米国農務省動植物検疫局(APHIS)は8月28日、シンプロット社のジャガイモ葉枯れ病耐性・アクリルアミド低減遺伝子組み換えジャガイモの栽培を承認した。このGMジャガイモは、新たに葉枯れ病耐性を付加した“第二世代”になる。
APによれば、組み込まれた葉枯れ病耐性遺伝子は、アルゼンチンのジャガイモ由来だとしている。シンプロットの遺伝子組み換えジャガイモはまた、本来の遺伝子の発現を抑制するRNA干渉という遺伝子サイレンシング技術を使っているという。第一世代のGMジャガイモでも、RNA干渉技術を使っていることから、食品安全センターは「影響を検討せず、決定を急ぎすぎた」と批判している。RNA干渉技術の潜在的な危険性が、まだはっきりしておらず、現在のリスク評価手順に問題があるとの、環境保護局(EPA)の独立した科学者委員会の結論を引いて、米国農務省がリスクを十分に検討せず、決定を急ぎすぎたと指摘している。
食品としてはさらに、米国食品医薬品局(FDA)の承認が必要となるものの、シンプロット社は、今回栽培が承認された葉枯れ病耐性遺伝子組み換えジャガイモは2017年に栽培開始を予想しているとしている。
今年の3月にFDAの承認を得た、第一世代のアクリルアミド低減遺伝子組み換えジャガイモについてシンプロット社は、すでに今年に入って400エーカー分のGMジャガイモを米国南東部の10州で売り切り、来年は2千エーカーに拡大の予定としていて、米国では、広く市場で流通している。一方、米国で最もフライドポテト用にジャガイモを使用しているマクドナルドは、シンプロット社のGMジャガイモをフライドポテト用に使わないことを明らかにしている。
シンプロット社は、さらに“第三世代”としてウイルス抵抗性の遺伝子組み換えジャガイモの開発を明らかにしたという。
日本では、シンプロット社の第一世代のアクリルアミド低減遺伝子組み換えジャガイモについて、昨年2月から食品安全委員会が食品と飼料について健康影響評価を始めているが、まだ審査は終わっていない。今後、シンプロット社の第二、第三世代のGMジャガイモも、日本での申請も予想される。
・Animal and Plant Health Inspection Service (APHIS), 2015-8-28・AP, 2015-8-28
・食品安全委員会
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