米国ワシントン州シアトル市議会は9月22日、市民からの要請を受けて、シアトル市の管理下にある土地でネオニコ系農薬の使用と購入を禁止するよう議決した。決議ではまた、市内での使用や販売の中止を勧告するとともに、ネオニコ系農薬の米国内でのモラトリアムの支持を明記している。シアトル市議会の決議について、市長は署名の意向と報じられている。
・Seattle City Council, 2014-9-25・Seattle City Council
・Beyond Pesticide, 2014-9-29
米国政府は6月に、180日の期限を切りネオニコチノイド系農薬の評価と花粉媒介生物の保護に関する特別委員会を設置した。7月には米国魚類野生生物局(Fish and Wildlife Service)が、太平洋地域の野生生物保護区で、2016年1月までにネオニコ系農薬の使用全廃するとの方針を公表している。この新たな禁止方針では、規制対象にはネオニコ系農薬で処理された種子も含まれる。2015年の移行期間中、ネオニコの許可以前にあらゆる代替方法が要求される。対象地域には、ワシントン、オレゴン、アイダホ、ハワイの各州と太平洋諸島が含まれている。
・Fish and Wildlife Service, 2014-7-9日本ではこうした見直しの動きはほとんどない。
農水省は6月20日、昨年度のミツバチ被害の調査報告を公表した。その中でやっと、斑点米カメムシ類の防除に使用されたネオニコ系などの農薬がミツバチ大量死の原因となっていることを認めた。しかし、同時に示された対策は、水田近くに巣箱を置かない、開花期に避難させる、散布の時間帯をずらす、ミツバチが影響受けにくい希釈剤ではなく粒剤を使うなどにとどまっている。
7月18日には畜産草地研究所が、ミツバチの死因に関する2年前の調査結果を公表し、カメムシ防除の農薬が原因であることを認めた。しかし、まだまだ農薬散布に固執し、農薬の影響緩和に「殺虫剤への曝露を回避するための技術開発が重要」だとしている。それには「代用花粉の利用によりミツバチが水田に近づく機会を少なくさせる技術を検討する予定」とのことだ。すっぱり農薬使用を止めることは、ツメの垢ほども考えていない。
・畜産草地研究所, 2014-7-18【関連記事】
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