今年4月、「北海道農民の会」が遺伝子組み換え作物の試験栽培実施を求め、北海道立総合研究機構(道総研)に要望書を提出していたが、日本消費者連盟と遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは5月29日、道総研に対してこの要望を受け入れないように求める申し入れ書と事実確認と今後の対応に関する質問状を送付した。合わせて、高橋はるみ北海道知事に対しても、要望を受け入れないよう求める申し入れ書を送った。この申し入れ書には、北海道などの農民団体ばかりか、GM食品に反対している生協や消費者団体、NGOや市民団体など58団体が賛同している。
米国環境保護庁(EPA)は5月28日、ネオニコ系農薬を含む農薬76種について、商業的な契約ミツバチによる受粉時期に限定して農薬使用を地域的に規制する“農薬フリーゾーン”を提案した。パブリックコメントを経た後、実施は2016年春と見込まれている。早々に根本的な対応でないとの批判も出ている。
フランス議会は5月21日、大手スーパーの売れ残り食品の廃棄を事実上禁止する法案を全会一致で可決した。売れ残り食品は、慈善団体への寄付か飼料や堆肥への転用を義務付けるもの。あわせてフードバンクのような団体との契約も義務化としている。
米政府は5月19日、当初期限の5ヶ月遅れで、花粉媒介生物保護に関するタスクフォースの計画を発表した。ネオニコ系農薬などの新たな規制措置は含まれず、冬のミツバチコロニーの損失を10年かけて15%まで下げることなどを目標としている。この計画は昨年6月、タスクフォースを立ち上げ、米政府が一丸となって対応に当たるとしてオバマ大統領直々に発表し、180日の期限を切って計画を策定するとしていたもの。大幅に遅れての発表となった。
カナダ保健省病害虫管理規制局(PMRA)のまとめたネオニコ系農薬評価書の草案がこのほどリークされ、ダイズの種子処理による利益がわずか0.4%にとどまるとの試算が明らかになった。カナダ保健省は昨年11月、オンタリオ州におけるネオニコ系農薬処理の種子の80%使用削減を打出していた。
名古屋大学は22日、実験に使った遺伝子組み換えシロイヌナズナが構内5か所で自生しているのが見つかったと発表した。直ちに拡散防止措置をとり、遺伝子実験施設におけるすべての遺伝子組換え実験の停止したとしている。その上で、原因究明等の調査、再発防止の取り組みを始めたとしている。
厚労省は5月19日、ネオニコ系農薬のクロチアニジンとアセタミプリドの残留農薬基準を大幅に緩和した新基準の告示を官報に掲載した。13年秋の大幅緩和が1600件のパブコメで批判され、一度は取り下げたが、急性参照用量(ARfD)という新たな指標を食品安全委員会に諮問した。しかし、食品安全委員会の健康影響評価は、急性参照用量が加わっただけで、一日摂取許容量(AID)を見直さなかった。これを受けた厚労省は昨年秋、残留基準値をさらに緩和した焼け太りした基準を提案していた。
アクト・ビヨンド・トラストは5月18日、ネオニコ系農薬の汚染状況の検証のための測定費用の助成を発表した。「田んぼ」と「果樹その他」の2部門があり、蜂蜜や花粉、周囲の水質などの測定に助成を希望する個人・団体を公募している。締め切りは5月31日。
EUはもとより米国なども、ネオニコチノイド系農薬の規制強化に動いている。1990年代以降のネオニコチノイド系農薬に関連した事項を6つに分類し、年表形式でまとめ公開しました。随時、更新予定。
アスプルンドは5月14日、同社が輸入し販売している「ニュティーバ オーガニックチアシード」から、自主検査によって残留基準値(0.05ppm)以上の除草剤2,4−Dが検出されたとして自主回収を発表した。検出された2,4−Dの残留値は明らかにしていない。
共同通信は4月17日付けの台湾の日本産食品の輸入規制強化を報じたの記事で、愛媛の水産品が放射能検査が必要とされた理由を、「台湾側は」「これまでの台湾での検査で放射線量の基準値を超えた例が多かったため」と報じた。しかし、台湾・衛生福利部食品薬物管理署の公表データでは、日本と台湾のいずれの基準値を超えたものは全くないことから、台湾当局が、報道のような誤った内容を言うことは考えられない。少し調べればすぐ分かる内容であり、誤報というより捏造レベルではないのか。
農薬最大手のシンジェンタは5月8日、モンサントの買収提案を拒否するという声明を出した。モンサントの提案は、総額約417億スイスフラン(約5兆4千億円)。シンジェンタは、この買収提案が同社の価値を反映した価格ではないことや関係国の承認リスクを考慮していないことなどから、取締役会が全会一致で拒否を決めたとしている。
ドイツの大手ホームセンター toom は5月11日、今年9月末以降グリホセート(ラウンドアップの主成分)を含む製品を扱わないと発表した。同時に、5月11日以降、グリホセートを含む製品の発注を行わないことも明らかにした。同社は13年末までに、6割のグリホセート製品を排除したとしている。同社は、観葉植物などの害虫防除などについて、化学製品を使わない方法を顧客に提供しているとしている。
台湾・福利厚生部が4月16日に規制強化を発表した、日本産食品の輸入規制が5月15日から実施に移される。台湾の規制強化は、日本のいい加減で企業べったりな原産地表示の欠陥と、日本政府の怠慢が招いた自業自得の結果に他ならない。
世界の科学者30人によって構成される浸透性殺虫剤タスクフォース(The Task Force on Systemic Pesticides、TFSP)は、浸透性のネオニコ系農薬とフィプロニルに関する、査読を受けた1121編の論文を精査した結果を、昨年6月から10月にかけて8編の論文として発表した。評価された論文には化学メーカーの資金援助を受けた論文を含むという。これらの論文は今年1月、TFSPより『Worldwide Integrated Assessment』として公表されていた。日本の専門家からなるネオニコチノイド研究会はこのほど、この評価書の日本語訳『浸透性殺虫剤の生物多様性と生態系への影響に関する世界的な統合評価書』を公開した。無料でダウンロードできる。
EU委員会は4月22日、EUの承認した遺伝子組み換え食品と飼料について、加盟国が自由に禁止や制限を決められるとする提案を行った。3月のGM作物栽培の自由を加盟国に与えるGM規制指令の改正を受けたもの。この提案により、停滞しているGM食品や飼料の承認作業を促進する狙いがあるようにもみえる。
EU委員会は4月24日、新たにGMダイズなど10品種を承認し、7品種の承認を更新。これらに加えサントリーのGMカーネーション2品種を承認したと発表した。2013年から停滞していた食品・飼料用の遺伝子組み換え作物の承認を再開した形だ。EUの承認作業の「遅れ」は、GM推進の側から批判されていた。今回、新たなGM作物栽培の承認はなかった。
モンサントがシンジェンタの買収に動いていると、ブルームバーグが4月30日に報じた。匿名の関係者の話として、数週間にわたり両者が協議したとしている。種苗と農薬で1位同士の「統合」は独禁法でご破算になる可能性があり、その点をシンジェンタが懸念しているとしている。両社ともコメントしていない。関係国による独禁法の壁を乗り越えたとしても、両社の「統合」は、農業分野での支配力がより強大になるだけで、良い結果をもたらすことはない。
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