

ロビー活動に力を入れるばかりで、消費者対策に後れを取っていた米国のGM企業はこのほど、“再教育”サイトを開設した。GM反対の運動の高まりに、危機感を抱いての対応のようだ。
米国カリフォルニア州では2012年10月、「表示は知る権利」をキャッチフレーズに、GM食品への表示義務化の住民投票が行われた。結果は僅差で義務化が否決されたが、モンサント、デュポン、ダウ、バイエル、BASF、シンジェンタなどGM企業は、義務化反対へ総力戦を展開し、4千万ドルを投じている。その後、米国内26州で同様の義務化を求める運動が展開され、すでにいくつかの州では条件付きながら表示義務化の州法が制定されている。
こうした米国内の消費者などによる運動の高まりに対抗して、モンサントなどのGM企業は7月29日、消費者“再教育”するサイト“GMO Answer”を開設した。ロイターによれば、このサイト開設についてパイオニア(デュポンの種苗部門子会社)社長のポール・シックラー氏は、GM反対運動がネットを効果的に利用していたと“評価”している。消費者の運動に“学び”、同じ土俵で闘おうというものか。
・Reuters, 2013-7-29●あわてて“中立”を装うも「尻隠さず」
このサイトは開設当初、モンサントやダウ・ケミカルなどの企業名を挙げ、その支援を受けたことを、恥じることなく説明していた。しかし、8月3日までにそのような表記は一切削除され、GM企業との関係がないかのような装いとなっている。
業界団体である Biotechnology Industry Organization(全米バイオテクノロジー産業連合会)は7月29日、「バイオテクノロジー企業が始める」と題してこのサイトを紹介し、こちらもモンサントなど6大GM企業名を列記し、GM企業による Council for Biotechnology Information(バイオテクノロジー情報協議会)によって運営されるとしている。
さらには、米国で長年GM反対運動を展開してきた食品安全センター(Center for Food Safety)は、このサイトには「バイオ産業が資金支援した」と指摘しているし、7月31日朝(日本時間)では、まだそのような記載があった。まさに「頭隠して 尻隠さず」だ。こうした展開を見越してか、Organic Prepper は「ガセネタにようこそ」と酷評している。
・Biotechnology Industry Organization, 2013-7-29 ・Center for Food Safety, 2013-7-29 ・The Organic Prepper, 2013-7-29