食品安全委員会は2月24日、シンプロット社のアクリルアミド産生低減・打撲黒斑低減遺伝子組み換えジャガイモ(SPS-00E12-8)と、モンサントの低リグニンGMアルファルファ(KK179系統)の健康影響評価について、厚労省と農水省からからの説明を聞き評価を始めた。これにより食品安全委員会で評価中のGM作物は10品種となる。
食品安全委員会は2月24日、米国のシンプロット社のアクリルアミド産生低減・打撲黒斑低減GMジャガイモSPS-00E12-8の健康影響評価を始めた。このGMジャガイモは、高温での加熱処理の際に生成されるアクリルアミドを低減できるとするもので、同時に収穫時の打撃によって生ずる黒斑も少なくできるとしている。昨年、米国とカナダで承認申請が出されているが、まだ承認されてはいない模様だ。
フランスは2月6日、2022年1月1日からの農業以外での個人や公的な農薬の使用を禁止する法律を公布したと、Health and Environment Alliance (HEAL)が報じている。実質的に家庭菜園から化学農薬が排除されることになる。
その多くを日本の農薬企業が開発し、ツバチの大量死などの原因とされるネオニコ系農薬は、環境保全型農業の“切り札”として、年間400トン以上出荷されている。行政やJAにより、カメムシによる米の等級落ちによるを防ぐためとして、ネオニコ系農薬の使用が推奨されている。妥当性がないといわれる米の等級価格差600円が、カメムシ斑点米防止の名目として使われているとの指摘もある。国の調査などでも玄米から、残留基準以下であるがネオニコチノイド系農薬のジノテフランが検出されている。こうした状況に、秋田県大潟村の一部の生産者が脱ネオニコに声を上げ始めている。
厚労省は2月12日、モンサント申請の除草剤ジカンバとグリホサートに各々耐性のある2種類の遺伝子組み換えダイズの掛け合わせ品種を承認した。これにより食品として承認されたGM作物は288品種となる。
2月13日、参院議員会館で「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(略称:食農ネット)」主催のメディア懇談会・院内学習会「生物多様性が危ない!忍び寄る遺伝子組み換え汚染」が開かれた。四日市港周辺で顕著な遺伝子組み換えナタネの自生問題の報告と、生物多様性に関するGM作物承認について農水省、環境省との意見交換が行われた。この中で、農作物に対するGM汚染への国の対応のなさが浮き彫りになった。
1月9日に米国議会に提出された、米政府に貿易交渉の強い権限を与える貿易促進権限法案(TPA法)には、貿易障壁としてのGM表示とその排除が明記されている。一方、昨年から東京新聞などが報じているが、TPP交渉の中にあって、GM表示外しには触れないことで妥協が成立したともいわれている。昨年6月、産経新聞は「TPP交渉、米が遺伝子組み換え表示を容認 「食の安全」への懸念払拭」と報じ、7月にもNHKが「TPP食品安全基準緩和 議論対象とならず」と報じてもいた。
EU議会は1月15日、GM汚染された花粉が0.9%未満のハチミツにはGM表示が不要との見解を承認した。しかし、ハチミツには花粉は0.5%以上含まれることがないとされ、実質的にGM表示を不要とすることになる。GM汚染を懸念する市民団体などは、GM花粉が含まれていればGM表示が必要であることを、明確にするように求めていた。
メキシコ・ユカタン半島カンペチェ地域のハチミツが、周辺で栽培されるGM大豆の花粉で汚染されていたことがドイツでの試験の結果判明したと、サイエンスニュースが2月8日に報じた。このGM花粉汚染により、メキシコからEUに輸出されるハチミツは、価格カットや輸入拒否の可能性が出てきた。メキシコは世界4位のハチミツ生産国で、世界5位の輸出国でもある。
生物多様性影響評価検討会総合検討会は2月3日、農業生物資源研究所の申請による遺伝子組み換えカイコの隔離飼養試験を承認した。このGMカイコは、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を組み込み、緑色の蛍光色を発色させる絹糸を作ることを目的としたもの。農水省は昨年7月、遺伝子組み換えカイコにかかる第1種使用規定の承認申請手続きに関する通知を公表し、農業生物資源研究所は昨年7月22日付けで隔離飼養試験の申請を行っていた。
水産物の放射能検査結果そのものが少なく、放射性セシウム以外の核種の測定結果はほとんどない。水産庁は2月5日、宮城県七ヶ浜のノリとワカメのストロンチウム90の調査結果を公表した。検体は、昨年12月採取したものだが、ノリがキログラム当たり0.069ベクレル、ワカメが0.055ベクレルだったとしている。
農水省は2月6日、メキシコへの日本産牛肉輸出が可能となったと発表した。条件は、日本産の牛であることだが、月齢制限なしで認定施設(現在、岩手と群馬の2か所)からのみとなっている。日本は昨年、メキシコから約2万トンの牛肉を輸入している。
モンサントは1月8日、除草剤耐性遺伝子組み換え小麦の実用化が近いと語った、とロイターが報じた。モンサントは2004年、日本を含む消費者や生産者の反対に直面し、ラウンドアップ耐性小麦の商業栽培を断念している。
米国メイン州のルパージュ知事は1月9日、GM表示の義務化を規定した同州法に署名した。これにより米国の州レベルでのGM表示義務化は2州となる。
NON-GMコーン確保に直接契約栽培
日本コンスターチ(株)は1月24日、米国の生産農家と直接契約栽培による非遺伝子組み換えトウモロコシの確保を実現したと発表した。コンスターチ製造メーカーであるの同社は、種子、栽培、輸送、製造に至るすべての段階で分別を可能とし、完全NON−GMコーンスターチの製造が、業界で初めて可能となったとしている。同社のサイトでは、栽培圃場に掲示している看板の写真が公開されている。
“チョコレートの季節”になってきたが、米国産の甘いチョコレートには、GM表示つぶしの政治献金とGM由来の砂糖が含まれている可能性が大きい。
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