林農水大臣は7月30日の記者会見で、5月末から停止していた米国産WW(ウェスタン・ホワイト)小麦について、8月1日から入札を再開することを明らかにした。
輸入再開の理由として林農水大臣は、遺伝子組み換え小麦に対する厚労省の輸入検査体制の確立、米国政府による追加的な調査結果の確認、船積時の検査実施の3点を挙げた。
・農水省, 2013-7-30この米国政府の調査結果に関して、7月17日付けのロイターによれば、日本政府の派遣した調査チームは、輸入再開へ向けて米国農務省と調整している。日本の調達する米国産小麦について、輸出小麦のGM試験、出荷業者の非GMである保証、日本に到着以前の試験用サンプルの別送などが確認されたようだ。
・Reuters, 2013-7-177月29日(米国時間)には、林農水大臣による輸入再開表明に合わせたかのように米国農務省動植物衛生検査局(APHIS)が、これまでの遺伝子組み換え小麦に関する調査結果の概要を公表した。それによれば約270軒の農家や種を検査したが、モンサントのGM小麦は検出されなかったとし、これまで見つかったGM小麦はオレゴンの最初の農家だけだとしている。
APHISはまた、1994年から2005年にかけて、全米16州で158件のGM小麦MON71800の試験栽培を承認したが、その全てで栽培されたわけではない。試験栽培終了時には、残った種子や植物は全て破壊したとしている。なお、現在も調査は継続中としている。
・APHIS, 2013-7-29今のところGM汚染の原因は明らかにならず、当初からささやかれていた“ミステリー”のまま。モンサントは早い時期から、このGM小麦は、オレゴンの問題の農場に限られ「孤発的」なもので、「バイオテロ」も排除しないとする見解を明らかにしていた。これまでの調査結果をみる限り、モンサントの指摘通りの展開となっている。
しかし、突如現れたGM小麦の汚染ルートも明らかにならないまま、サンプルの抜き取り検査に頼る“水際作戦”での輸入再開で、はたして遺伝子組み換え小麦の混入排除は担保されるのだろうか。
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