
農水省は3月26日、沖縄における未承認遺伝子組み換えパパイヤの自生実態調査結果を公表した。2011年4月にGM汚染された「台農5号」が沖縄で見つかり、2011年12月までに約8千本を伐採していたが、2012年2月から9月にかけての調査でも自生が見つかった。
・農水省, 2013-3-26発表によれば、遺伝子組み換えパパイヤは、道端などで2個体(約3%)、農家の庭先などで57個体(約9%)が新たに見つかった。庭先などで見つかったもののうち、自生は16個体(約4%)だったとしている。2011年前の発見直後の自生率は約20%だったが、2年たった今回の調査によっても、GMパパイヤは根絶できていない。調査は、遺伝子組換えパパイヤの疑いのある、「台農5号」と同じ葉柄の赤いパパイヤについても実施されているものの、他のパパイヤについては行われてない。
この未承認GMパパイヤは、台湾で開発されていたパパイヤリングスポットウイルス耐性GMパパイヤの遺伝子配列に同じであることが判明している。「台農5号」は開発対象でなかったが、GMパパイヤで汚染された種子が輸入され、拡散していた。台湾でも市場のパパイヤから見つかっている。一度環境中に放出されたならば、根絶は難しい。

隔離圃場であっても、野外栽培によるGM汚染の危険性は残る。2005年、新潟県上越市の北陸研究センターの野外の隔離圃場での遺伝子組み換えディフェンシンイネの栽培では、近隣の農家などにより野外栽培禁止を求める仮処分裁判が起こされた。このGMイネの野外栽培では、隔離処置の不十分性が明らかになっている。原告よりイネ花粉の拡散と交雑の危険性を指摘された北陸研究センターは、最後には、開花直前のGMイネを一株づつパラフィン紙で包み込むことまで行っている。さらにその上にビニールシートを被せ、GMイネの作付け部分全体を不織布で覆った。裁判所は、防鳥網で覆っただけでは隔離が不確実であることを認め、こうした隔離処置を行うことで野外栽培を認めた。しかし、この隔離処置でも不十分であることが原告より指摘されている。