その多くを日本の農薬企業が開発し、ツバチの大量死などの原因とされるネオニコ系農薬は、環境保全型農業の“切り札”として、年間400トン以上出荷されている。行政やJAにより、カメムシによる米の等級落ちによるを防ぐためとして、ネオニコ系農薬の使用が推奨されている。妥当性がないといわれる米の等級価格差600円が、カメムシ斑点米防止の名目として使われているとの指摘もある。国の調査などでも玄米から、残留基準以下であるがネオニコチノイド系農薬のジノテフランが検出されている。こうした状況に、秋田県大潟村の一部の生産者が脱ネオニコに声を上げ始めている。
3月2日、3日には、生産農家と消費者が連携して、大潟村と秋田市で「斑点米とネオニコチノイド系農薬を考える秋田集会」が開催される。この集会では、ネオニコ系農薬使用の実態と等級価格差のからくりについて、報告と問題提起が予定されている。また3日の秋田市の集会では、秋田県病害虫防除所などとの意見交換も予定されている。
おりしもEUでは、昨年12月1日より3種類のネオニコ系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)について、ミツバチへの影響を理由として、2年を目途とする一時使用禁止に踏みきっている。国際的には規制の報告が強まっているが、農水省は推奨の立場をより強くしているかのようにも見える。農薬推奨の立場にあるJAが壁となり、農家が農薬禁止の声を上げることなあまりなく、食の安全への懸念を持つ消費者の声ばかりが大きくなる傾向がある。そうした風潮に一石を投ずる、今回の農家による脱ネオニコの声が広がり、大きくなることに期待したい。
以下、転載
連続集会
「斑点米とネオニコチノイド系農薬を考える
秋田集会」のお知らせ
毎年夏、斑点米カメムシが問題になり「徹底防除」が叫ばれています。
本当に防除が必要なのか?
ネオニコチノイド系殺虫剤の問題点は?
スタークルなどネオニコチノイド系殺虫剤は、ミツバチの大量死や野鳥の繁殖率低下、人体(特に小さい子ども)の神経伝達物質の攪乱を招く疑いが出るなど、新たな問題が報告されています。EUが2013年12月から2年間、暫定的に3種の使用を禁止し、世界的に関心が高い農薬です。
問題を解決するため、参加団体と参加者で話し合います。
【1日目】日 時:3月2日(日)午後2時から
会 場:サンルーラル大潟(大潟村)
日本消費者連盟、食政策センタービジョン21
【2日目】
日 時:3月3日(月))午後1時〜3時
会 場:サンパル秋田(秋田市中央公民館内)
日本消費者連盟、ダイオキシン・環境ホルモン対策、国民会議、食政策センタービジョン21
秋田県農林水産部(予定)、秋田県病害虫防除所、全農秋田米穀部(予定)
八郎潟を干拓した大潟村では、農業用水として残存湖の水を循環使用している。その水が残留農薬で汚染されることに対する懸念が、大潟村の農家に強いという。大潟村では83年、不純物としてダイオキシンを含むことが問題となった水田用除草剤CNP(商品名MO)を、全国に先駆けて追放している。CNP剤は96年に農薬登録を失効している。
農薬名 | 開発企業 |
---|---|
アセタミプリド | 日本曹達 |
イミダクロプリド | 日本特殊農薬製造 (現 バイエルクロップサンス) |
クロチアニジン | バイエル・武田薬品工業 (現 住化武田農薬) |
ジノテフラン | 三井化学 |
チアクロプリド | バイエル |
チアメトキサム | シンジェンタ |
ニテンピラム | 武田薬品工業(現 住化武田農薬) |
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