
シンガーソングライターにしてミュージシャンのニール・ヤングは11月9日、「GOODBYE STARBUCKS!」とスターバックスのボイコットを呼びかけた。今年5月、米国バーモント州は遺伝子組み換え食品の義務的な表示法を制定し2016年7月から実施されることになったが、制定に反対してきた全米食品製造者協会(GMA:Grocery Manufacturers Association)などの大手食品業界は今年6月、GM表示法の差し止め訴訟を起こしていた。
バーモント州のGM表示法を支持する団体であるSumOfUsは、提訴した全米食品製造者協会に加盟しているスターバックスが、この業界団体の影でモンサントを支援していると批判し、ウェブ署名で圧力をかけている。ニール・ヤングの呼びかけは、こうした運動へ呼応したものだ。
ニール・ヤングは自らのサイトで、「毎日、ラテを飲んでいたが、昨日で最後」「何を食べているか知る権利がある」と書いた。そして、GM表示法のような民主的な決定に対して、大企業は訴訟でもって阻止することは許されないとし、GM表示法の実施を阻止しようとする全米食品製造者協会の影で、訴訟を支援するスターバックスに圧力をかけるように呼びかけている。
この全米食品製造者協会などの訴訟に対して、バーモント州の GM表示法を支持しているSumOfUsは、スターバックスが訴訟を支援しないように求めるウェブ署名を呼びかけ、すでに32万人余りの署名を集めている。このSumOfUsに呼応したニール・ヤングの呼びかけは、スターバックスへの大きな圧力となりそうだ。
・Gardian, 2014-11-17 ・SumOfUs ・neilyoung.com, 2014-11-9 ・Reuters, 2014-6-12圧力の矢面にたったスターバックスは11月15日、この問題に関する短い見解を、自社のサイトで明らかにした。その中でスターバックスは、GM表示法に関するいかなる訴訟にも関わっていないし、いかなるキャンペーンにも資金は提供していないしとして、食品表示を止めさせたり、バーモント州法を阻止するために、モンサントと足並みをそろえていないとした。その上で、反スターバックスの署名運動の主張は虚偽だとしている。また、GM表示は連邦レベルで決めるべき問題と主張している。しかし、加盟している、訴訟当事者一つである全米食品製造者協会については言及を避け、歯切れの悪い、苦しい言い訳となっている。
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