最終更新日:2013年6月26日
2013年6月

2013.06.26 No.563
■フランス大手種苗会社 GMで日本進出
10大種苗メーカーシェア
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 農水省と環境省は6月21日、12品種の遺伝子組み換え作物の第1種使用規定にかかる意見募集(パブコメ)を、7月20日締め切りで始めた。その多くは掛け合わせ品種である。

 今回注目すべきは、世界第4位の種苗会社リマグレンが、除草剤グリホサート(ラウンドアップ)耐性GMトウモロコシの隔離圃場での試験栽培を申請していることだ。

 ・環境省, 2013-6-21

 フランスの農業協同組合を母体とするリマグレンの日本法人のブイ・シー・シー・ジャパンは、2011年5月16日付けで、ラウンドアップ耐性GMトウモロコシ1品種を申請している。今回の意見募集に先立ち、生物多様性影響評価検討会はこの2月、同社の申請に対して「生物多様性に影響が生ずるおそれはない」と結論していた。

 日本におけるリマグレンの遺伝子組み換え作物は、今回のGMトウモロコシが初の申請となる。申請書の中でリマグレンは、これから順次、食品と飼料の安全性について審査を求めるとしている。

 リマグレンはまた、この遺伝子組み換えトウモロコシについて、2008年から米国で試験栽培を開始し、2009年以降、スペインやチェコなどで試験栽培を実施しているとしている。また、2011年には、米国農務省へ商業栽培の許可を、FDAに対して食品と飼料について許可申請したとしている。

 ・ブイ・シー・シー・ジャパン, 2011-5-16

 リマグレンは、モンサント、デュポン、シンジェンタに次ぐ世界第4位の種苗企業で、ETCグループの報告書によれば、2007年の売上額約12億ドルでシェアは6%とされている。

 ・ETC、2008-11-12

 ●GM大手は欧州撤退

 2012年1月、ドイツを拠点としていたGM企業の一つであるBASFは、欧州での反GMの高まりと、進まぬどころか縮小する栽培規模に業を煮やして、GM関連部門を欧州から撤退させ、米国へとその本社機能を移した。そして、中南米とアジア地域に注力するとの方針を明らかにしている。

 また、今年5月末には、モンサントが欧州でのGM売り込みをあきらめ、当局への申請を行わないと、欧州モンサントの責任者が語ったとのニュース話が報じられている。このモンサントの方針転換も、欧州における根強いGM作物への反対により、欧州では受け入れられないとの判断に基づくとされている。

 ・Reuters, 2013-5-31

 こうした欧州での反GM状況の盛り上がりのなかにあっても、フランスに拠点を置くリマグレンは、まだGMをあきらめていないように見えるが、欧州で商業栽培が可能な状況とは言い難い。欧州全域で、スペイン以外にGM作物の商業栽培は、ほとんど行われていない。ハンガリーではこの5月、違法栽培とされる数百ヘクタールのGMトウモロコシの畑が焼却処分されている。

 欧州での商業栽培の可能性のない中、リマグレンは少なくとも、北米や中南米をターゲットにせざるを得ない。しかし、第一世代ともいえる単純な除草剤耐性品種、それもラウンドアップに耐性を獲得したスーパー雑草がはびこる北米で、新規性のないラウンドアップ耐性GM品種の活路があるとも思えない。

 ●日本:トウモロコシ輸入先の急変

日本の国別トウモロコシ輸入量(2012年)
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 日本は年間1千6百万トンを輸入する、世界一のトウモロコシ輸入国である。近年、ほぼ100%近くを米国から輸入していた。しかし、2010年を境にして米国のシュアが急落、2012年には75%にまで下がった。その穴は、ブラジル(12%)、アルゼンチン(4%)が埋めている。さらにはウクライナ(6%)も急浮上している。原因は、米国産より安い価格にありそうだ。米国ですら、2012年には70万トンの飼料用トウモロコシを南米から輸入するまでになっている。

 ・農水省, 2013-5

 リマグレンの日本におけるGM申請は、こうした日本のトウモロコシ輸入先の多角化、南米からの輸入急増に対応していると思われる。

 また、アフリカでは、南アなど一部を除いて本格的なGM作物の商業栽培は行われていないが、リマグレンのターゲットは、フランス旧植民地を中心とした、アフリカ諸国であるかもしれない。

 ●試験栽培は畜産草地研究所へ委託

 リマグレンは2008年、日本の種苗メーカーのみかど共和を買収し子会社化しているが、今回の遺伝子組み換えトウモロコシについては、同社日本法人のブイ・シー・シー・ジャパンが申請者となっている。

 また、このGMトウモロコシの栽培試験は、栃木県那須塩原市にある畜産草地研究所の隔離圃場で、2016年まで行われる予定となっている。この畜産草地研究所那須研究拠点はこれまでも、GM企業からの隔離圃場を使っての試験栽培を受託している。同研究所では今年度、モンサントのGMアルファルファの栽培試験を受託し実施している。

 畜産草地研究所は、飼料自給率の低さに対して、その向上に遺伝子組み換えによる新品種は、期待される新技術であり、安全性評価の研究としてこうした試験を行っているとしている。

 ・畜産草地研究所

 しかし、GM作物自体の安全性が懸念されている中では、GM飼料の安全性に関する長期給餌試験に取り組むほうが先だろう。豪州のジュディ・カーマン博士らのグループは、餌に遺伝子組み換え大豆・コーンを与えられたブタの胃が、非GM飼料と比べて重い炎症にかかる率が高い、との研究結果を発表したばかりだ。