2011年1月から12年5月までの17か月間で、厚労省が公表した輸入食品の未承認遺伝子組み換え成分検出事例は7件。ベトナム産4件、中国産2件、カナダ産1件。ベトナム産、中国産のビーフン、ライスヌードル、米粉からコメの害虫抵抗性のGM成分が検出され、カナダ産の穀類ミックス品からは除草剤耐性亜麻が検出されている。
年月 | 食 品 | 輸出国 | 原料 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2011.07 | うるち米粉 | 中国 | コメ | Bt |
2011.10 | ライスヌードル | ベトナム | コメ | CpTI |
2011.11 | ビーフン | ベトナム | コメ | CpTI |
2011.12 | 穀類調整品 | カナダ | 亜麻 | FP967 |
2011.12 | ビーフン | 中国 | コメ | 63Bt NNBt |
2012.01 | ビーフン | ベトナム | コメ | CpTI |
2012.05 | ライスヌードル | ベトナム | コメ | CpTI |
コメ製品から検出された害虫抵抗性遺伝子組み換え成分は、Bt63、NNBt、CpIIの3種類。中国もベトナムも公式にはGMのコメは承認していないが、中国の研究機関から“流出”と見られるものが、広範囲に汚染を広げている可能性があり、欧米や日本は輸入検査を強化している。
2011年10月にベトナム産ライスヌードルから害虫抵抗性GM成分CpTIが検出された際には、ベトナム産のコメとコメ加工品への輸入時の検査強化の通達(2011年11月7日付け)が出されている。しかし、ベトナム側での検査では、問題のGM成分は検出されなかった、と報じられている。ベトナム産ライスヌードルは、ホーチミン市の業者が輸出したものだが、原料生産地については報じられていない。
・厚労省, 2011-11-7欧州でも、中国産の未承認遺伝子組み換えコメ製品の混入事例は相次いでいる。EUでも2011年11月14日、規制強化を発表している。
・EuroBrussels, 2011-11-152012年1月から3月にかけて、欧州各国で合計6件のBt米が検出されている。日本での検出事例はないものの、インドやパキスタン産からもGM米が検出されている。
昨年12月に見つかったカナダ産のGM亜麻は、コストコ(米国系会員制スーパー)の輸入した6種類の穀類のミックス製品(GLANOLA MIX KIT)への混入が見つかり、焼却命令を受けている。
カナダ産のGM亜麻は1996年、飼料用として承認されたものの商業栽培はされなかった。しかし、屋外試験栽培により汚染が拡がったと見られている。2009年にドイツで発見され、EU諸国はカナダ産亜麻を輸入禁止としたため、カナダは大きな損害を受けた。
一度、組み換え遺伝子が環境中に放出されると、取り返しのつかない事態を招くことが、こうした検出事例からも容易に理解できる。その点では、まだ隔離圃場での試験栽培にとどまり、本格的な商業栽培が行われていないことは“不幸中の幸い”かもしれない。しかし、隔離圃場からの“流出”がないとは言いきれないのは、カナダの例からも明らかである。