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屋外試験栽培から流出したものか
汚染の規模は不明
米国・農務省動植物検疫局(APHIS)は5月29日、オレゴン州で違法な除草剤・ラウンドアップ耐性遺伝子組み換え小麦が見つかったと発表した。この小麦は、モンサントが開発し、1998年から2005年まで米国16州(食品安全センターによれば17州、4千エーカー)で野外栽培試験が行われていたものと同じ品種と断定している。
動植物検疫局(APHIS)はまた、この遺伝子組み換え小麦の汚染原因と範囲について正式に調査を開始すると発表した。発表では、GM小麦の汚染状況は明らかになっていない。その一方で、このGM小麦の安全性に対して、米国・医薬品局(FDA)が2004年、「安全」との見解を示しているとしている。
・USDA,APHIS 2013-5-29モンサントは2004年、このラウンドアップ耐性遺伝子組み換え小麦の書異形栽培を正式に断念し、GM小麦の野外試験栽培を中止していた。モンサントは、米国やカナダのみならず日欧の消費者団体などの反対に直面し、撤退を決めている。
その後、米国の小麦生産者団体を中心に干ばつ耐性、フザリウム耐性の遺伝子組み換え小麦導入の動きは止まず、2009年には米加豪3ヵ国(日本の国技輸入先)の生産者団体が導入へ共同声明を出している。この共同声明では、GM技術は唯一ではないが問題解決の重要な要素であるとも評価し、3カ国の小麦生産団体が同時にその商業化へ到達するように努力するとした。
・共同声明, 2009-5-14この共同声明に対して、米国、カナダ、オーストラリアの3カ国の生産者団体や消費者団体、環境団体など15団体は、GM小麦の商業化反対の共同声明を公表した。
今回のラウンドアップ耐性遺伝子組み換え小麦によるGM汚染の原因がモンサントによるものであれば、最高100万ドルの罰金とともに、バイエル社と同様に多額の賠償金の支払いを求められる可能性がある。
日本は、年間約350万トンの米国産小麦を輸入しているが、今回の米国産小麦のGM汚染に関しての対応は不明であるものの、きちんとした検査が必要である。5月30日現在、農水省の対応は明らかになっていない。
今回のGM汚染の原因は明らかではないが、まず、大規模な屋外試験栽培からの流出が疑われるだろう。
今回の汚染発覚に対して食品安全センターのアンドリュー・キンブレル氏は、すべての遺伝子組み換え作物の屋外試験栽培のモラトリアムを要求するとコメントした。この食品安全センターのコメントでも触れられているが、米国では2006年8月、バイエル社のGM米(長粒種)によるGM汚染が発覚している。このGM汚染の原因は明らかではないものの、屋外試験栽培のGMイネが流出したものとされている。このGM汚染で、バイエル社は多額の賠償金を支払っている。
・Center for Food Safety, 2013-5-29バイエルのGM米、カナダのGM亜麻、台湾からの輸入種子によるGMパパイヤ汚染(沖縄)など、試験栽培中のGM遺伝子の流出と汚染被害は、屋外栽培の危険性を明らかにしている。日本では今年も、農業生物資源研究所や東北大学によるGMイネの屋外試験栽培が実施されている。隔離圃場とはいえ、こうした屋外での栽培には、GM汚染の危険性が付きまとっている以上、対岸の火事とせず、すぐにも中止すべきである。
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