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7割が野生種に依存
農業環境技術研究所は2月4日、2013年時点での農業における花粉媒介昆虫の年間貢献額を4731億円と算定する研究結果を公表した。農業産出額5兆7千億円の8.3%に相当としている。その7割が野生種によるものと分析している。日本生態学会誌に掲載した。欧米などでの飼養ミツバチの減少に脚光が当てられているが、受粉を媒介する野生種の維持が必要なことを示し た分析結果といえる。これまで、日本養蜂協会による使用ミツバチの貢献額分析はあったが、野生種を含めた受粉媒介動物による経済的価値分析は日本で初めて。
分析によれば、野生の受粉媒介昆虫による貢献額は3330億円。飼養されたミツバチなどの貢献額は1400億円で、約7割が野生種に依存している。
作目別では、果実1952億円、果菜類599億円、果物的野菜類666億円、豆類71億円、その他42億円と試算している。
総額では青森、山形、山梨、和歌山、鳥取、長野、熊本の順に多く、野生による貢献額は青森、山梨で、露地セイヨウミツバチは山形、施設セイヨウミツバチは熊本、茨城などで多いとしている。山形、山梨など果樹生産の大きな県での貢献が大きいと分析している。
この分析結果は、多様な野生種の確保が重要であることを示している。農水省は、これまでの農薬によって根こそぎ排除する“農薬農法”から、生物的防除などを取り入れた総合的病害虫管理(IPM)を呼び掛けているが、高知県のナス栽培など、その普及は限定的。一方で、斑点米カメムシ防除に不要、過剰な農薬散布を招くとして批判の多いコメの“着色粒”規定の温存に躍起になっていて、その本気度が問われている。
日本のミツバチによる経済価値については、2013年に日本養蜂協会がセイヨウミツバチによる年間貢献額を約1600億円と試算している。世界的には2008年、フランス国立農業研究所が昆虫による年間貢献額を24兆円、農業生産の9.5%に相当するという研究結果を発表している。
・農業環境技術研究所, 2016-2-4 ・日本養蜂協会, 2014-3 ・Ecological Economics, 2008-9-19 ・AFP, 2008-9-20【関連記事】
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