
アフリカ西海岸に位置し、綿が主要な輸出向け農産品であるブルキナファソは今年1月、害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換えワタの栽培から段階的な撤退を決定した。2009年に商業栽培を開始したが、GMワタの品質が悪いことが理由だという。ブルキナファソは、アフリカでは数少ない遺伝子組み換え作物の商業栽培国の一つである。
公表された計画では、2015年度に53%だったGMワタの比率を、16年度には30%、17年度は完全にゼロにするという。品質低下による損害賠償2億8千万ドルをモンサントに求めるともしている。この撤退が他のアフリカ諸国に与える影響は大きいと見られる。
ブルキナファソの綿は、その長い繊維で高価格を維持してきた。しかし、モンサントの害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換えワタを導入して以降、繊維長が短くなり、国際市場での価格が下がったという。
モンサントは品質改善に取り組んだものの手こずっているという。ブルキナファソの在来品種にGM品種を掛け合わせ、戻し交配した品種を導入したが、この際に問題が起きたとみられている。
・GM Watch, 2016-1-28この繊維長が短くなるという品質低下に、ブルキナファソの綿産業団体は4月、モンサントに8400万ドルの損害賠償を求めたとロイターが報じている。
・Reuters, 2016-4-4モンサントは5月17日、ブルキナファソでの事業を一時的に停止すると突然に表明した。一時的なものであり、撤退ではないともしている。モンサントは、同社のGMワタがブルキナファソの農民にとって重要なものであると考えているという。
・Agweb, 2015-5-17モンサントは、害虫抵抗性(Bt)遺伝子組み換えワタが大幅な減収となったインドでも、政府とトラブルとなっている。一時、ロイヤリティの制限を受けそうになり、インドからの全面撤退をほのめかして不興を買った。ブルキナファソでも一時事業停止を表明するまでに追い込まれたことは、モンサントのビジネスモデルの行き詰まりを表しているようにも見える。