厚労省は3月20日、東北・関東など17都県の放射性セシウム検査の対象品目の見直しを発表した。この見直しにより検査品目は、昨年3月の67品目から43品目へ縮小し、昨年の約6割となった。放射性セシウムをほとんど検出しなくなったキノコ・山菜を除く野菜類の検査品目はゼロとなった。今回から、茶も除外される。
検査が残った品目はキノコ類、山菜類、米、大豆、そば、蜂蜜、乳、牛肉と一部の魚類である。
山菜と並んでキノコ類は、特に生シイタケは、依然として数十ベクレル台の検出が続いている。今年3月6日には、キロ当たり190ベクレルのキノコ粉末が千葉県で見つかっている。
海産魚類は14品目から6品目に減ったが、淡水魚類は1品目減って7品目にとどまっている。東京新聞が報じているように、海に比べ、拡散しにくい川や湖沼の汚染がまだ高く、淡水魚類の汚染は減少しにくい。
共同通信は、「20減り45品目・類となる」としているが、厚労省の公表した昨年と今年の「検査計画、出荷制限等の品目・区域設定・解除の考え方」によれば、67品目から43品目に縮小している。品目見直しの詳細は対照表を参照。
・共同通信, 2015-3-20
・千葉県, 2015-3-6
検査対象品目が減ったとはいえ、放射性セシウムによる汚染が無くなったわけでもなく、キノコや山菜のように高いものもあることに注意が必要だ。
汚染が減少しているのであれば、「基準値をさらに厳しく下げるべきだ」という議論がある。しかし、国が現状の基準値を見直すとすれば、基準値はさらに大きくなる可能性がある。現状の基準値は、汚染された食品だけを食べた場合(希釈率100%)の年間累積線量が1ミリシーベルトとなるように設定されている。汚染食品が少なくなったことを理由にするとすれば、希釈率を100%から70%、50%のように下げるか、累積線量を下げるかのいずれかとなる。おそらく、累積線量には触れず、「平常時」として希釈率を下げてくるのではないか。
【参考】日本からの輸入食品の検査実績(香港)・香港食品安全センター, 2015-3-20
- ネオニコ系国内出荷量 21年度3.8%増 第二世代は63%増
- 有機農業は排外主義に与しない 参政党に反対する農民と市民が声明
- 冊子『スルホキサフロル 新しいネオニコチノイド系農薬』刊行のお知らせ
- ネオニコ系イミダクロプリド 自閉スペクトラム症様の視知覚障害を引き起こす
- 厚労省:グリホサートの残留基準値を大幅緩和を告示
- メキシコ GMトウモロコシ栽培を禁止 24年までに輸入も段階的に禁止
- 東アジアは農薬のホットスポット 日本はトップ5
- 農薬再評価 ネオニコとグリホサートなど優先14品目を告示
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