。

 ・朝日新聞, 2011-2-22

 農水省の発表では、販売済みの種子に対する処置については言及がない。販売されたGM種が栽培された場合、GM花粉によって周辺の非GMパパイアが汚染され、水面下での汚染拡大の可能性がある。

 発表では販売種子の原産地について明らかではないが、言及のないところをみると輸入種子と思われる。問題の種子が台湾産とすれば、台湾内での汚染が進んでいる可能性があるだろう。しかし今回の発表では、輸入生鮮果実については何ら対応策は明記されていない。

 財務省貿易統計(2010年)によれば、台湾からの生鮮パパイアの輸入実績は4トンと少ない。98%がフィリピンからの輸入である。国内産の実績は、農水省の統計対象となっておらず不明である。

  パパイヤ輸入量【財務省貿易統計(2010年)】
  -----------------------------------------
   台湾       4トン
   フィリピン  2277トン
   米国      497トン(ハワイ産?)
  -----------------------------------------

 現在、消費者庁が米国産生鮮GMパパイアの表示について検討中であり、国内で流通していないことになっている。(注)

 テレビ朝日(電子版)は今回の汚染に関して、「日本にはパパイヤの自生がなく、交雑の可能性がある植物もないため、生物多様性への影響は低いということです」とのコメントを掲載している。確認していないが、このように放送したものと思われる。確かにカルタヘナ法上はパパイアの野生種がない以上、このような表現は問題なしとされる。しかし、栽培パパイアがある以上、汚染や交雑が起きた場合は被害は大きいと思われる。

 ・テレビ朝日, 2011-2-22
  未認可遺伝子組み換えパパイヤ流通 農水省検査へ

 ●汚染は宮崎県へ拡大 2年前から

 朝日新聞などは2月23日、宮崎市が宮崎食研(同市)が製造する「パパイヤ茶」にGMパパイアが混入していたとして、同社に回収を命じたと報じた。この問題に関する回収命令や宮崎市の見解は、同市のサイトには掲載されていない。

 新聞報道によれば、問題のパパイヤ茶は、原材料は縄県産の苗を使用して宮崎県内で生産されたパパイアやの葉で、2年前に製造されたものという。宮崎市は、種や苗の段階でGMパパイヤが混入していたとみているという。

 このパパイヤ茶から見つかったGMパパイヤの遺伝子配列は、22日に公表された沖縄で見つかったGMパパイヤと同じものとされる。すでに少なくとも2年前から、GMパパイヤの汚染が宮崎県にまで拡大していたことになる。

 ・産経新聞, 2011-2-23
 ・朝日新聞沖縄版, 2011-2-23
 ・宮崎日日新聞, 2011-2-24

 2月25日現在、農水省からはこの宮崎県でのGM汚染についての発表はない。しかし奇妙なことに、沖縄での“発見”公表の翌日24日、JA宮崎中央が販売しているパパイヤの種子「サンライズ・ソロ」に汚染はないと発表している。当然、宮崎市のパパイヤ茶への混入は承知の上で、JAの種を使う分には“安全”と発表したものだろう。

 ・農水省, 2011-2-24

 宮崎食研によれば、同社は何も知らず2月22日に宮崎市保健所から連絡を受けたという。同社の田原敬介社長は次のように述べている。

 宮崎の生産者が育てたパパイヤを加工して製造しているので、生産者が手に入れた苗がどんな種からできているのかをその種だけでなく、何代か前までさかのぼって把握しないといけないことになります。
農水省が種の段階で検査をして合格したものが種苗会社に流通する仕組みができあがり、その苗または種を生産者が栽培して実が取れるようになったら販売も可能になるのかなと考えています。

 ・宮崎食研, 2011-2-24

(注)この米国産GMパパイヤはウイルス抵抗性パパイヤで、抗生物質耐性遺伝子が組込まれている。2009年にはハワイの77%がGMパパイヤといわれている。日本では食品安全委員会の審査終了 し、消費者委員会食品表示部会も通過、現在手続き中でる。消費者委員会の第2回表示部会の議事録では流通の問題が浮き彫りにされている。ハワイにおける在来種とGMパパイヤの分別管理については、ハワイパパイヤ協会提供の資料が消費者委員会表示部会に提出されている。

 ・食品安全委員会, 2009-7
 ・消費者委員会:第2回食品表示部会, 2010-5-24
  議事録

 また、このGMパパイアについて天笠啓祐氏(市民バイオテクノジー情報室代表)が問題点を指摘している。

 ・日刊ベリタ, 2010-9-4