最終更新日:2011年12月26日
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2011年12月の農と食

2011.12.26 No.533
■アフリカもターゲット
  モンサント・干ばつ耐性GMコーン

 米国農務省は12月21日、モンサントとBASF(ドイツ)との共同開発による遺伝子組み換え干ばつ耐性コーンMON87460の栽培規制緩和を公表した。このGMコーンは、干ばつ耐性コーンとしては第一世代となるもの。モンサントは12月21日、2012年春に、商業栽培のための試験栽培を始める、とのプレスリリースを公表した。

 ・米農務省, 2011-12-21  ・Monsnto, 2011-12-21

 この認可に対して、米国の憂慮する科学者同盟は12月22日、ダグ・ガリアン-シャーマン氏による「干ばつに襲われた農民を助けることになりそうもないモンサントのコーン」と題する批判声明を公表した。声明は、非GMの干ばつ耐性品種があるにもかかわらず、水を節約することにはならないこの遺伝子組み換え干ばつ耐性コーンは、解決策ではなく“バンドエイド”でしかない、と批判した。

 ・憂慮する科学者同盟, 2011-12-22  

●日本では既に承認済み

 このモンサントのGM干ばつ耐性コーンMON87460は、12年1月末まで茨城県河内町の同社隔離圃場での野外栽培が承認されている。11年9月9日には、カルタヘナ法に基づく屋外での栽培を認める第1種使用規定の審査が生物多様性検討会で終了し、意見募集の後、来春には承認されるものと思われる。

 申請書類によれば組み込み遺伝子の発現にCaMV(カリフラワーモザイクウイルス)プロモーターを使い、選別用に4種類の抗生物質耐性遺伝子を含んでいる。このCaMvプロモーターは発現力の強さから、不要な遺伝子までも発現させるのではないかとする専門家もいる。抗生物質耐性遺伝子についても、安全性の観点からその使用を問題視されている。

 また食品安全委員会による食品としての安全性審査も201年10月までに完了しており、2011年6月13日付けで厚労省のリストに掲載されている。11年9月6日付けで、除草剤耐性品種、あるいは害虫抵抗性品種とのかけ合わせた5品種も安全であるとして承認されている。

 

●アフリカもターゲット

 この遺伝子組み換え干ばつ耐性コーンMON87460は、東アフリカ沿岸5か国(ケニア、ウガンダ、タンザニア、モザンビーク、南アフリカ。図1)とアフリカ農業技術財団(ケニア)、国際小麦・トウモロコシ改良センター(CIMMYT)、モンサントで構成される「Water Efficient Maize for Africa (WEMA)」で導入が予定され、8〜10%の増収を見込んでいるとされている(モンサント:隔離圃場での第1種使用規定申請資料、8頁、注)。

注:隔離圃場での第1種使用規定申請資料は、日本版バイオクリアリングハウスのデータ検索システムより検索・閲覧する。詳しくは「遺伝子組み換え作物資料検索」(別ウィンドウ) へ

  ◎Water Efficient Maize for Africa
   アフリカ農業技術財団(AATF)/5カ国の各研究機関/モンサント/国際小麦・トウモロコシ改良センター(CIMMYT)
  ・組み換え遺伝子提供:BASF
  ・資金提供:ビル・ゲイツ財団/ハワード・バフェット財団
WEMA関係国 WEMA関係国
WEMA枠組み WEMA枠組み

 WEMAは、従来育種による干ばつ耐性品種の導入によりスタートするものの、5,6年先には遺伝子組み換えによる干ばつ耐性品種を導入するとしている。開発された種子は、メンバー団体の一つであるアフリカ農業技術財団(AATF:African Agricultural Technology Foundation)によって、関係国の種子会社へ配布され、そこから農民へ販売される。

 WEMA、あるいはモンサントのサイトによれば、WEMAへの資金は、ビル・ゲイツ財団からアフリカ農業技術財団を通して提供されている。ビル・ゲイツ財団は2010年、モンサントに資本参加している、ここでもビル・ゲイツ財団とモンサントがタッグを組んで参画している。干ばつ耐性遺伝子組み換えコーンを共同開発しているBASFは正式メンバーではなく、組み換え遺伝子の提供にとどまっているようである。

 このモンサントからの技術提供によるGM品種に係る技術料は、免除( royalty-free )されるとしている(ビル・ゲイツ財団関連情報)。この「免除」は、アフリカへのGM作物導入への足がかりを得るための方策ではないかと思われる。従来育種の品種にしてもF1品種であれば、毎年種子の購入が必要である。固定種の遺伝子組み換え品種であったとしても、他の品種とかけ合わせたF1として供給されるならば、毎年購入せざるを得ない。自家採種によりその土地にあった品種が栽培されてきた歴史が否定され、種子企業への従属が強制されることになる。

 ・Water Efficient Maize for Africa
 ・モンサント  ・ゲイツ財団

 遺伝子組み換え品種が席巻してしまった米国の農家の声を集めたドキュメンタリー映画『GMのワナ』(国際有機農業映画祭2011上映作品。原題:"Farmer to Farmer : The Truth About Gm Crops")では、農家が遺伝子組み換え作物を選択せざるを得ない状況についての証言が語られている。大豆やコーンの遺伝子組み換え品種による汚染=交雑が進むことによって、汚染されていない固定種の種子が入手が難しくなりつつあり、同時に、そうした種子の価格も上がってきているという。さらに、遺伝子組み換え品種は、化学肥料と農薬の使用がセットになっていて、メーカーの言いなりの価格で購入せざるを得ない状況が生まれている。アフリカにおいても、米国のような、否応なく遺伝子組み換え品種を使わざるを得ない状況が、アフリカでももたらされる可能性があるだろう。

 WEMAでは、干ばつ耐性コーンのほかに病害抵抗性遺伝子組み換えバナナの導入を予定していて、既にウガンダで試験栽培が始まっている。この導入遺伝子の特許は、台湾のAcademia Sinicaが所有している。

 ・WEMA