
中国のGM懸念が大きく影響
ダウ・アグロサイエンスはこのほど、米国で承認されたばかりの2,4−D耐性コーンと大豆の遺伝子組み換え種子の販売を少数の農家に限定する方針を明らかにした、とロイターが報じた。ダウは、除草剤2,4−D耐性品種が国内、あるいは国際的な穀物市場での混入を防ぐためだとしている。ダウの販売制限の方針に、全米コーン生産者協会(NCGA:National Corn Growers Association)は、歓迎の声明を出したという。
農水省は11月6日、カルタヘナ法により、ダウ・ケミカルの除草剤2,4−Dとグルホシネートに耐性の遺伝子組み換えダイズ68416系統を承認した。このGMダイズ68416系統は10月、食品としても飼料としても相次いで承認されている。米国での承認を待っていたかのようなタイミングで承認された。
厚労省は11月20日、中国から輸入された冷凍パパイヤから未承認の遺伝子組み換えパパイヤ(PRSV-YK)を検出したと公表した。通関時の自主検査で見つかったもので、業者には全量廃棄、積戻しが指示された。
シンガーソングライターにしてミュージシャンのニール・ヤングは11月9日、「GOODBYE STARBUCKS!」とスターバックスのボイコットを呼びかけた。今年5月、米国バーモント州は遺伝子組み換え食品の義務的な表示法を制定し2016年7月から実施されることになったが、制定に反対してきた全米食品製造者協会(GMA:Grocery Manufacturers Association)などの大手食品業界は今年6月、GM表示法の差し止め訴訟を起こしていた。
米国のマクドナルドはこのほど、11月7日に承認されたばかりのシンプロットの低アクリルアミド遺伝子組み換えジャガイモを調達しない方針を明らかにした。同社は、現在の調達計画にシンプロットのGMジャガイモはなく、将来的な調達計画を変更する予定もないとしている。シンプロットは、マクドナルドの最大のジャガイモ供給業者でもある。

米国農務省動植物検疫局(APHIS)は11月7日、シンプロット社の遺伝子組み換えジャガイモの栽培規制を撤廃したと発表した。ポテトチップ向けに開発された、このシンプロット社のGMジャガイモは、高温での加熱処理の際に生成されるアクリルアミドを低減し、同時に収穫時の打撃によって生ずる黒斑も少なくできるとしている。組み込んだ外部遺伝子により、本来の遺伝子の発言を抑制するRNA干渉という遺伝子サイレンシング技術により開発されたもの。

厚労省は11月12日、モンサントの2種類の遺伝子組み換えスイートコーンを安全なGM食品として承認した。今回承認されたのは、いずれもモンサントの害虫抵抗性と除草剤グリホサート(ラウンドアップ)に耐性のあるGMスイートコーン・MON88017系統と、害虫抵抗性GMスイートコーン・MON89034系統の2種類。
GM表示は僅差で敗退
オバマ民主党の大敗となった米国中間選挙の影で、遺伝子組み換えについて、注目すべきいくつかの住民投票が同時に実施された。2州で行われた遺伝子組み換え(GM)食品の義務的表示の住民投票は、オレゴン州(Measure 92)は僅差で、コロラド州(Prop 105)は大差で成立しなかった。モンサントを先頭とする、GM表示に反対する企業連合の圧倒的な資金力の壁を超えられなかった。
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
- 米国産ジャガイモ 輸入規制緩和 ポストハーベストも認める
- 輸入小麦の残留グリホサート 豪州産の検出率急増