地域支援型農業と称されるCSA(Community supported Agriculture)は、まだまだ、日本ではなじみが少ない。全国で徐々に取り組まれてきているといわれているが、実践農家としてはメノビレッジ(北海道)と、なないろ畑農場(神奈川県)ぐらいしかないのが実情だ。
このような状況の中で10月4日、第1回CSA研究会が神奈川県大和市で開催された。CSA農家、消費者、研究者、学生など約20人が集まり、各国のCSAの概況、CSA農家の実践報告などが行われた。研究会の前には、なないろ畑農場の見学会も行われた。
CSAを研究している波夛野豪さん(三重大学生物資源学部教授)と唐崎卓也さん(農研機構農村工学研究所)の報告では、これまでの研究を元に、日本でCSAが広がらない理由として、情報提供や消費者とCSA農家をつなぐNPO組織がないこと、前払い方式がなじみにくいこと、アメリカなどに比べ新鮮な野菜が入手しやすいことなどが指摘された。課題として、生産者と消費者がリスクを等しく分担するという基本的な運営理念が一般化できるかという野見山俊夫さん(東京農工大学能楽研究員教授)の指摘が示されていた。波多野さんから、現地調査による欧米のCSAの実情が報告された。
CSA農家からの報告では、なないろ畑農場代表の片柳義春さんから、新規就農後、自然食品店向けから個人会員へ向けに移行したものの、積み上げ方式のため作物のできに左右される不安定な経営から、2006年にCSAに移行する状況が述べられた。また、毎年1割程度の会員の入れ替わりがあるものの、80世帯前後で頭打ちとなる“壁”が大きな問題との報告があった。一方で、将来的には、地域通貨を軸とした新たな展望(妄想)も語られた。
情報提供などを目的とするCSA協議会(仮称)結成への呼びかけもなされた。片柳さんは、CSAの認知の低さが“80世帯の壁”の原因の一つではないかと、CSA協議会によるCSAについての情報提供や啓発活動への期待を語った。
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