背景にGM推進の国際アグリバイオ事業団
遺伝子組み換え作物の試験栽培を北海道立総合研究機構(道総研)に要請した署名は、GM作物栽培推進の国際的な組織である国際アグリバイオ事業団(ISAAA)などが開催したGM作物栽培の講演会参加者であることが分かった。
台湾の衛生福利部は4月16日、日本産輸入食品に対して産地証明書を添付するなどの新たな規制を5月15日から実施すると明らかにした。引き続き福島、群馬、栃木、茨城、千葉産の食品は輸入禁止が継続される。
道民の8割は栽培に懸念
国際的な遺伝子組み換え推進団体の国際アグリバイオ事業団は4月22日、北海道農民協会が50名の農民の署名をつけて、北海道立総合研究機構に遺伝子組み換え作物の試験栽培実施の要請書を提出したと報じた。こうした遺伝子組み換え作物栽培への動きは、2003年に明らかになった「バイオ作物懇話会」(長友勝利代表)による全国各地で行われたモンサントのラウンドアップ耐性GM大豆の栽培以来のこと。要請を行ったとされる「北海道農民協会」がどのような組織であるかは明らかでない。
米国大統領に貿易交渉の権限を与えるTPA法案が、4月17日に米国議会に上程された。この法案の農業関連条項は2014年の法案とまったく同じであることが分かった。遺伝子組み換え表示についても「表示のような不当な貿易制限」と、わざわざ例示している。一昨年来、TPP交渉を巡って産経新聞が「TPP交渉、米が遺伝子組み換え表示を容認 「食の安全」への懸念払拭」と報じ、NHKも「TPP食品安全基準緩和 議論対象とならず」と報じていた。
食品安全委員会は4月14日、モンサントの飼料用低リグニン遺伝子組み換えアルファルファKK179系統について、食品として食べても「ヒトの健康を損なうおそれはない」とする判断を決めた。
モンサントとシンジェンタのGMコーンを承認
ベトナム農業・農村開発省は3月18日、モンサントの関連会社であるデカルブ・ベトナム社と、シンジェンタの現地法人であるシンジェンタ・ベトナム社に、害虫抵抗性・除草剤耐性遺伝子組み換えトウモロコシの商業栽培を承認した。シンジェンタは近く、デカルブ(モンサント)は今年末から種子の供給を開始するとしている。いずれも飼料用である。
米国で約1800店舗を展開する大手ホームセンターのロウズは4月9日、全ての商品から4年以内に生産者と共同で、ネオニコ系農薬を段階的に排除するとCSRレポートで宣言した。この宣言の背景には、FoE(Friends of Earth)などの環境保護団体のキャンペーン、100万人の署名、社会的責任投資を掲げる2つの投資顧問会社による提案などがあったという。
ネオニコ系農薬が広範に悪影響 証拠が増える
欧州科学アカデミー諮問委員会(EASAC)は4月8日、広範なネオニコチノイド農薬の使用が、ミツバチ以外の昆虫や生物に悪影響を及ぼしているとする報告書を公表した。
報告は、ミツバチの減少とそれによる授粉作物への悪影響ばかりが注目されたが、授粉以外にも、ハチ類や鳥類などの自然の害虫をコントロールしている生物が広く悪影響を受けていて、この数十年で個体数が大幅に減少しているとしている。その上で、農薬の再評価が必要だとしている。EUは2013年、クロチアニジンなど3種類のネオニコ系農薬の使用禁止を行い、2年以内に再評価を行うとしていた。
米国ポートランド市議会は4月1日、市有地でのネオニコ系農薬の使用禁止条例を満場一致で可決し、即日施行した。ミツバチ減少はネオニコ系農薬の使用が原因だ、とする環境保護団体の要請を受けたもの。
変化が求められる日本
グリーンピースは4月8日、参議院議員会館で記者会見を開き、「No Bee, No Food」をキャッチフレーズに、食べ物の安全、子どもの健康やミツバチなど花粉媒介生物を農薬の影響から守る法律「子ども・ミツバチ保護法」の制定と、生態系に調和した農業の価値評価・支援強化を求める署名運動の開始を発表した。10月までに集まった署名は、国会議員に提出し、議員立法での制定を求めていくという。
米国環境保護庁(EPA)は4月2日、イミダクロプリドなど4種類のオニコチノイド系農薬について、新規データの提出とリスク評価完了まで、新規の用途登録や変更を行わないと発表した。これまでの許可範囲では継続使用は可能。本格的な規制が行われるとすれば、リスク評価の完了予定としている2017年〜19年以降となりそうだ。
新たにネオニコ系11剤を登録 「予防原則」は否定
EUはネオニコ系3農薬の一時停止を実施に移し、米国でも新たな登録を凍結するなどネオニコ系農薬の規制を強化している。その一方で、日本は新たなネオニコ系農薬を承認し、残留農薬基準値を緩和しようとしている。
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