
米国のマクドナルドはこのほど、11月7日に承認されたばかりのシンプロットの低アクリルアミド遺伝子組み換えジャガイモを調達しない方針を明らかにした。同社は、現在の調達計画にシンプロットのGMジャガイモはなく、将来的な調達計画を変更する予定もないとしている。シンプロットは、マクドナルドの最大のジャガイモ供給業者でもある。
・Capital Press, 2014-11-13Food and Water Watch は、9万人余りの署名をもって、マクドナルドにこのGMジャガイモを使用しないように求めていたが、マクドナルドの使用しないという方針について、反対運動にとって画期的なことであり、他のファストフードも続くよう求める声明を明らかにした。
・Food and Water Watch, 2014-11-14ジャガイモ栽培農家の中には、シンプロットのGMジャガイモを栽培しないようにと、早々とジャガイモ加工業者から指示がでているという。消費者の反発を懸念する食品産業としては当然の対応であり、ここ数年のGM表示法の住民投票が影響を及ぼしているようにみえる。
マクドナルドの拒絶にもかかわらず、シンプロットは強気の姿勢を崩していない。同社の低アクリルアミド遺伝子組み換えジャガイモが消費者に受け入れられるとしているが、販売計画は明らかにしていないという。
・ABC News, 2014-11-15シンプロットのGMジャガイモは、発がん性が指摘されているアクリルアミド少なくできるという、消費者にアピールする格好の“メリット”がうたい文句だ。それでもマクドナルドは使用しないことを決めた。その背景には、マクドナルドに対する使用反対署名はもちろん、GM表示法の制定を求める運動が大きな影響を与えたことは間違いないだろう。
このGMジャガイモは、日本では健康境影響評価の審査中だ。食品安全委員会の評価を受けて、厚労省が承認した場合、米マクドナルドの関連会社となっている日本マクドナルドは、どのような対応をとるのだろうか。米国とは異なり、低アクリルアミドを前面に出した「健康によいジャガイモ」として使う可能性がないとはいえない。消費者が「いらない!」と声を上げ続けることが大事だ。
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