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このほど元モンサントの研究者で、遺伝子組み換え推進団体とも関係あるとされるリチャード・E・グッドマンが、Food and Chemical Toxicologysi(FCT)誌の上級編集者に就任した。「査読付き」という“錦の御旗”の信頼性を揺るがすもと見られている。
・Indenpendent Science News, 2013-5-20FCT誌は2012年9月、センセーションを巻き起こしたフランス・カン大学のセラリニ教授らのグリホサート(ラウンドアップ)とそれに耐性のある遺伝子組み換えコーンによるラットの給餌実験とその健康被害の結果を発表した専門誌である。
セラリニ教授ら論文については、発表直後より遺伝子組み換え企業やマスコミなどによる圧力が加えられ、論文撤回キャンペーンが展開されたがFCT誌は撤回していない。この一連の“圧力”について、GMWatchが報じている。
・GMWatch, 2012-12-13Indenpendent Science Newsによれば、97年〜04年にモンサントに在籍したグッドマンは、モンサントを退職後、活動資金を遺伝子組み換え企業から供給された国際生命科学研究所(ILSI)と関係があるとされる。ILSIは、GM企業に都合のよいリスク評価手法を開発していたとされる。
結果的に、FCT誌はセラリニ論文を撤回しなかったものの、グッドマンを上級編集スタッフに入れた。これによりモンサントなどは、遺伝子組み換えに疑義を示す論文を門前払いできる形を手に入れたことになるとみられている。査読付論文が信用できなくなるということでもある。
2005年、ロシアのイリーナ・エルマコヴァ博士は、除草剤耐性のGM大豆によるラットの給餌試験の結果、その仔に異常が多発するとの予備的な研究結果を公表した。日本のGM推進に旗を振る評論家などは、博士の研究が「査読」を受けていないから信用できないとの批判を浴びせた。つまり、専門誌に査読付きで掲載された論文が信用がおけるとの前提に立てば、FCT誌のような専門誌が門前払いすることで、その研究は「なかったこと」にもできるということだ。その点で、今回のFCT誌の人事は、その公正さ、中立性を疑わせることとなった。
Earth Open Sourceは、こうした状況を正せなければ、新たな研究発表のモデルを作る必要があると指摘している。
・Earth Open Source, 2013-5-20