48カ月齢以上に引き上げ問題なしの見解
さらなる輸入規制緩和へ道を開くことに
食品安全委員会プリオン専門調査会は4月3日、現行の30カ 月齢以上にの牛の検査を48カ月齢以上に引き上げても人への健康影響は無視できるとするBSE対策の見直しに関する評価書(案)を取りまとめた。
従来、BSE対策として20カ月齢以上の牛に対して全頭検査が行われていた。昨年10月、食品安全委員会は30カ月齢以下であれば健康被害は生じない、とする見解をまとめ、これを受けて厚労省は、この2月に、検査対象を30カ月齢以上に引き上げたばかりである。この後、意見募集を経て厚労省に通知され、規制緩和が実施される模様だ。
米国、カナダ、フランス、オランダからの輸入牛については、現行の30カ月齢をさらに引き上げることは、引き続き同調査会で検討することとなった。
・食品安全委員会プリオン専門調査会, 2013-4-3今回の取りまとめにより、BSE対策規制が欧米と同じようなレベルへと緩和される。さらなる月齢引き上げが審議継続となったとはいえ、1年を待たずに、今以上の規制緩和がなされるかもしれない。今回のプリオン専門調査会の取りまとめにより、特に米国にとって、30カ月齢以上の牛肉の対日輸出の道が開けたともいえよう。この規制緩和がTPPの先取りであることは明らかだ。
おりしも、TPPについて日米が合意し7月から交渉に入る、とのニュースが流れたばかりである。TPP参加に関する水面下での調整で、スケジュールがすりあわされていたかもしれない、そう思わせるようなタイミングである。
●肉骨粉の肥料使用再開へ
この3日の専門調査会では、農水省から諮問された「牛を原料とする肉骨粉などの肥料利用」についても審議された。その結果、農水省が導入しようとしている飼料への混入防止策を前提とする限り、「人への影響はない」と判断された。
現在のSRMを含まない蒸製骨粉に加え、近く、SRMを除いた肉骨粉などの肥料への利用が再開されることになる模様だ。農水省が導入予定の管理措置については、2月19日付けの食品安全委員会への諮問書に添付されている。
・農水省, 2013-2-19