米国の消費者連盟(Consumers Union)はこのほど、消費者レポート(Consumer Reports)誌上で、米国で「Natural」と表示して販売されている、トウモロコシとダイズを成分としている加工食品の多くがGM成分を含んでいる、とする買上げテスト結果を公表した。
テストは、市販の80品目を2個づ購入し、検査の結果GM成分が0.9%以上含まれていればGMO、未満であればNON−GMOと分類した。この0.9%の閾値は、米国の「NON-GMO Project認証」の採用している値であり、EUなど多くの国でも0.9%を閾値としている。
買上げた製品は、表示によって「Organic」「NON-GMO Project認証」「NON-GMO」「Natural」と、どの表示もなしの5つに分類した。その結果、最も信頼できるのはNON-GMO Project認証商品だとしている。一方で、「NON-GMO」表示なのに、GM成分が検出された製品も見つかったとしている。
同誌の調査によれば、米国市民の64%は、「Natural」という表示がGM成分を含んでいないと理解しているという。しかし、同誌の買上げ調査では、「Natural」表示だけの製品のほとんどからGM成分が検出されたという。
・Consumer Reports・Non-GMO Project
こうした消費者サイドの動きの一方で、加工食品製造業者団体の全米食品製造者協会(Grocery Manufacturers Association)は2013年12月、GMを含む食品が「Natural」と表示できるような統一的な基準を策定するよう「圧力をかけている」(食品安全センター)という。
・Grocery Manufacturers Association, 2013-12-5●GM表示は知る権利
同誌はまた、消費者が購入を決めるに際して、食品にどのような成分が含まれているかを知ることは権利である、としている。その上で、米国食品医薬局(FDA)はGM表示の義務化が必要だとした。
同誌の別の最新調査によれば、92%が食品にGM表示が必要と答えている。
同誌はまた、GM推進派が主張する「GM表示はコストを上げる」という主張が“ウソ”だ、とする調査結果も発表している。9月に発表された調査結果では、表示にかかる費用の中央値は、年一人当たり2.3ドルであると結論した。最大であったとしても、年に15.01ドルに過ぎないとしている。
GM表示義務のない米国では、「GM表示は知る権利」として、その義務化を求める市民の運動が広がっている。米国ではこの5月、バーモント州が米国初となるGM表示義務化の州法が成立し、11月にはオレゴン州でGM表示法についての住民投票が実施される。モンサントの代表されるGM企業などは、住民投票を葬り去ろうと、数十億円の資金を投入して反対運動を展開しているとされる。矢継ぎ早に消費者レポート誌に掲載されたレポートは、企業連合に反撃した格好だ。
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