
韓国食品医薬品安全処は10月8日、米国産牛肉から未承認の動物医薬品ジルパテロールが見つかったとして輸入禁止処分とした。韓国は、台湾で発見されてから検査を始めたとして批判が起きている。
韓国食品医薬品安全処の8日の発表では、9月24日に米国スウィフトビーフ社から輸入された牛肉を検査したところ、0.35ppbと0.64ppbのジルパテロールが検出されたという。
ジルパテロールは牛肉の増量、肉質改善などで用いられるが、ヒトが摂取した場合、心拍数の増加や血圧降下が認められている。韓国では、「米国産牛肉は結局は人間の健康より利潤を目的にジルパテロールのような薬も使っている」との批判もでている。
・ハンギョレ, 2013-10-09●日本は承認間近か
ジルパテロールは動物医薬品として米国、カナダなどでしか承認されていない。国際的にも評価されていない。日本では、食品安全委員会が2012年11月、1日許容摂取量(ADI)を米国基準並みの0.083μg(体重1Kg当たり・1日)とする評価書を決定している。その後、厚労省の薬事・食品衛生審議会の動物用医薬品部会で審議されてきたが、9月24日、残留基準値として米国並みの0.01ppmが答申された。おそらくこの値が、許容量として設定されることになるだろう。これもTPPの先取りではないのか。
・食品安全委員会, 2012-11●米国:タイソン社は投与牛の受け入れを停止
ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、この8月に米国医薬品大手のメルク社は、ジルパテロールの販売を一時停止した。米国では承認されているものの、投与された牛に異常が多くみられることから、食肉加工大手タイソン・フーズが投与牛の受入れを停止したことがきっかけだとしている。とかく安全性で批判の多い米国食肉加工業界の、それもタイソンが受け入れを停止したことは、意外と云うよりも、薬による体重増加が牛の体に無理をかけているということの証だろう。
・ウォール・ストリート・ジャーナル, 2013-08-19