
アスプルンドは5月14日、同社が輸入し販売している「ニュティーバ オーガニックチアシード」から、自主検査によって残留基準値(0.05ppm)以上の除草剤2,4−Dが検出されたとして自主回収を発表した。検出された2,4−Dの残留値は明らかにしていない。
問題の残留基準値以上の2,4−Dが検出された「オーガニックチアシード」は、公表されたパッケージ写真では、米国の有機認証品であり、NON-GM Project認証品のマークが見える。
アスプルンドは、検出された2,4−Dは、栽培時の周辺農場からのドリフトや地下水から混入したと推定しているとしている。また、問題の残留値を明らかにしない一方で、「通常の摂取方法によりお召し上がり頂いても健康被害の恐れはございません」としている。少なくとも検出値は明らかにすべきであり、ことさらに健康に影響のないことを強調するのは責任ある姿勢とはいえない。なお、15日現在、厚労省が公表している輸入食品違反事例には掲載されていない。
同社の発表によれば、今後は0.05ppm以下のものを米国から出荷し、日本でも検査して、0.05ppm以下であれば販売するとしている。
一般に、有機農産物は「農薬不使用」であり、残留農薬があると認識している消費者はほとんどいない。しかし、アスプルンドは、残留農薬の検査結果を明示するかは明らかにしていないが、残留基準値以下であれば販売すると明言している。自主的に検査していることは評価できるが、法定内であれば農薬が残っていたとしても販売するという姿勢はいかがなものか。消費者の「有機は無農薬」という認識との間には、大きなズレがあるといわざるを得ない。検査する以上、少なくとも「残留農薬基準値以内」と明記すべきではないか。
今回、意図したわけではないだろうが、有機農産物の残留農薬が明らかになった。消費者も、化学農薬を使用しない有機農産物であっても、周辺農場などからのドリフトによる農薬汚染の可能性があることを認識したほうがよい。
・アスプルンド, 2015-5-14 ・日本食品化学研究振興財団
【チアシード】
メキシコ南部から中央アメリカに分布するサルビア・ヒスパニカ(シソ科)の種子。1mmほどのゴマのような種子で、吸水してゼリー状に代わる。栄養価に富む。