まだ、日本国内での遺伝子組み換え作物は商業栽培されてはいないものの、全国各地で遺伝子組み換え作物の試験栽培が行われている。2012年度、隔離圃場での遺伝子組み換え作物の試験栽培は9施設、延べ28品種。モンサントなど遺伝子組み換え企業4社の隔離ほ場と、国内3大学、2つ農水省系の研究所で実施されている。
●日本モンサント
茨城県河内町の同社隔離ほ場で、遺伝子組み換えダイズ、ワタ、ナタネ、トウモロコシ各1品種を、栃木県那須塩原市の畜産草地研究所隔離ほ場で低リグニンGMアルファルファを試験栽培。
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●デュポン
宇都宮市清原工業団地の同社宇都宮事業所隔離ほ場で、遺伝子組み換えトウモロコシ4品種、GMナタネ2品種を栽培。
●シンジェンタジャパン
静岡県島田市神座の同社中央研究所神座サイト隔離ほ場で、除草剤耐性遺伝子組み換え大豆2品種を試験栽培。
●ダウ・ケミカル
福岡県小郡市の同社小郡開発センター隔離ほ場で除草剤耐性遺伝子組み換えダイズ2品種とGMワタ1品種を栽培。
●バイエルクロップサイエンス
宮崎県宮崎市の宮崎大学・遺伝子組換え植物隔離ほ場で遺伝子組み換えGMワタ2品種を試験栽培。5月31日までの予定で終了。
●農業生物資源研究所
茨城県つくば市の同研究所隔離ほ場で、遺伝子組み換え複合病害抵抗性イネ6品種と、遺伝子組み換えスギ花粉症緩和米1品種を試験栽培。
●筑波大学
茨城県つくば市の同大学試験ほ場で、遺伝子組み換えの耐冷性ユーカリを試験栽培。
●東北大学
宮城県大崎市鳴子温泉の同大学隔離圃場で、遺伝子組み換えの紫外線抵抗性イネと紫外線感受性イネ2品種を試験栽培。
こうした隔離圃場の周辺には、どのような説明がなされているのか。周辺でのアブラナ科の野菜やトウモロコシの自家採種は確認したほうがよいだろう。
農水省による隔離距離の設定は、「第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針」に規定されている。しかし、北海道などの栽培試験では、その隔離距離を超えての交雑が確認されている。このため、北海道の栽培規制条例では、北海道独自の隔離距離の設定している。京都府の栽培指針では、農水省の隔離距離に安全率2をかけて、農水省の倍の隔離距離を設定している。また、2008年の指針の改正では、花粉の風による拡散対策として「開花期の平均風速が毎秒3mを超えない場所を選定して行うものとする」「台風等の特段の強風が想定される場合には、防風ネットによる抑風又は除雄を行うものとする」との交雑防止措置が追加されている。
●農水省による隔離距離
( )内は北海道の条例規制距離
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トウモロコシ 600m(1200m)
ナタネ 600m(1200m)
ダイズ 10m (20m)
イネ 30m (300m)
テンサイ 1000m(2000m)
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※第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針