最終更新日:2011年10月18日
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2011年10月の農と食

2011.10.18 No.527
■放射能汚染マップ詳細版を公開 文科省
 

 文科省は18日、6月以来実施してきた航空機モニタリングによる放射能汚染調査結果を、電子地図に重ねたより詳細な汚染地図の公開を始めた。電子地図は国土地理院作成のもの。今回の公開では、ブラウザで閲覧する電子地図による「電子国土版」と「PDF版」の2通り。拡大・縮小、地域指定のやりやすさなど、「電子国土版」が使いやすそうである。

 ・文科省, 2011-10-18

 18日に公開された範囲は、宮城県・山形県から東京都・神奈川県まで10都県。調査結果が10月12日に公開された秋田県と新潟県の分は、今回の拡大サイトではまだ公開されていない。

 汚染地図は、空間線量率、Cs-134,Cs-137,Cs-134とCs-137の合計などのモードが用意されている。電子国土版は縮尺が最大約8千分1程度あり、直径100m前後のスポット的な汚染度違いも識別できる。こうした場合のモードは、空間線量率よりも、Cs-134+137の合計の方が、より識別しやすいようだ。

 しかし濃度区分が、放射性セシウムでは最低が1千Bq/uであり、東京都、神奈川県などでは、ほとんどが同一レベルになり、ほとんど違いが分からない。ただ、その差によっては、次のように識別できる。

 例1、2は、神奈川県相模原市緑区の小倉山周辺を、空間線量率と、セシウム134+137合計の2通りで見たもの。この例では、違いが識別できる程度に汚染度が異なっていて、小倉山が周囲に比べ線量率が高いのが分かる。セシウム濃度についても、小倉山周囲の1千Bq以下に対して、小倉山付近が1千Bq以上と高いのが見て取れる。こうしたスポット的な汚染度の違いは識別できる。部分的には、都市部などでのマイクロスポットには使えそうである。

   例1:空間線量率モード
 
   例2:Cs134+137の合計モード
 

 例3は、郡山市の市街地のマイクロスポットの例で、直径は約1Km。土壌調査でも、放射性セシウム濃度が高かった地点である。

   例3:郡山市市街地
 

 こうした汚染マップが事故直後から作られ、公開されていれば、被曝の低減や、作付への対応が違ってきただろう。遅きに失したといわざるを得ない。また、今回の公開は、放射性セシウムについてだけである。文科省は10月5日、福島県と茨城県北部におけるストロンチウムとプルトニウムの汚染状況を公開した。10月14日には、横浜市港北区内でもストロンチウムが検出されている。放射性セシウムに限定せず、ストロンチウムなどについても、汚染度に応じて広く調査する必要がある。6月6日付けの原子力安全・保安院が公表している、福島第一原発の1号機、2号機、3号機からの放射性物質の放出量の見積によれば、ストロンチウム90の放出量は14兆ベクレルと見積もられている。横浜市でも検出されたということは、関東全域でのストロンチウム拡散の可能性があるということだ。

 ・文科省, 2011-10-5  ・横浜市, 2011-10-14  ・原子力安全・保安院, 2011-6-6