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最終更新日:2014年3月28日
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2014.03.28 No.622
■輸入トウモロコシのこぼれ落ち
 自生は1個体だけ 農水省が初の調査結果を公表
イメージ:飼料用デントコーン

 農水省は3月26日、鹿島港など飼料用の輸入トウモロコシの荷揚げサイロや飼料工場のある7港周辺で、種子のこぼれ落ちと生育状況を調査した。その結果、4港でこぼれ落ちがあり、八代港で自生1個体が見つかったと発表した。この調査は、遺伝子組み換えトウモロコシの生物多様性影響評価のために行われたもの。輸入港周辺でのこぼれ落ちの調査は、これまでナタネと大豆については実施されていたが、トウモロコシでは初めての調査となる。農水省は、搬送経路におけるこぼれ落ち等の状況について経年変化を見るため、今後も継続して調査を行うとしている。

 ●農水省 こぼれ落ち種子は「適切に処置」

 調査は2013年5月から9月にかけて、全国7か所の港湾や荷揚げサイロ、飼料工場などと、施設内と輸送経路を含む周辺で行われた。飼料工場では加熱などによる種子の不活化処理の方法や状況を確認したとしている。また、輸送経路では、こぼれ落ちの状況を確認したとするが、私有地には入ることなく、道路からの確認にとどまっている。

 ・調査対象
  釧路(北海道)、鹿島(茨城県)、名古屋(愛知県)、水島(岡山県)、坂出(香川県)、八代(熊本県)、谷山(鹿児島県)

 ・農水省, 2014-3-26

 こぼれ落ちが見つかったのは、鹿島港、名古屋港、八代港、谷山港の4か所。こぼれ落ち種子は、舗装されていたり清掃により適切に処理されたとしている。八代港では、ほとんど実をつけていない結実した1個体が見つかったとしているが、この個体が遺伝子組み換えであったかについては、どのような確認が行われたかを含めて明らかにしていない。

 農水省はこれまで、遺伝子組み換えナタネとGMダイズの輸入港周辺のこぼれ落ちと自生の調査を行っているが、トウモロコシについては初めての調査となる。ナタネとダイズについては調査が行われているが、とくにGMナタネでは、自生の拡がりと交雑個体が確認されている。


 ●韓国 農家の周辺にまでGM自生が拡がる

 昨年、韓国でもこぼれ落ちによるGM作物の自生状況が明らかになっている。韓国・国立環境科学院によれば、韓国内22か所で47例のGM作物(トウモロコシ、ナタネ、ダイズ、綿)の自生が確認され、農家の畜舎の周辺でもGM作物が自生しているのが発見されている。

 これまで公表されている環境省と農水省によるGM作物の自生についての調査は、輸入港周辺と製油工場までの輸送経路に限定されており、韓国のような農家の周辺にまで自生が拡がっているのは確認さていない。実際に自生が拡がっていないのか、それとも調査が限定されることで明らかになっていないだけの可能性は否定できないだろう。

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 ●輸入トウモロコシの7割がGMトウモロコシ

 日本は2013年、約1440万トンのトウモロコシを輸入している。そのうち約3分の2に当たる1010万トンが飼料用であり、また約9割はGMトウモロコシが大半の米国(640万トン、45%)、ブラジル(440万トン、30%)、アルゼンチン(190万トン、13%)からの輸入である。農業生物資源研究所は、各国のGM品種の栽培面積比から、輸入量の約7割がGMトウモロコシと推定している。

 輸入港周辺でのこぼれ落ちは、丹念に処置しなければ、四日市港から製油所への輸送道路沿いに広がったGMナタネのような状況が生じる可能性がある。

 ここ数年、トウモロコシの輸入先が多角化してきている。一時は米国産が9割を占めていたが。価格高によりブラジル、アゼンチンのシェアが上がり、南アフリカやウクライナ、フランスからの輸入も増えてきている。米国のシェアは、2011年の90%から、2013年には44.8%まで急減している。その減った分を、ブラジルやアルゼンチンといったGM種が大半の国が埋めているのが現状だ。

 現在はGM栽培を認めていないウクライナでも、GM認可を求める動きがあると報じられている。ブラジルでは除草剤耐性GM種禁止の動きもあるものの、当分、GM種が減ることはないのではないだろうか。

  輸入先とGM比率(2013年)
輸入先 GM比率 *1 輸入量 [万t] GM量 [万t] 備 考
米国 88% 644.6 567.3
ブラジル 68% 437.5 297.5
アルゼンチン 85% 190.9 162.2
南アフリカ ? 73.3 ? *2
ウクライナ - 67.0 -
フランス - 10.3 -
その他 16.5 -
合 計 71% 1,440.1 1,027.0
 「海外食料需給レポート」,農業生物資源研資料,財務省・貿易統計などより作成
  *1:GM比率は栽培面積比
  *2:南アフリカではGMトウモロコシが栽培されているが栽培面積比率は不明
 ・農業生物資源研究所

 ● トウモロコシの国内栽培は12万ヘクタール
  ほとんどがF1種の輸入種子

 農水省は3月26日、輸入トウモロコシの自生調査に合わせて、トウモロコシの基本データを公表した。それによれば、国内栽培のトウモロコシは2012年、飼料用デントコーンが9万2千ヘクタールとスイートコーンが約2万5千ヘクタールの合計約12万ヘクタールにとどまっている。

 また、播種用の種子の多くが輸入のF1種であるとしている。貿易統計によれば、2013年の種子としてのトウモロコシの輸入量は約1900トンであり、フランス、タイ、オーストラリアなどからの輸入であり、そのほとんどがGMトウモロコシが栽培されていない国となっている。米国からの輸入量は約200トンと約11%にとどまっている。

 種子用は、分別はされているものと思われるが、北海道で栽培されたトウモロコシの中から、ラウンドアップ耐性のGMトウモロコシが2005年に見つかった例がある。種子といえども、GM種が大半の米国産は要注意だろう。

  種子用トウモロコシの輸入量(2013年)
輸入先 輸入量 [t]
フランス 773
タイ 259
ニュージーランド 254
米国 204
チリ 151
その他 232
合  計 1,873
  財務省・貿易統計(2013年)より作成
 ・農水省, 2014-3-26
  トウモロコシの宿主情報
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