
フランス議会は5月21日、大手スーパーの売れ残り食品の廃棄を事実上禁止する法案を全会一致で可決した。売れ残り食品は、慈善団体への寄付か飼料や堆肥への転用を義務付けるもの。あわせてフードバンクのような団体との契約も義務化としている。
フランスの廃棄食料は年間1人当たり20〜30Kgで、年間フランス全土で120万トンから200万トンが廃棄されている計算となる。フランス政府は、2025年までに食品廃棄物の半減を目指しているとしている。
・AFP、2015-5-22日本の場合、2010年度の食品小売業における食品廃棄物は約119万トンで一人当たり約10Kgであるが、食品産業全体では2086万トンあり、一人当たり約170キロとなる。農水省は、こうした食品廃棄物の減量を呼びかけているが、小売段階での廃棄量の抑制や再利用は進んでいない。全体の82%を廃棄する食品製造業が発生抑制を含む94%の再利用率であるのに対し、小売業では、わずか37%にとどまっている。
食品リサイクル法により、廃棄量が100トン以上の場合、抑制や再利用の実績などの取り組み報告が義務付けられている。再利用といっても、ほとんどが飼料や肥料に加工されるだけである。農水省のまとめでも、廃棄食品の62%が再利用されているが、その93%が飼料(76%)と肥料(17%)となっている。
最も望まれるのは廃棄抑制だろう。膨大な量の食品が廃棄されている一因として、賞味期限、消費期限にこだわりすぎている点にもあるのではないか。農水省の公表資料によれば、家庭の生ごみの22%が手付かずの食品で、その4分の1が賞味期限前の食品であったという。賞味期限から1週間を含めると43%に達する。約10億人が飢餓線上にあるといわれ、地球規模の食料不足への懸念が現実味を帯びてきているが、消費者も最後まで無駄なく食べきる工夫が必要だ。
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