
遺伝子組み換え作物・食品に規制強化の動きを強くしているロシアは、GM作物栽培の全面禁止に動く模様だ。ロシアのドブロコビッチ副首相は6月19日、サンクトペテルスブルグ国際経済フォーラムの席上、ロシアの農業生産性向上に遺伝子組み換え技術を使わない、と表明したとインターファックスが伝えた。ドブロコビッチ副首相はまた、これによりロシアの農産物が「世界で最も清浄な物の一つだと」語ったという。
・Sustinable Pulse, 2015-6-21● GM規制を強化するロシア
プーチン大統領は昨年3月、遺伝子組み換え食品の過剰消費から消費者保護が必要だ、とロシア連邦会議委員会のメンバーとの会談で表明している。
メドベージェフ首相は2014年4月、ロシアのWTO加盟条件であったGM作物の作付解禁期限が2014年7月に迫っていたが、その履行を2017年まで3年間延長すると発表した。メドベージェフ首相はまた、GM食品を輸入しない意向であるとも明らかにしている。
ロシアは、国内ではGM作物の栽培は認めておらず、流通しているGMl食品は、輸入が認められた18種類に限られている。ロシア政府時は、この数年、GM食品に対する規制を強化している。14年12月成立したGM食品表示義務法は、GM成分を含む食品の曖昧な表示を禁止し、明確な表示を義務つけるもので、違反した場合、問題の食品は没収されるとともに、罰金が科せら れることになった。
今回の副首相の見解表明は、ここ数年のロシアのGM規制強化の一環といえる。WTO加盟条件との関係が明らかになっていないが、今後、WTOの紛争処理に上がることが考えられる。その場合、こうしたロシアの反GM政策が腰折れすることなく貫けるのか、難しい局面がまちかまえていそうだ。
しかし「GMO清浄生産国」となれば、欧米の対ロシア経済制裁が解除された後には、米国が一番の相手先になりそうな状況もある。米国は、GM作物のようなジャンクな農産物を大量に輸出する一方で、有機農産物などの良質な農産物を世界中から集め、その輸入が増えているという現実がある。残念ながら日本は、この米国産ジャンク農産物を大量に輸入している国の一つである。
・Sustinable Pulse, 2014-3-28 ・Russia Today, 2014-4-23