
遺伝子組み換え作物の“伝道師”国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、毎年世界のGM作物栽培の状況を公表している。今年2月に公表された2013年版ではGM作物の栽培面積は1億7千5百万ヘクタールに達し、途上国での栽培面積が先進国を上回ったとしている。言い換えれば、米国やカナダなどの先進諸国でのGM栽培が頭打ちになったことを意味しているにすぎない。
一方で、EU諸国やロシア、中国の“GM離れ”が顕著になってきている。中国は、未承認品種の混入を理由として米国産トウモロコシの輸入を停止し、解放軍はGM食品とGMダイズ由来の食用油を禁じた。ロシアは、WTO加盟条件であった2014年6月からのGM作物栽培認可を、さらに3年延長した。
特別委員会を設置し180日の評価期限を切る

米国政府は20日、オバマ大統領の覚書を発表し、ミツバチなど花粉媒介生物(ポリネーター)の健康に関する特別委員会(Pollinator Health Task Force)を立ち上げ、180日以内に全米レベルの花粉媒介生物に関する戦略を策定するとしている。この中には、ネオニコチノイドの評価と、実行可能な花粉媒介生物の生息地確保の計画を立てるとしている。
2013年11月に掲載を撤回されたセラリーニ博士(フランス・カーン大学)らの論文が24日、別の専門誌Environmental Sciences Europe によって再掲載された。再掲載された論文は全文が公開されている。

世界の小麦輸出量の約4割を占める、米国、カナダ、オーストラリアの小麦生産者団体など関連する16団体は5日、遺伝子組み換え小麦の商業化へ向けた共同声明を公表し、主要な主食作物である小麦のGM商業化へアドバルーンを揚げた。2009年にも同様な声明を9団体で公表しており、今回の声明は、09年声明を再確認するものとしている。
これまで、コメや小麦といった主要な主食作物へのGM導入は、一見して“慎重”とも思えるようであったが、アジアでのGMゴールデンライスの商業化への動きとともに、本格的に主食に手を突っ込んできたと考えてもよいだろう。TPPでも交渉されている知的財産権で「保護」されるGM種子は、何を作り、何を食べるかといった食料主権を多国籍企業の手にゆだねることになる。
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