南アフリカ農業省はこのほど、米国の支援を受けて開発された害虫抵抗性の遺伝子組み換え(GM)ジャガイモの商業栽培について承認しない決定を下した。このGMジャガイモの承認に反対してきたアフリカ生物多様性センター(ACB)は9月16日、決定に満足とする声明を発表した。
ACBはかねてより、このGMジャガイモが、人間と動物の健康、環境と農業コミュニティに受け入れがたい危険をもたらすとして反対運動を行ってきた。マリアム・マイエACB事務局長は、「この決定を長い間待っていた。小自作農民がこの不要で危険な技術に依存しないでよいことに満足している」としている。
ACBによればこのGMジャガイモは、米国国際開発局(USAID)の資金支援を受け、南ア・農業研究委員会と米国ミシガン州立大学が協力し開発したとしている。このGMジャガイモは、ジャガイモを食害するジャガイモキバガの殺虫成分を作り出すもので、ジャガイモ栽培の小自作農民の直面する問題を解決する「国産」の解決策だと宣伝されたという。しかし、当のジャガイモ栽培農家にとっては、このジャガイモキバガの害はそれほど大きなものではないという。ACBは、小自作農民にとって緊急の課題は、灌漑用水と種子の入手し易さだと指摘している。
南アのGM作物の商業栽培は、1997年にGMワタに始まり、1998年に害虫抵抗性のGMトウモロコシ、2001年には自給用の白色GMトウモロコシ、2003年に除草剤耐性のGMトウモロコシと続いてきた。2014年には、GMダイズを含め270万ヘクタールと、アフリカで一番栽培面積の大きな国となっている。
ACBは声明で、南アで遺伝子組み換え作物の商業栽培にあたり約束された飢餓の克服と農薬使用量の低減は達成されておらず、4人1人が飢餓状態にあり、グリホサート(ラウンドアップの主成分)の使用量は逆に増大したと指摘している。
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