米国のオーガニック・トレード協会(OTA)は先ごろ、2011年の米国におけるオーガニック産業の売り上げが315億ドル(2兆5千億円)に達したとの調査結果を公表した。内訳は、食品部門が292億ドル、衣料などが22億ドル。前年比9.4%の成長としている。
OTAの調査によれば、有機認証の農家や企業は17,600に達し、94%の経営体が2012年に従業員数の維持あるいは増強を計画している。食品部門のシェアは4.2%で前年よりアップすると見込まれている。こうしたオーガニック産業の成長は2012年も続き、前年比9%台の見込みであると分析している。
・Organic Trade Association, 2012-4-23OTAはまた、成長する米国のオーガニック産業は、2010年、新たな雇用を50万人創出したと発表した。10億ドルの売り上げにつき21,000人の雇用を生み出しているとしている。これは、食品業界が慣行農業によって生み出す雇用より21%多くの雇用を創出している、と分析している。
・Organic Trade Association, 2012-4-25欧米の有機セクターが成長産業であるのに対して、日本での成長性はどうか。日本の有機農業関連の2010年の規模は、1千億円あまりとの調査結果も公表されている。まだ、米国の20分の1の規模に過ぎない。
日本では、2007年に有機農業推進法が公布され、都道府県レベルの有機農業推進計画が策定されてはいるが、それが現状とマッチして有機農業を“推進”しているのか、検証が必要である。また、2011年から環境直接支払いが制度化され、それまでの団体のみへの支援から、直接に個人へも支援する制度へと変更された。この環境直接支払への参加者の申請した技術区分をみると58%が「有機農業」となっている。しかし、農水省の分析でも、有機農業のシェアは0.23%(2010年度)にとどまっていて、「(環境直接支払いが)農業全体の中で有機農業の増大に資する状況には至っていないと考えられる」と分析している。まだまだ制度的なテコ入れが足らないということであるとしても、それを待っていても進まないことも確かだ。
・農水省, 2012-5-25